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転生

2話、甘めに見てください

ずっと水の中に浸かっているような感覚だった。

いや、正確には「水」というより、ぬるりと温かい液体に全身が包まれているような、そんな不思議な浮遊感だった。体は重くも軽くもなく、ただ漂っている。視界は真っ暗で、音も匂いも何も感じない。ただ、温かさが心地よくて、まるで永遠にこのままでもいいような気さえした。

そして、時は訪れた。

朦朧とする意識の中、突然、世界がパッと広がった。

暗闇が一瞬で弾け飛び、眩しい光が目の中に飛び込んできた。同時に、温かい何かに包まれる感覚が全身を覆った。柔らかくて、ふわふわで、まるで巨大な綿菓子に埋もれているような……いや、もっと生き物っぽい。生きている温もりだ。

「はぁ……暖かい。これが天国の温もりかぁ……」

俺の意識は、ゆっくりと、しかし確にはっきりしてきた。

「俺も女の子救って人生円満退社、多分天国での福利厚生も多いんだろうな〜」

そんなことをぼんやり考えながら、俺はまだ目を閉じたままだった。だって、こんな心地いい感覚、しばらく味わっていたいじゃないか。

「おぎゃゃぁぁぁぁ! おぎゃゃぁ!」

……ん?

突然、耳元で赤ちゃんの泣き声が響いた。

「??? 赤ちゃんの鳴き声??」

いや、待て待て。俺はまだこの温もりに包まれて眠っていたかった。だけど、好奇心が勝った。渋々、目を開けた。

目を開けた瞬間、頭上に見えたのは……とても美しい谷間だった。

で、でかい。めっちゃでかい。柔らかそうな、雪のように白い肌が、俺の視界を埋め尽くしている。谷間の奥には、ふわっとした白髪が揺れていて、なんだか甘い香りが漂ってくる。

「うおっ……!?」

横を見ると、そこには青髪の赤ちゃんがいた。豪快に、めっちゃ豪快に泣いている。口を大きく開けて、顔を真っ赤にして、「おぎゃー! おぎゃー!」って叫びまくってる。なんか、めっちゃ元気そう。

周りを見渡してみる。

煉瓦造りの質素な部屋。壁は赤レンガで、ちょっと古びた雰囲気。窓からは柔らかい陽光が差し込んでいて、部屋全体がほんのりオレンジ色に染まっている。家具はシンプルで、木製のテーブルと椅子、壁に掛けられた布製のカーテン。あと、なんか油絵が一枚飾られてる。


部屋の隅には、メイドらしき女の人が二人立っていた。

ただ視界がぼんやりしていて顔まではわからない。


そして、谷間の持ち主——おそらく母親だろう——と、金髪のイケメンが泣いている青髪の赤ちゃんに寄り添っていた。父親は金髪イケメン、母親は、谷間が目立ちすぎて顔がよく見えないけど、ふわっとした金髪と優しそうな雰囲気が漂ってる。


「何か話してるみたいだけど……隣の赤さんのせいで全然聞こえねえ!」

青髪の赤ちゃん、泣き声がデカすぎる。マジで五月蝿い。俺の耳、生まれたてなのに壊れそう。

で、谷間の母親のせいで、顔がマジで見えない。いや、谷間がでかすぎるんだよ! 俺の視界、9割が谷間だよ!


……で、俺はまた目を閉じた。

「いや、ちょっと待て。混乱するわ。全く状況が飲み込めねえ!」

落ち着け、落ち着け俺。よーしよし、いつもカッコいいぜ俺。

深呼吸……って、赤ちゃんに深呼吸とかできるのか? まあ、いいや。頭の中で整理しよう。


状況整理タイム!

1. 隣に赤ちゃん:青髪で、めっちゃ泣いてる。たぶん俺の兄弟? 双子?

2. 洋風のレンガ造りの建物:中世ヨーロッパっぽい雰囲気。異世界感バッチリ。

3. 耳の長いメイド:エルフ? ハーフエルフ? メイド服着てるし、普通に働いてるっぽい。

4. おっきいおっぱい:母親の谷間が視界を支配。顔が見えねえ。


このシュチュエーション、頭の中に浮かぶのは一個しかない。

「あっこれ、異世界転生ってやつだ!」

ライトノベル、なろう系、アニメ、漫画……全部読んできた俺の知識がフル稼働。女の子を助けて死に、赤ちゃんとして異世界に転生! これはもう、チート能力とかハーレム展開とか、期待しかないじゃん!

