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8th

「これで最後ぉ!!」


ハルバートを地面にひびが入るぐらい思い切り振りおろす

もちろん攻撃をくらったゲスネルは絶命。これでゲスネルはすべて片付いた

残るは……ゲスペルのみ


「最後くらいは手を貸すよ」


「そりゃ助かるよ。アタシだけじゃちょっと荷が重いんでね」


そう言ってハルバートと剣をゲスペルに向ける

二対一で数はこちらが有利

でもこちらは体力を消費した状態で向こうは万全

ある意味ハンデなしの勝負だ


「しっかし不気味だな……なに考えてるのやら」


「魔物の考えることなんて誰にわかるかよ」


いやまあそうなんだけどさ

でもちょっとぐらい怒ったり怯えたりぐらいはしていいんじゃないか?

向こうから攻撃してくる様子はないけど逃げる様子もないし……

とりあえず……


「先手必勝!!」


様子見ということで攻撃を仕掛ける

狙うはゲスネル達と同じ喉元

懐に潜り込んで横に切り裂く!


「…………え?」


切り裂こうと剣をふるった。そこまではいい

だが喉にあたる瞬間、いやな音がした

切り裂かれる音ではなく、何か……金属が壊れる音


「……おいおい、嘘だろ……」


振り切った剣を見てみると、剣が奇麗に真っ二つに折れていた

対するゲスペルの皮膚には傷一つない


「下がれケンゴ!」


リアラの声にハッとする

言われた通りすぐに下がると、すれ違いでリアラが前に出る


「はああああぁぁぁぁぁ!!!」


ハルバートの重力に身を任せ振るう、が――――


「硬すぎるだろ、おい……!」


リアラが悔しそうにつぶやく

ハルバートは折れこそしないものの、ゲスペルの体に少し食い込んで止まっていた


「ぐるうああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「きゃあぁ!!」


リアラのかわいらしい悲鳴

ゲスペルが体を振って、ハルバートによって繋がっていたリアラが吹き飛ばされた

俺の武器はなし、リアラの武器はゲスペルから取れたが足元に落ちていて取りに行けない

つまり、どちらも素手の状態というわけだ

さすが70体ものゲスネルを従えてるだけはあるってところか


「やばいなぁ……リアラー、もう帰ったらだめなのかー?」


「駄目に決まってるだろ! こんなのが人里に降りたら大惨事だ!」


「だよなぁ……」


普通の剣じゃ太刀打ちできない

そしてこの山の麓には村がある

このゲスペルが村に降りたらこいつを倒せる奴なんていない

一旦中央都市にいって助けを呼ぶという手もあるが、その間にこいつが山にいる保証はない

ここで倒すしかないってわけか……


「……決意一日目で破れる、か……まあ誰かが死ぬよりましだろ」


おそらくこいつに刃物系は効きにくい

となると作る武器は……


「鈍器だな」


形は……まあ普通にメイスでいいか

手頃な大きさのメイスを作りだし……たのはいいが

…………重っ

自分で作っておきながら自分で使えないというすごく残念な結果になってしまった


「おーいリアラ、これ使えるー?」


「使えるってどれ……ってはぁ!? アンタどっから出したんだい!?」


どっからって言われてもなぁ……


「とりあえず後で説明するから! これ使えるー?」


「別に使えないことはないけど……これじゃ取りに行けない」


「あー……」


リアラがさっき飛ばされた際、ゲスペルの向こうにいってしまった

つまり俺とリアラの中間にゲスペルがいるのだ

すぐ横を通ったらがぶり……なんてなるだろうから通ることができない

まさか狭い道を選んだことが裏目に出るとは


「グルゥ……」


「あっ!」


ゲスペルはやはりというべきか、傷をつけたリアラを標的に動き始めた

リアラは素手、ゲスペルは牙や爪、このままじゃリアラがやられるのは一目瞭然


「……って、させるかぁ!!」


急いで追いかけてリアラに飛びかかる寸前にとび蹴りで邪魔をする


「ケンゴ!」


「くそ、硬いな相変わらず!」


邪魔はできたが吹き飛ぶなんて夢物語は起きず、ただよろめいただけだった

だがその一瞬のすきさえあれば十分だ


「逃げるぞ!!」


「え? お、おい!」


リアラの手をつかんで一目散に逃げ去る

なんだかんだで簡単にゲスペルを通り抜けれてしまった……


「おいケンゴ! 逃げてどうするんだよ!」


「別にこのまま帰るわけじゃない、ただ体制を整えたかっただけだ」


そう言うと立ち止まり、後ろから追いかけてくるゲスペルと立ち合う

と言っても武器がないのはやはりつらい、作り出しておこう

リアラには見よう見まねだがさっきまで使っていたハルバートを、

俺は……メイスが無理だったから、とりあえず硬い棒でも作っておこう


「リアラ、これ使え」


「え? あ、あれ? なんでここに?」


「今作った。ニセモノだけどな」


「作ったって……」


「説明は後だ! 来るぞ!」


俺の声ですぐに戦闘態勢に入るリアラ

2人でうまく連携すればなんとか太刀打ちできるかもしれない


かみつき攻撃を仕掛けてくるゲスペル

すかさず俺がその口に棒をくわえさせて押さえる


「って、重っ……! やっぱ非力なくせに出しゃばるんじゃなかった!」


単純な力勝負で引きこもりの俺が勝てるはずもなく、どんどん押されてしまう

