表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/27

仙台 其の一 仙台城を攻める①

「うーん、この辺のはずなんだけどなぁ」


 相棒が通りを行ったり来たりを繰り返す。

 仙台駅より歩くこと約三十分、青葉山の麓に辿り着いていた。

 仙台国際センターという巨大な催事場があり、そこで周辺地図を確認して気付いたことが二つ。

 一つは相棒が興奮気味に目を付けたもので、催事場の向かいに“片倉小十郎屋敷跡”があることだった。相棒が今探し回っているのがそれだ。

 そしてもう一つは国際センターの裏手に線路が走っており、そのままずばりの“国際センター駅”なるものがあることだ。


「……あの三十分は何だったんだよ」


「あっ、ちょっとちょっと、あったわよ!」


 どっと疲れを感じるあたしとは違い、相棒は元気だった

 道沿いの植え込みの陰に小さな石碑を見つけ、手招きする。


「うん、やっぱり城から近い場所にあるのね。さすが小十郎。あっ、なんだ、むこうに看板があるんじゃない」


 相棒は駆け出して行って看板の前に陣取る。


「へえ、ふんふん、そっか、そういえば片倉小十郎って城持ちになったのよね。ふんふん、……あら? ええー?」


 のんびり歩いて寄っていくも、相棒のテンションが目に見えて落ちていく。ぴんと張って赤らんでいたエルフ耳がしなしなとしおれる。


「どうかしたのか?」


「このお屋敷、建てられたのは1677年だって」


「うん? それがどうかしたのか?」


「伊達政宗の右腕として有名なあの片倉小十郎は、大坂夏の陣のすぐあとに亡くなってるのよ。つまり片倉小十郎が死んだ後に建てられたってわけ」


「んん? じゃあそもそもなんなんだ、この屋敷跡って」


「小十郎って確か片倉家が代々受け継ぐ通称になったのよ。息子の方の小十郎が、確か後藤又兵衛を討ち取ってるわ。“鬼の小十郎”って、彼も結構有名ね」


「じゃあその息子の屋敷跡ってことか」


「息子にしたってちょっと無理あるかも。それに1677年じゃ、伊達政宗だって当時の人としては長生きで有名だけど、さすがに生きてるはずないし」


「なんだ、じゃあ有名どころはあんまり関係してないんだな」


「……そういうことになっちゃうわね」


 相棒が肩を落とした。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