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ポストヒューマン  作者: アセベル・ナーガー
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過去の事実

天雲コーポレーション本社は30階建の高層ビルだが最上階にある社長室とその下の29階フロアの間には実は大きな隙間がある。


外見から判別はできずエレベーターを使用する際も自動でわずかに速度が変更されるので誰にも知られていない空間だ。


そこのワンフロアを我々はアジトとして使用している。


最新鋭のコンピュータ、様々な精密機器、分厚い専門書、特殊な薬品まで普通の人では手に入れられないような物がずらりと並んでいる。


「まずは本当に不正な行為をしているかの確認からだ。」


私は数台のコンピュータを巧みに操り黒坂飲料株式会社にハッキングをしかけた。


パッ、パッ、パッ、パッ


画面に防犯カメラの映像が映し出される。


ある画面には本社の映像、ある画面には圧力をかけられているであろう会社の映像、またある画面には社長の家に設置されている防犯カメラの映像まで映っている。


そして常人には何が映っているかわからないくらいの速度で全画面を巻き戻していく。


キュルキュルキュルキュルーーーピッ


五分くらいたったところで私は巻き戻しを止めた。


「見つけた。」


そこにはしっかりと黒坂とライバル会社の社長が映っていた。


日付は半年前である。


ピッ、ピッ


画面を拡大すると黒坂が書類を見せつけ何か言ってるようだ、相手は悔しそうにしている。


黒坂の口元を更に拡大する。


「こ、の、しょ、る、い、が、あ、る、か、ぎ、り、わ、た、し、に、さ、か、ら、う、こ、と、は、で、き、な、い。」


なるほどやはり脅されていることに間違いはなさそうだ。


なぜ映像だけで言葉がわかるのか気になるかい?


わずか五分間で半年分の映像を見ることができたのも気になるだろう。


ああ、ハッキング技術についてもか、それにはついてはまず昔話をしなくてはいけないなーーー




ーーーー24年前


世界的に新型のウィルスが突如発見された。


感染する確率は一万人に一人とされていて感染力はほとんどなかったためそれ以上広がることはなかった。


しかし、感染したものはありとあらゆる細胞が活性化され体がついていけずに命を落とした。


感染が確認された者は早ければ数日、遅くても数ヶ月のうちに誰一人例外なく亡くなった。


この年は悪魔の年と呼ばれ学校の教科書にさえ記載されている。


その後そのウィルスは確認されることなく姿を消した。


しかし、感染者の1人が亡くなる直前に赤ちゃんが産まれていたことは公には知られていないーーー。




そう、それが私だ。












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