……でも、隣の赤ちゃん、うるさすぎ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺が状況整理してる間も、青髪の赤ちゃんは泣き続ける。

「おぎゃー! おぎゃー!」って、まるで世界の終わりみたいな勢い。いや、赤ちゃんの特権とはいえ、ちょっとプロすぎるだろ。

「とりあえず……泣いてみるか」

そう思って、俺も行動開始。

「おぎゃぁぁ! おぎゃ! おぎゃああああああ!」

……恥ずかしい。

マジで恥ずかしい。精神年齢20代後半の俺が、こんな赤ちゃんの泣き真似をするなんて。心の中で100回くらい「俺、馬鹿じゃねえか」って叫んだ。

でも、赤ちゃんになった以上、赤ちゃんになりきるしかない!

「よし、もっと本気で! 赤ちゃんのプロフェッショナルになるんだ!」

「おぎゃゃぁぁぁぁ、おぎゃああああああああ!」

あぁ、俺、これから異世界生活どうしようか……。

チート能力とかあるのかな? ステータスオープンとか言ったら何か出る? 試してみようか? いや、声出ねえし。

そんなことを考えながら泣いてると、突然、俺の体がふわっと持ち上げられた。

「うおっ!?」

何か——いや、誰かに抱き抱えられた。

見上げると、さっきの金髪イケメン……おそらく父親だ。めっちゃごつい腕で、俺を軽々抱えてる。顔、めっちゃ近い。青い目がキラキラしてる。なんか、めっちゃ愛情込めて見てくる。

「〜〜〜〜〜〜〜! 〜〜〜〜!」

何か言ってるけど、隣の青髪赤さんの泣き声がうるさすぎて、全然聞こえない。

でも、たぶん「あやす言葉」だよな。父親っぽいし。

「あっ、そっか。異世界だから言語も違うのか。そりゃそうだよな」

パパさん、愛情表現がめっちゃ熱いのは分かるけど、そこまで揺らされると、さすがに生まれたての赤ん坊にはキツいっす!

俺の首、グラグラしてるし、胃がムカムカするし!

まあ、赤ん坊には泣く以外の抵抗方法はない。

「おぎゃー! おぎゃー!」(やめてくれ! 揺らすのやめてくれ!)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


揺らされながら移動してる最中、ふと壁に目が止まった。

そこには、めっちゃ場違いなものが飾られてた。

「安産祈願」

デカデカと、掛け軸みたいなのに書かれてる。

和風の筆文字で、めっちゃ達筆。なんか、神社で売ってるお守りみたいな雰囲気。

「!?」

俺、めっちゃ動揺した。

いや、だって、ここ異世界だろ!? 煉瓦造りの部屋に、エルフメイドがいる世界だろ!? なんで「安産祈願」なんて日本語の掛け軸が!?

びっくりしすぎて、俺、ガン見してしまった。

目が点。口、ポカーン。赤ちゃんの顔で、めっちゃ間抜けな表情してたと思う。


……この行動がダメだった。


「お前、この言葉がわかるのか?」

突然、金髪の父親が目を細めて、普通に日本語で話しかけてきた。

「!?!?!?」

聞かれた瞬間、頭が真っ白になった。

日本語!? マジで!? 俺の聞き間違いじゃないよな!? ここ、異世界だろ!? なんで日本語!?

無数の考えが頭の中を駆け巡る。

• 俺、転生したのに日本語わかるのバレたらヤバい?

• でも、父親が日本語話せるってことは、この世界に日本っぽい文化ある?

• いや、でも「安産祈願」って、めっちゃ日本じゃん!

• どう答えればいい!? 正解は!? 赤ちゃんのフリ続ける? それとも……!?

考えがまとまらない。

「どうすればいいどうすればいいどうすればいい……!」って、頭の中でループ。

時間は無限にも、束の間にも感じられた。

ただ、考えがまとまることはなかった。

とりあえず、純粋無垢な赤ん坊をどうにかして演じることにした。

まさに断崖絶壁の上で綱渡りしてる気分だ。

「おぎゃ……?」(知らねえよ! 何も知らねえよ!)

