7.隊長へと
お、お、俺は、やった?
・・・・・・局長が入隊を認めてくれた。
残酷だが俺は、殺す気で体を斬る感じまでいかないといけないと思っていた。
正直顔に小さな傷をつけるのも難しかったが。
まぁ、というか合格内容がよくわからなかったが。
「局長?これで本当にいいんですか?」
「当然だ。入隊試験でここまでやる者はそうおらん。それに、今回の入隊試験をした大きな理由は、君たちに戦う覚悟があるかどうかを確かめるためであり、躊躇せず、この先やっていけるか、刀と言うものを扱えていけるかを試す試験だ。君たちは、それを成し遂げた。見事であった。」
「ふっ。局長の言う通りや、二人共」
武蔵川さんもそう言ってくれた。正直合格するなんて、思ってなかったし心の底では死ぬ覚悟もしていた。 清々しい気持ちだ。
「やったな!刀真、でかしたぞ!」
「おう!」
「では、早速だが二人に今から羽織を渡すことにする。
・・・・剣ニ渡してやってくれ」
ん?武蔵川が持っているのか?すると、武蔵川さんはこちらに向かって歩いてくる。
「おう。二人共おめでとう。ほれ、これが羽織や」
武蔵川さんは、嬉しそうな表情でこちらに羽織を差し出してくれた。
それに、しても武蔵川さんって試験途中から居たよな・・・・・・
そこから去った気配はないし、羽織いつ用意したんだ ?
羽織を広げてみると隊長の人たちと同じ黒だ。羽織のバックには10番隊とかかれている。
俺が10番隊?すると和音が11番隊か。
「えー、俺が11番隊かよ。まぁ、今のは刀真の手柄だったしな。」
「へへっ」
この時、少し優越感に浸った。隊長入りもとても嬉しい。まるで新撰組に入った感覚だ。
「そういや、武蔵川さんって試験途中からいましたよね?羽織いつ持ってきたの?」
「ふっ」
武蔵川さんは鼻笑した。
「わしも、局長もおまんらが合格することは信じとった。やから、先に持ってきといた方が手間いらんやろ?それだけや」
「要は、私達は君たちが合格するのもわかってた、ということだ」
そ、そんな本当か!?これくらい容易いことなのか?やはりすごいな、局長や副長ともなれば。
「2人共もお疲れ。隊長の皆には使えておく。そういや、君たちは本当に未来から来たのか?」
「は、はい。今から、約150年後からきました」
「ほぉ。150年後とはかなり進んだようだな。疑っているわけではないが、証明するものはあるか?」
え?証明するもの・・・・・・
そんなのある訳ないだろ....
・・・・・・はっ!?そういや、ズボンの中にスマホ入ってたような気がするぞ。
「局長、少しお待ちください!」
「あ、ああわかった」
「ちょ、刀真どうしたんだよ」
「ちょっとな!」
そう思い、俺は猛ダッシュで武蔵川さんの部屋へと向かった。
そして、ズボンのポケットを確かめてみた。
あれ?無い....
もう一つのポケットに手を突っ込むと・・・・
あったー!!!これさえあれば証明できるはず。
電源はついたが電波は圏外になっている。
まぁ、この時代はスマホどころかポケベルすら無いから電波はなくとも大丈夫だろう。
そして、再び猛ダッシュで局長の元へと戻ることにした。
「局長!持ってきました」
「持ってきた・・・・?何をだ」
「これです!」
局長!これが目に入らぬか!と言いたくなった。
とりあえず、スマホを局長に見せてみた。
「なんだこれは?黒いな。」
そして、電源をつけてみた。
これで、いいだろ!例え局長だとしても、スマホは知らないはず。
逆に知ってたら怖いが。
「っ!?光るではないか。小さいようだが、なんの武器だこれは。」
「これは、武器ではありません。人と連絡をとったりする機械です」
「これ、ゲームとかもできるんだぜ!音楽だって聞ける」
和音も説明してくれた。まぁ、ゲームとか音楽とか言葉はあまり伝わらなさそうだけど。
「なにやら、私にもよくわからんが見たことは無い。わかった、ひとまず未来人として受け入れる」
「あ、ありがとうございます!」
「それは、そうと君たちは隊長入りしたことだ、部屋を与えることにしよう。私についてきてくれ。」
「おお、お部屋ですか、わかりました。
すると、武蔵川さんが話し始めた。
「そんじゃ、二人とも。局長に案内してもらってくれ。わしは、幹部たちに伝えてくるわ。また後でおまんらの元に行くわ」
「わかりました!また後で!」
部屋と向かうことにした。
裏庭から、少し距離はある。
「 よし、右は桜井君の部屋、左隣の部屋は坂内君の部屋とする。
休憩するもよし、もし宿など行くあてが無いのであればここに住んでもらってもいい。好きに使ってくれ。」
「おしっ!わかった、どんな感じなんだ!?」
和音は、部屋へと直行した。好奇心旺盛な、和音はこういうことも少なくない。
「あ、ありがとうございます!お恥ずかしいのですが、帰るあてもなく困っていたところです」
そして、中を見てみると、綺麗な和室だ。まるで、平成でいう旅館のようだ。当然なのだが、ドアに鍵は無い。
トントンッ
ん?誰だ?
「刀真入るぞー?」
ふぅ。和音か、やけに、びっくりした。
「暇だったから来たわ。なんか話そうぜ」
「暇だったからかよ。まぁ、いいや、そうだな。俺も特にやるとこないし」
「なぁ、こんなに組織に入ることって簡単なのかな?刀真は、お手柄だったが傷つけたくらいで入れんのかな。しかも、いきなり幹部に」
「まぁ、言われてみりゃ何か引っかかるけどな。武蔵川さんが手を打ってくれたんじゃない?」
「あぁ、そういやおっさん入ってくれねーかって言ってきたな。なんでだろうな。まぁ、いいや。そんなことより俺、この時代の女の子にめっちゃ興味あるんだけど。可愛い子いねーかな」
「ぶっ。へっへっへ。お前何言い出すんだよ、笑わすな。和音って本当女の子に目が無いね。幕末の彼女でも作る気?」
「笑うな!おお、その手もあったか。可愛い子いたら口説いてみるぜ!」
「え、本気かよ!まぁ、和音らしいな。」
すると・・・・
トントンッ
ん?今度は誰だ?武蔵川さん?局長?
「ど、どうぞ」