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コトノハダンス  作者: 九藤 朋・考葦亜房
6/9

はなのかなた

誰にも見つけられていない桜はどのように春を想うのだろう。

凍りつくように止まった世界を置いていく桜の花びらを見てそんなことを考える。ひとりきりはらり舞う花びら。蕾ふくらみほころび咲いて。ゆるりと空気に解かれるように浮遊。空に浮かぶ無数の小さい花筏。土にふわりと語りかける。幸いを寿げば若い緑が微睡みから覚める。笑んだ桜は地に還る。若緑は空に爪を立てる。春霞を仕舞い込む穴を作っているのかもしれない。また桜を笑わせる為に。桜は夢を見る。いつかまた、あなたに出逢うために。人の触れ合いを嫌う悪夢からそちらに渡りたい。春なのに冬のようだ。この筏で渡れるだろうか。きっと渡れるだろう。ほら、桜色の筏が宙を進む。凛々しくも美しく。本当だ。

自然と心が筏に運ばれる。

微睡む頭の中に月と桜。

多分欠伸をした。

それでこれは寝言。「はなれないで」はなれないよ。泡沫に、浮きつ沈みつ。とこしえにともに。私たちと永遠は相性が悪いかもしれない。時の流れは桜を咲かせ、徒に関係を咲く。酒と一緒に微睡もう。きっとあなたはいつまでも綺麗だ。どんなに形を変えても。


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