消えたルームメイトの謎~二番煎じ。鎮魂探偵伊武受雷のふしぎ事件簿~
これは・・・いけないな(笑)。
※身内ネタです。あしからず。
鎮魂探偵伊武受雷は、死者に触れる事で生前の記憶を探ることが出来る霊能探偵である。
今回の依頼は、都内の高級マンションに住む女性からだった。
その彼女曰く、忽然とルームメイトが姿を消したそうだ。
失踪する理由も思いつかず、依頼主は仕事場や彼女の実家、知るうる限りの場所を問い合わせても居場所は分からなかった。
現在は警察に相談し、行方不明捜索の届け出を提出している現状である。
それでもと一縷の望みを託し鎮魂探偵へと相談したのだった。
受雷は一通り部屋を見渡し、依頼主に尋ねた。
「彼女の名前は」
「鏑木莉子です」
「なにか思いのこもった莉子さんの品とかありますか」
「これを・・・」
渡されたのは財布だった。
「失礼」
彼は中身を見た。すると一枚の若い男性の写真が入っていた。
「ふむ。ずいぶん若い男の方・・・古い写真ですね」
「昔の彼氏だそうです・・・たまに懐かしそうに見ていたから」
「そうですか・・・やれるか・・・では、うんうん、よしっ!」
受雷の突然のトランス状態への入りに女性はびくついた。
「うん、うん、うん、わかった!こんなんでましたけど~」
「それで」
「彼女は生きています。しかし、異世界へと転生されたのです」
「まさか・・・そんなラノベのような事が」
「いいえ、あるんですよ」
「はあ」
「なろう界隈ではよくある話です」
「そうなんですか?」
「そうなんです」
顔を近づけ受雷は食い気味に喋った。
「では、リコは一体どこへ?」
「彼女が転生された先は『異世界召喚されたら、そこは悪役令嬢のハレムだった。~勇者俺様!皆の者、ひざまずけ!チートな俺のハッピーライフ♡』という物語の世界です』
「知っています!それっ!山本大介の唯一の代表作っ!」
「その通り、しがないおじさんのせっせと文を書いている、なんちゃって異世界転生風の・・・」
「そう。昔のラノベの知識と今風をなんとく、混ぜてそれっぽくやっちゃってる感が、ちょぴり背伸びしていて俺中年だけど知っているぜと・・・」
「知った風な感じが、痛い痛しくもあり愛らしい」
「そう!ネトコン12二次予選突破の!」
「まさに今が旬のなんちゃってラノベ」
「苦節ウン十年っ!」
やめ、やめい~っ!
作者の心の声が聞こえたか、受雷はフリスクを丸ごと頬張ると依頼者へ笑顔を見せた。
「彼女は元気でやっています」
彼の言葉に、彼女は大きく頷き返す。
「ええ」
こうして事件は、無事解決したのだった(笑)。
思いついてしまったから・・・しょうがない(汗)。