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1.神在月

 人は、負の感情が過ぎれば鬼に堕ちる。


 鬼を退治し供養すること。それが巫女である私たちの仕事。


 巫女として適正のあるものだけが通える学校、浅茅ヶ原女学校。それが私の住んでいる所。


「朝露さん、朝の当番いつもご苦労様です」


「いえ、早起きなもので」


「白緑様も、朝露さんを見習ってほしいものですね」


「白緑…白緑様は、朝に弱いそうで」


「そういうのを低血糖っていうのかしらね?」


「低血圧です先生」


「そうでしたわね」


 血糖値下げてどうする、相変わらずの先生だな。


「朝露さんが毎日、花壇を綺麗にしてくれているから、ホントに助かるわ」


「お花が好きなんです」


「そうなのね。お花が好きなのは、心が清らかな証拠よ。頑張ってね」


「はい、ありがとうございます。また授業で」


 教師が去って、人気がなくなり、ポケットからお菓子を取り出し、にゃんコボーを一口。


「たく、やってられねーわ。優等生の振りをするのも」


 壁を蹴りつけて、モグモグお菓子を咀嚼する。


「ウマっ」


 花が好きなのが、心が綺麗な証拠?なわけない。


 右足を持ち上げ、花を踏み潰そうとして、思い留まる。何故なら、人の気配を感じたからだ。


 慌てて、箒で落ち葉を集めるフリをする。


「朝露さん、おはようございます」


「おはようございます、錦戸さん」


「今朝は寒うございますね」


「そうですね」


「それはそうと、社さんはもう朝の鍛練ですか?」


「はい、毎朝早くから鍛練をしておりますよ」


「それは、精が出ますね。社さんは、私たち巫女の期待の星ですから」


「言いすぎじゃないですか?だって…」


「ご謙遜を、朝露さんもさぞかしお鼻が高いでしょ?双子で仲がよろしいようで、羨ましい限りですわ」


 私たちを、分かったように言うな。私は、社といつも比べられるのが嫌いだった。


「では、ごきげんよう。また朝食の席でお会いしましょう」


「ごきげんよう」


 こっちは会いたくないてんだ。


 あ、そだ。ちょっと悪戯してやれ。


「呪法、『豆鬼』やってやれー」


 小声でボソボソ言う私を、端から見ると変な奴だろう。


 豆粒ほどの小さな鬼が現れ、錦戸に気づかれぬように額へ油性で肉と書いた。


 ナイス、豆太郎。私は、豆太郎とハイタッチを交わし。錦戸は、額を不思議そうに触れている。


 そうだった。早いとこ掃除終わらせないと、飯食いっぱぐれる。


 掃除を終わらせて、一度寮に帰り。身を清め、制服に着替え、朝食の席に着いた。


 ふうー、危なかった。


「何です肉って」


「えっ?」


 錦戸が、ちょうど笑いの種にされいるところで、ちょっと罪悪感。


 目を合わせないようにして、知らないフリをしときましょう。

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