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ポストヒューマン  作者: アセベル・ナーガー
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風磨の過去

受付ロビーに入ったときにはもう私の横にはいなかった。


風磨はすぐさま気配を消し去り受付の横を通って奥へ進んだ。


あらかじめハッキングしてパスワードを解除しておいた社員専用入り口に身を隠す。


「よし、やるか。」


風磨は気合を入れなおした。


彼もまた常人とはかけ離れた存在だ。


幼いころ事故に巻き込まれ内臓がぐちゃぐちゃに破裂していた。


さすがにもう助からないだろうと誰しもがあきらめていたが、そのときたまたまドナーがいたことと限りなく難しい手術が成功したことで奇跡的に一命を取り留めた。


手術後、リハビリ中に彼は異変に気付く。


病室で絵を描いてるときだった。


「あれ、僕こんなに絵上手かったかな?」


そこに描かれていたのは本物に限りなく近いリンゴだった。


影を上手につけることで絶妙な立体感を生み出していた。


昨日のことでも鮮明に思い出すことがきた。


そう、風磨は他人の細胞を体内に取り入れたことにより偶然だが突然変異を起こし私ほどではないが細胞が活性化された。


その結果、なにをしても天才と呼ばれるほどの能力を自然に身に付けいつしか『神童しんどう』と呼ばれていた。


彼も自分自身のことを天才と思っていただろう。


私と出会うまではーー



風磨と出会ったのは6年前、私が18のときだった。


当時私は1人で何でも屋をしていた。


まだ全然知名度もなく言ってしまえばしょうもない依頼ばかりだったが全力でやっていた。


ある日私の噂を聞きつけて莫大な金を持ってきた社長がいた。


社長いわく、ある会社と対立していて買収するかされるかの瀬戸際だという。


しかし、数日前に対立企業が腕のたつハッカーを雇い子会社が次々と倒産に追い込まれているらしい。


このままだとすべてを吸収されると悟った社長はわずかな可能性を信じて私のもとにやってきた。


「社長、ここにきたのは正解でしたよ。」


そう言って私は対立企業のハッカーと一騎打ちをすることになった。


相手の手口を見ているとまさか1人でやっているとは思えない手際で、ハッキングを少しかじった程度の人が見れば天才ハッキング集団の仕業だと認識してしまうだろう。


私は完璧だと思われる相手のハッキングの包囲網をくぐり抜けデータを少しずつ操れるようにしていた。


また、それだけではなく同業者たちと協定を結び周りを固めた上で攻撃を仕掛けた。


それから戦いは3ヶ月におよんだが、その間私は不思議に感じているのと同時に興味がわいてきた。


これほどの腕を持つものが私以外にいるのかと。


もし2人で組めばさらにどんなことでもなし得るのではないかと。


そして意外な形で決着を迎える。




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