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行を跨がず言えること  作者: 烏合衆国
第二章 言われたいことが/ある
16/46

ロイツの場合②


「儂の年齢?」


 岩の上に座るロイツは訊き返した。


「なぜそんなことを知りたいのかの」


「特に、深い理由はないんですけど――」ゲンは答える。数日を共にしたが、いまだにこのロイツという男は掴みどころがなかった。「結構若く見えるのに、言葉遣いが、あの、気になって」


「若く見えると」彼は相好を崩す。「ノリア、儂は若く見えるそうじゃ」


「おじさん!」


 ノリアは顔を上げて言った。彼女は狼、ヨーカ―の毛の手入れをしているところだった。


「……それで年齢じゃったか。しかし儂は自分の年齢がよく分からなくての」


「え?」


 それは、どういう意味だ。


「ロイツは、私に拾われたんだよ。行き倒れてたところを」


 フクシーが来て言った。「記憶があやふやで、自分の名前を思い出したのも結構後だったな。名字はいまだに思い出してないからルーツを探そうにも探せないし」


「そういうことじゃ」


 ロイツは軽く言った。


「分かりました」疑問は解消されなかったが、本人にも分からないのなら調べようはない。「えっと、もう一つだけいいですか」


「一つでなくて構わんがの」


「ロイツさんのスキルを確認してみていいですか?」


 彼は岩の上から降りてきて、細い脚で地面に立つ。「構わぬぞ」


 ゲンはロイツの胸の前に手をかざした。



『スキル【銀の杖】 lv.150。

 スキルのレベルが最大です。

 サブスキル【(サム)サノ(ナツ)】 lv.75

      【實リノ秋】 lv.75

      【(アツ)サノ(フユ)】 lv.75

      【祈リノ春】 lv.75

 サブスキルのレベルが最大です。』



 レベル150。


 限界突破したばかりなのに、すでに次の限界を迎えている。


 つまりは経験値の持ち越しだが――レベル150ともなると、どれだけ経験値が必要なのか、ゲンには見当がつかない。ゲンの場合、レベル1から90までに大体二年かかった。レベル90から100は、かなり楽な道だったがそれまで通り貯めていたらやはり二年ほどかかったのではないだろうか。レベル100から120となると、フウは到達していたが相当な道のりだ。何より経験値はレベルは上がるにつれどんどんもらえにくくなる。それは同じ種からもらえる経験値は初回が最も多くて、回数を経るとほとんどもらえなくなるからだ。その限界の更に上、レベル120から150となると、何年かかるか分からない。そもそも人間の生涯で到達できるものなのか。


 そしてサブスキル。存在自体ゲンはついこの間まで知らなかったが、他のメンバーを見る限り一人当たりスキル一つにサブスキル一つ、というのが原則のようである。それなのに彼は――()()も。限界突破の度に一つ獲得しているとしても、元から一つ持っていたという計算になる。


 本人に訊いたところで憶えていないと返されるのだろう。ゲンは話を切り上げて「ありがとうございました」と言う。


「ゲン、ヨーカーのも見たげて」


 くいと後ろからノリアがゲンの服を引っ張る。


「魔物は――見たことがないんだけど」


「やってみるだけ」


 言われるがまま、ゲンはヨーカーの身体の横から胸の辺りに手をかざす。


 特に、反応はなかった。


「魔物のスキルレベルの限界突破は、魔物の限界突破スキルにしかできない」フクシーは言った。「そのレベルを調べることから、人間にはできないんだろうさ」


「ありがと」


 何もしていないゲンにノリアは言い、再びグルーミングに戻った。


 少女と狼の関係。気にはなったが、また別の機会にしようとゲンは考える。


著者註

スキル【寒サノ夏】の『寒』の字は下の点二つが『ン』みたいになってる旧字体を使いたかったのですが小説家になろうのサイトでは使えない字のようです。カクヨムでは使えるみたいです。よろしくお願いします。


 *


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