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5th

「はあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


盛大な雄叫びとともに二刀を振り下ろす

その攻撃にやられたゲスネルはたまらず地面に倒れる

アスカの攻撃は見事なものだった

敵の攻撃をスレスレで避けて的確に首を切り裂いて一撃で葬る

無駄のない動きでどんどんゲスネルの数が減っていく


「あーもう、きりがない!!」


……だが、まだ30体近く残っている

おそらく倒している間にまた別のゲスネルがきているのだ

このままじゃ倒すペースがどんどん落ちて最終的には2人ともおじゃんか……

最悪の結末を想像しているとアスカがバックステップで戻ってきた


「集え、風の精霊よ! 鎌鼬エア・カッター!!」


手を上にかざして呪文を唱えると、目には見えないが確かにそこに風の流れを感じた

そのまま手に集めた風を投げ込むとまるで刃物に切り裂かれるように次々と木々が倒れ、魔物が切り裂かれていく

すご……


「今の……魔法?」


「そ、魔力を集めて精霊の力を借りることで魔法を発動するの。やってみる?」


「やってみるって今そんな状況じゃ……あ」


言い終わる前にアスカは再びゲスネルの群れに飛び込んでいった

まあいてもいなくても同じようなもんだしな俺……

ゲスネル達も今はアスカに気を取られて俺のこと無視してるし


「確か魔力を集めて……精霊の力を借りる?」


具体的にどうやるかは分からないがやるだけやってみよう

まずは体のエネルギーを集めるイメージを……


「……お? おお? おおおおおお?」


うん、わからん!!

でもなんとなく掌に何かエネルギーっぽいのが集まってる気がする

なんとなくな!

これで精霊の力を借りるんだっけ?

その行程が一番わからんのだが……とりあえずやってみるか


「ふん! ぅぉぉぉおおおおおおおおお」


ポヒュン


…………あれ?


なんとなく力んでみたがなんか情けない音出して終わったぞ

ポヒュンて……


「らああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


今日一番の雄たけびが聞こえて見てみると、アスカがゲスペルにとどめを刺したところだった

周りにいるゲスネルは後6、7頭程度

アスカの顔には勝利の確信が浮かんでいてつい俺も浮かれてしまう

でも、その油断が致命的だった


「くぁ!!」


「!?」


突然アスカが倒れる

ゲスネルにやられた? いや、今までの戦闘を見たところゲスネルごときにやられないだろう

じゃあ一体なぜ?

そう疑問に思っているとアスカの向こうから周りのゲスネルに比べて一回り大きい魔物が現れた

そう……ゲスペルが


「っく……まさかもう一頭いたなんて……!」


「アスカ! 大丈夫なのか!?」


アスカが剣を支えにしてフラフラと立ち上がる

明らかに無理をしているのがわかるのになぜ大丈夫かなどと聞いているんだ俺は


「左腕がやられたっぽい……でも大丈夫! 絶対倒して見せる!」


「アスカ……」


駄目だ、周りのゲスネルはともかくゲスペルを倒せるとは思えない

でも俺にゲスペルが倒せるわけでもない……どうすれば……

アスカも倒せない俺も倒せない……となると


「ぐるぁ!?」


足元にあった手頃な大きさの石をゲスペルの頭めがけて投げると、見事に命中した

ここにいる誰にも倒せないのなら、他の場所にいる誰かに倒してもらうまでだ

ゲスペルは俺の狙い通り、標的をアスカから俺に変えてきた


「さーて、生きるか死ぬかの鬼ごっこ……始まりだ」


早まる鼓動を押さえつけてゲスペルと反対方向に走り出す

どうでもいいけど今日逃げてばっかだな俺……


「うっわ、はえぇ!!」


わかってはいたがやはりゲスネルよりも早い

単純な足の速さなら絶対に負けるな、うん

でも周りは森に囲まれているんだ。この地の利を生かさない手はない

俺は木を右に左に、あちこちに曲がりくねってゲスペルを引き離そうとする


「ちょっとは距離取れたか……?」


ッゲ……

浅はかな知恵は圧倒的な力でねじ伏せられてしまった

障害物代わりに使った木は見事にへし折られて直進してくる

さあどうする、もともと考えなしで挑発したから手が残ってない


「くそっ……せめて魔法が使えたら!」


逃げながらもう一度魔法が使えないか試してみる

でもやはりというべきか精霊の力をかりるというところでどうすればいいかわからず情けない音を出して失敗してしまう


「……これ、魔力を凝縮して何かを作り出したりできないかな」


いわゆる水を氷にするようなものだ

いや、この場合魔力は見えないから水蒸気を氷にするようなものか?

