First Incidentーー愛花side.(三)
翌日。
私は裕子を呼び出し、いつものカフェで集まった。
「何か分かったの?」
裕子がコーヒーを啜りながら言う。
「仮説でしかないし、証拠がないから正しくは言えない。けど、事件の真相が分かった」
「おお~。さすが愛花。それじゃあ、早速聞かせて貰おうかな」
裕子がおどけて言うと、私は座り直す。
「じゃあ、話すね。――事件が起こったのは、一九八〇年六月より、少し前。一九八〇年五月下旬頃。そこで、被害者の真野孝が野間茂樹によって殺害される。その時に、隣人である佐藤哲がその音を聴いて、野間家へ。恐らく、真菜子と茂樹の二人は何もなかったようにしたかったけど、佐藤哲の観察眼によって諦めたのかな。そうして、佐藤哲はその二人が起こした事件の処理をすることになった」
「ふむふむ。その後は?」
「その後、裕子が見せてくれた資料と同様の状況が続いて、佐藤哲が出頭、そのまま逮捕、起訴という流れで事件が終わった、という事件の筋書きだと、思う」一息入れ、私は口を開く。「これが、私の仮説」
「さっすが、愛花。数々の事件を解決しただけあって、なかなかの推理だったよ」
「それほどでもないよ」
私は笑う。だが、裕子の反応が少し変だということに気づいた。
「――まあ、これ全部私の作り話なんだけどね」
「え?」
あまりに衝撃的なことであり、小声なのでよく聞こえなかった。だから、私は再びそのことについて訊ねようとしたが、既に裕子がいなくなっていた。