俺、わざと目をキョトンさせて、よだれ垂らしてみた。完璧な赤ちゃん演技!

父親は、俺をじっと見つめたまま、しばらく黙ってた。

その青い目、めっちゃ鋭い。心臓バクバクする。赤ちゃんの心臓なのに、こんな緊張感あるのかよ!

そして、父親が口を開いた。

「その答えはまだ答えなくていい。お前には色々と話さなきゃいけないことがある。お前たちが成長した3年後まで、このことは持ち越しにしておく。」

……え?

父親はそう言うと、俺を胸の大きい母親に預けた。

母親の腕、めっちゃ柔らかい。谷間、めっちゃ近い。顔、まだ見えねえ。

母親は俺を抱きながら、父親とまた何か話し始めた。

今度は、隣の青髪赤さんがちょっと泣き止んだから、会話が少し聞こえた。

でも、やっぱりこの世界の言語。なんか意味はわかる。

というかなんでこっちの世界の言語わかんだよ!と突っ込みたくはなったがまあそうゆうもんだろうとこの場は思うことにした。


その言葉を聞いた瞬間、俺、一気にホッとした。

多分、顔に安堵の表情が少し出ちゃってたと思う。

あの質問された瞬間、ガチで恐怖感じたんだよ。

もし「あ、わかるよ!」なんて答えてたら、どうなってたか分からない。

異世界転生モノで、転生者バレしたら、実験台にされるとか、魔王に狙われるとか、よくあるじゃん!

俺の異世界生活、生まれて1時間も経たないうちに終了してたかもしれない。

考えるだけでゾッとする。

はぁ……これからどうしようか、俺の異世界生活。

まあ、頑張るしかないかぁ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺が母親の腕に預けられてから、しばらくはぼーっと周りを見てた。

赤ちゃんの視点って、めっちゃ新鮮。

まず、視界が狭い。首が動かせないから、目だけでキョロキョロするしかない。

でも、色がめっちゃ鮮やか。前の世界より、なんか全部がキラキラしてる気がする。

部屋のレンガ、めっちゃ赤い。

窓から入る光、めっちゃ暖かい。


青髪の赤ちゃん——たぶん俺の双子の兄弟——は、母親のもう片方の腕で抱かれて、ようやく泣き止んだ。

こいつ、めっちゃ元気。泣き止んだと思ったら、急に眠そうな顔をしてきた

「おー」とか言いながら、手足パタン

いや、お前、さっきまで世界終わる勢いで泣いてたじゃん。切り替え早すぎ。

母親が、青髪赤さんに何か話しかけてる。

声、めっちゃ優しい。なんか、子守唄みたいなメロディ。

顔、まだ谷間のせいで見えないけど、きっと美人なんだろうな。

父親は、部屋の隅でメイドさんたちと何か話してる。

黒髪メイドが、めっちゃ真剣な顔でメモ取ってる。銀髪メイドは、ニコニコしながらお茶かなんか淹れてる。

俺、ふと思った。

この世界、どんな世界なんだろう?

魔法とかある? モンスターとか? 俺、チート能力持ってる?

ステータスとか、試しに心の中で叫んでみるか。

(ステータスオープン!)

……何も起こらねえ。

やっぱ、声出さないとダメか? いや、赤ちゃんじゃ無理だろ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その後、俺と青髪赤さんは、木製のゆりかごに寝かされた。

このゆりかご、彫刻がめっちゃ細かい。なんか、ドラゴンとかユニコーンとか彫られてる。


父親の「あの言葉」が、頭から離れない。

「3年後まで持ち越し」って、どういうこと?

俺が日本語わかるってバレたっぽいけど、なんでスルーしてくれたんだ?

この世界に、日本っぽい文化があるってことは、俺以外にも転生者いる?

それとも、この家族が何か特別?

父親の目、めっちゃ鋭かった。

あの青い目、なんか、全部見透かされてる感じした。

赤ちゃんの俺でも、ビビったもん。


メイドさんに布団みたいなのかけられたらすっごく眠くなってきた。

赤ちゃんの体、めっちゃ睡眠欲強いな。

寝る前に、ふと思った。

この世界、まだまだ謎だらけだ。

というか俺チート能力、絶対あるって!

……まあ、3年後まで赤ちゃん生活だけどな。


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