だがこれは時間稼ぎだ。リアラがあいつに攻撃するまでの


「うらあああぁぁぁぁ!!!」


リアラがハルバートを思いきりゲスペルの首に当てる

相変わらず少し皮膚が裂けた程度だが、それよりもハルバートの重さの方が聞いたらしくゲスペルが怯む

力が抜けたのを機に俺はすかさず下がり、体制を整える


「グルルぅ……!」


さっきまでポーカーフェイスだったゲスペルもさすがに頭にきたようだ

明らかな殺意を目にリアらに向き直る


「ぐるううぅぅぁぁぁぁあああ!!」


「させるかよ!」


「ギギャァ!?」


リアラに突進するゲスペルに、リーチを活かして背後から頭を殴る

俺に気を取られている間はリアラが、リアラに気を取られている間は俺が攻撃をあてる

特に話しあったわけではないがうまいこと連携がとれている


「やっぱりうろこが固くても直接殴られるのは痛いみたいだな」


もしこの攻撃が効かなかったらそれこそ手詰まりだったが効いてよかった

今度は俺の方を向くゲスペル

慌てず恐れず、ゲスペルを押さえつけてその隙にリアラが攻撃する

このままいけば勝てる……そう思ってたんだが






「はぁ……はぁ……まだ倒れないのかい、こいつ」


「一応……疲れては……はぁ……いるんだがな」


あれから何時間たっただろう

もしかしたら何時間もたってるかもしれないし、何分かしかたってないかもしれない

でも今はそんなことどうでもいい

問題なのは、こいつがいつまでも倒れないということだ

俺とリアラはもう肩で息をしている状態

当たり前だ。いくら上手くいっているとはいえもしかしたら死ぬかもしれないのだから

そんな精神状態で長時間戦っていたら体力の消耗だって早い


対するゲスペルだが、これがなかなかしぶとい

全身傷だらけでボロボロだし疲れてもいるだろうことが見てわかる

しかし傷が浅いせいか、一向に倒れる気配がない

せめていっかい……一回だけでも決定打があれば……!


「ケンゴ! ボーっとするな!」


「っ!!」


リアラの声で我に帰るが、ゲスペルの攻撃に対応するのが一瞬遅れた

何とか防ぐことはできたのだが、そのまま勢いに押されてしりもちをついてしまう

足を踏ん張れない無理な体勢、どんどんゲスペルの顔が近付いてくる


「いって!!」


ゲスペルが短い前足で必死にもがいてくる

なんとか当たらないようにするも足がざっくりと切られてしまった

そう言えばライオンとかの爪って意外と裂けるんだっけ……


「こんのぉ!!」


痛みに耐えているとリアラがゲスペルの後ろから攻撃する

ゲスペルが怯んだその一瞬に、一気に押し返してゲスペルから離れる


「ぐるらあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


せっかくのチャンスをつぶされたからか、今までで一番の雄たけびを上げるゲスペル

そのまま馬鹿正直にリアラに突っ込む


「ふんっ!」


ハルバートを盾にこらえるリアラ

ここで俺がゲスペルの注意をひいて―――


「痛っ!」


立ち上がろうとすると右足に激痛が走る

見てみるとドクドクと血が流れ続けていた

さっきのゲスペルの爪か……

痛みをこらえて何とか立ち上がろうとするが、右足に体重がかかったとたん痛みで倒れてしまう


「くっ……そ……! このままじゃ、リアラが……!」


リアラは今必死にゲスペルの攻撃に耐えている

早く助けに入らなければやられてしまう


「ぐぅ……!」


気づけばリアラの後ろは気になっていてこれ以上下がれない状態だった

まずい

まずいまずいまずいまずいまずいまずい

動けよ俺の脚! このままじゃリアラが! 俺の目の前で人が殺されてしまう!


「ッ……う……うあっ!」


再び立ち上がろうとするが、やはりまた倒れてしまう

もうなりふり構っていられない。可能性はすべて試してやる!

近くにあった石を拾いゲスペルに投げる

石は山なりに飛び、あたる

でもゲスペルはまるで興味を示さずリアラにかみつこうとしている

だったら……


俺はゲスペルの頭上で魔力を凝縮させようとする

誰が魔力はすぐ近くでないと使えないと決めた? ゲスペルの頭上に何でもいいから武器を作って注意を引けたらそれでいい


「グッ……!」


駄目だ……魔力が集まっているのは分かるが形が整わない

歪な形で集まってとても……


「……だったら」


そうだ、なにも武器にこだわることはない

あいつの注意さえ引ければいいのだから


「だったら俺の魔力丸ごともらってけぇ!!!」


全身の魔力をゲスペルの頭上に集め巨大な鉄球を作り上げる

作り上げられた鉄球は重力にひっぱられゲスペルを巻き込み地面に埋まる


「はぁ……はぁ……!」


「……なに、今の……?」


目の前の突然の出来事にリアラは呆然としている

注意をひくだけだったはずが、倒してしまった

まあ、あれだけ大きな鉄球につぶされたのだ。生きてはいまい


「っは、健吾!!」


「悪いリアラ……魔力使いすぎて、意識が……」


駆け寄ってきたリアラが今も何か叫んでくるが、あいにく今の俺はそれを聞くほどの体力すら残ってはいない

とりあえず、少し休……む…………

感想、誤字脱字報告と

今さらになって文章力が気になりだしたのでアドバイスなどお待ちしております

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