だとしたら相当な魔力が必要になるだろうな……


「うおぉ!?」


考え事をしていたらゲスペルの牙はすぐ近くまでせまっていた

まずいな……このままじゃ絶対にやられる

魔力を凝縮して物体を作り上げる

そんなことできるのか? 今までいくつかファンタジーもののアニメや漫画を見たことがあるがそんな主人公見たことない

あ、いや……この場合土魔法の錬金とか錬成がそうなるのか?

でもあれは土を媒体にして魔力の力で原子レベルで変換してるってことだよな……


「うおっ!?」


考えながら逃げていると木の根に足を取られ転んでしまう

二度目の逃走、二度目の転倒……か、学習能力ないな俺

あまりのばかばかしさに自嘲気味の笑みを浮かべる

体を反転して上を向くとゲスペルは興奮しているようだ

まあ性的な意味じゃないけどな

さて……もうあとはないぞ長谷川健吾、最後の悪あがきをやって見せろ


「ぐるうあああぁぁぁぁ!!!!」


「……ごちゃごちゃうるせぇんだよトカゲやろうが!!」


相手を挑発するように吠えて魔力の凝縮を始める

ただ集めるだけじゃだめだ! もっと固めて……もっと多く!

俺の言った言葉の意味がわかったのか、ゲスペルは俺にかみつきに来る

だが俺は逃げない。どうせ逃げてもすぐ捕まるんだ、だったら最後の悪あがきだけでもやりとおして見せるさ

そしてその時、魔力が一定以上たまったからか溜めていた魔力一瞬光り強く輝いた


「ぎゃぁううぅぅ!??」


「ったく……間一髪だな」


自分の攻撃がはじかれたからか、それとも俺ごときに傷をつけられたからか、その両方か、ゲスペルの目に怒りの色が混じっているのが俺にもわかった

怒りの色だけじゃないな、驚きの表情でもある

まあ無理もないか、いきなり武器が出てくるんだもんな

出した本人である俺も少し驚いてるし……

ちなみに俺が出した武器は日本刀。その中で短刀と呼ばれるその名の通り短い刀だ

この刀を選んだ理由はまずこの近距離だから短い方がいいと思ったのと、小さい方が凝縮する魔力の量が減ると思ったからだ

で、予想はドンピシャ。なんとか間に合ってゲスペルの攻撃に抵抗できたってわけだ


「グルゥ……アアアアアアアァァァァァァァ!!!!」


「さてと……ここからが勝負だな」


ゲスペルが怒りに身を任せて突っ込んでくる

ここで軽々と迎撃できたらかっこいいんだが俺にそんな力はない

素直に力勝負は諦め短刀を投げつける


「ぎゅああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


偶然にも短刀はゲスペルの右目に突き刺さり、ゲスペルがひるんだ

これは思いもしなかった幸運……だが、これで俺の武器はなくなった


「なーんて思うなよトカゲやろう……」


短刀を作った時にコツはつかんだ

魔力がどれだけ必要か、魔力をどう凝縮すればいいか

ゲスペルがひるんでいる間に二つ目の武器を作り上げる

二つ目の武器は大太刀、リーチの長い日本刀だ


「らあああぁぁぁぁぁ!!!!」


雄たけびを上げてゲスペルに切りかかる

痛みにうろたえていて隙だらけ……なのだが、やはり魔物を束ねるだけのことはあるというべきか

鱗が思っていたより硬く、俺の力では浅い傷をつけるのが精いっぱいだ

めげずに何度も切り込む。右腕、左足、左腕、右足、胴体、顔、浅いながらも傷を増やしていく

何度か反撃しようとしているが、リーチはこちらの方が長いのでかまわずに切りかかる


キィン


「ック……!」


硬い鱗にはじかれて大太刀を手から離してしまった

だがまだだ、武器ならいくらでも……


「あれ…………?」


武器が……でない

それだけじゃない、なんだか視界もフラフラして……

あれ……? 俺、倒れた……?

何で倒れてるんだ? ああ、そう言えば最後に口にしたのってアスカの家で飲んだココアだっけ……

それから何度も全力疾走してるんだ、そりゃ倒れるだろうな

ミスったなぁ……あともう少しで倒せそうだったのに

このままゲスペルに食われておしまいか……


「ポーター、あのゲスペルを倒してください。5秒以内に」


「ちょ! 俺のミスで犠牲が出そうだからって厳しくないか姫!?」


誰……だ……?

黒髪の男と……青髪の女?

あの黒髪の男……どこかで、見た……よう、な

ユニーク者数300目前、PV数1000越え・・・

些細なことかもしれませんが作者は結構喜んでたりします


感想、誤字脱字などいつでもお待ちしております

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