5.武徹組の人間達
「遅かったやないすか。副長」
「悪い、少し用があったもんでな」
そこには、複数の人物がいた。全員特有の羽織を着ている。新撰組の浅葱色とは違い、色は、派手に目立つことはないがかっこいい黒色だ。刀は大刀、脇差がある。
お、そうか....!?この人たちは、恐らく武徹組の幹部たちか。
一見みるかぎり、大柄な人から小柄な人まで様々ではある。
しかも、珍しく俺はこの時恐怖感を強く感じている。
すると1人の幹部が・・・・・・
「副長、その者達は?お知り合いでっか?」
「あぁ、まぁそんなとこだ。ちょっと前に会った者たちや。
お前ら、よう聞け....」
「なんや?副長、そんな改まって」
「・・・・」
「・・・・今日から、この者たちを武徹組10番隊隊長、11番隊隊長とする」
あっさり武蔵川さんは告白した。すると、その場の空気はシーンとなった。
「ふ、副長?!何を言っておられるのですか?いきなり隊長の座?この者たちは一体何者で?」
「そやそや!なんやいきなり訳のわからん者を隊長?ふざけんのも大概にしてくださいや副長!」
その場は、一気に混乱し異論を唱えるものが続出している。ショックだけどやはり、いきなり有り得ないよな....
すると・・・・
「剣ニ、どういうことだ?まぁ、ゆっくり説明してくれ。お前の目は衰えてなどないはずだ。」
剣ニと言えば武蔵川さんの下の名前である。副長ともなれば、そんな風に呼べるのは副長の上の人しかないはず・・・・・・
さては、あの人が局長か?少し大柄な体格ではある。
「まぁ落ち着いてくれや。局長、もちろん訳はあるさ。
みんなは、前に来たあいつ覚えとるか?」
「あいつ?あぁ、覚えとりますわ。それが、どないしはったんです?こいつらが、犯人って事でっか?」
「いや、ちゃう。あいつと同じような奴らやこいつらは。不思議な者がまた来た。」
「剣ニ、お前の言いたい事はわかった。
あの者の変わりとして組に迎えたい....だな?」
「簡潔に言えばその通りや。みな、どうか頼む。俺はあんなことにならん様に努力する。」
「....」
局長らしき人物は、黙り込んだ。
「その者たち、武器はあるのか?また、名は?」
質問が来た。
「ええ、大太刀があります。後ろの奴は大刀を....。俺の名は桜井 刀真です。もう1人は坂内 和音」
「そうですか、わかりました。では、仮入隊として認めます。それでは、正式に後で入隊試験を行ってもらうことになります。ただ、簡単なものなのでご安心ください」
「は、はい」
局長は大柄な体格で見た目とは違い、意外と丁寧で礼儀正しい方のようだ。
まぁ、局長だからな。組の一番偉い人がダメダメじゃ組みも潰れかねないからな。
それにしても入隊試験って恐らく刀使うんだよな?本当に安心していいのか....
「それでは、ここにいるみなを紹介します」
「よ、よろしくお願いします」
「まず、私はこの武徹組、局長 宮武 誠だ。よろしくな。
そして、君たちと共にきた武蔵川は、この組の副長だ。
私たちは、一刀流免許皆伝だ。」
「よろしくお願いします。局長」
「ふむ。さらに1番隊隊長は、山内 智 (やまうち さとる)と言う。こいつも同じく、一刀流免許皆伝だ。」
「一番隊を務めている。山内だ。よろしくな」
「や、山内さんよろしくお願いします」
「おっさん1よろしくっす」
こら、和音それは失礼だぞ。まぁ、武蔵川さんに向かっておっさんも失礼なのだが....
「続いて、2番隊隊長は、村田 誠司 (むらた せいじ)」
「2番隊の村田や。よろしくな。刀真、和音。」
この人は関西弁のようだ。少しクールな感じだが人は良さそうだ。
「そして、3番隊隊長は平山 一」
桜井くん、坂内くんよろしく。」
「よろしくお願いします!」
この人は、純粋に優しそうだ。
「4番隊隊長は、阿部 小次郎」
「へへっ。よろしく頼むぜ。」
少し陽気な人のようだ。口は悪くなるが、バカっぽい。悪い人ではなさそうだが。
「5番隊隊長は、大坂 一馬 (おおさか かずま)だ」
「お二人、よろしく頼む。」
この人は、ごく普通な感じだ。頼りになりそうな感じではある。やや、身長が高い。
「6番隊隊長 伊賀 博一 (いが ひろかず)」
「よろしく頼むよ。お二人さん。」
この人は、恐らく60歳くらいの老人だ。まぁ、経験は豊富そうで、優しい感じである。
「7番隊隊長 鈴井 秀俊 (すずい ひでとし)」
「よろしくお願いします。桜井さん、坂内さん。」
7番隊の人は少し若そうだな....
組の中では最年少かもしれない。
「8番隊隊長は、林 敬介だ」
「おう。新入り、よろしゅう」
組の中では最も大柄な男だ。少し口も達者な感じである。
「そして、最後9番隊隊長 久野 将生だ。」
「よろしゅうお願いします。」
この人も少しクールな感じだ。冷静な感じと言ってもいいだろう。
「と、まぁ隊長はこんな感じだ。元々新撰組に対抗するため9番隊まで作った。新撰組と違い、総長、参謀はいないのだがな。そこで、君たちには10番隊、11番隊となってもらうところだ。試験に合格すればね・・・・」
「し、試験ですか....」
「んなもん、合格するしかねえだろ!刀真」
「そうだな....お互い頑張ろう」
「どちらかが、10番隊となりどちらかが11番隊となる。それも、こちらで決めさせてもらうよ」
「それでは、皆の者今日はこれで幹部会は終了だ。ご苦労だった。武蔵川と桜井、坂内は私のところに来てほしい。あとは、解散だ」
こうして、今日の幹部会は終わったのであった。局長が、呼んでいるようだ。行ってみよう。
「和音、行こう」
「おうよ」
・・・・
「よし、揃ったな。それでは、これから裏庭に行って試験を開始する。試験内容についてだが、君たちが本当にこれから剣を交えて戦うことができるかだ。」
「ま、まて宮武。いきなり、そんなもんこの2人にさせる気か....?たぶん、刀なんてつこたことあらへん」
「そういうことではない。もし、仮に使ったことが無くとも恐らく、お二人は剣に興味はあったはず。自分が思うがままにやってくれればいい。
・・・・・・以上だ。」
まさか、刀を使って何かさせる気か?いきなり、敵と戦えとかじゃないよな....?
いやいや、局長もバカじゃない。きっと何か考えがあるんだろう。
「お、お前。正気か。と、とりあえず2人とも一回俺の部屋に刀取りに行って庭に行きなはれや」
「は、はい。わかりました、武蔵川さん」
そして、部屋に戻り武器を取りに行くことにした。
「俺たち、大丈夫なのか?刀真....何かあるかもしれねえが死ぬなよ」
「当たり前だろ。お前も死ぬなよ・・・・」
そして、身なりを整え、俺は大太刀を持ち、和音は妖刀を持ち裏庭へ向かった。
そして、到着すると・・・・
そこには、局長が1人いた。