◇『元人並み少女』エクストラ (ep:1)金髪少女が空を飛びに来ました。
好評の為、帰ってきました。
番外編『元人並み少女エクストラ』
一応、魔界での一件で『美咲自身の物語は完全完結』して終了しています。
でも、もちょっとだけ見たいぞ! 美咲に会いたいぞ! って方どうぞ!!
では本編始まります!! 楽しんでくれたら嬉しいです。
異世界から帰還し、美咲は高校へと進学し今年で高校3年生となっていた。
美咲の通う「海原高等学校」は周りが美しい海に囲まれた静かな田舎の学校であった。
そして、美咲はその学校で「人」として人並みで幸せな人生を送っていた。
そう、美咲が求めた普通だけど普通じゃない特別が沢山転がっているこの学校に。
美咲は神の力を借りた特別な転生により魔界での記憶を無くしこの田舎『六花町』へアルラウネ、アルデと共に転生し、約3年が経過していた。
この現実世界に転生した前世が勇者アルデであった少年『アル』は警察官を志すべく上京しこの六花町を離れていた。
前世が四天王蛇帝アルラウネである彼女はこの世界では美咲の妹『元神ララ』として転生し新たなる生を謳歌していた。
美咲と居れる最高の幸せを日々実感していた__記憶を無くしても残っている大切な美咲への大切な想いと共に。
そして美咲はと言うと。
※※ ※※ ※※※ ※※※※※ ※※※※※※※※
「まてまてまてー〜 このイノシシ!! おりゃあ!!」
海からみえる大自然の中で大きくて元気な声が聞こえる。
平原を駆け抜ける美咲の足音。
_ブッ、ブヒッ!!
『よっしゃ!! 捕まえた!!』
__フゴ、フゴ、フゴゴ。
美咲が小さい子供のイノシシを捕まえ、両手でガッチリと握りながらイノシシを抱え何か言う。
「うーん。君じゃないなあ……あのね、イノシシさん聞いてくれる?」
__ブヒッ、ブヒッ。
フガフガ。
美咲が捕まえたイノシシに対して何かを聞いてとお願いし、それにイノシシが激しく頷いた。
「あはは!! 優しいね」
「あのねイノシシさん君を新しく出来た大切なお友達にプレゼントしようと思ったんだけど君じゃその子も喜んでくれないよね」
__ブッ、ブヒッ!! ブヒブヒ!!
イノシシが小さい手をクロスさせ、バッテンの文字をジェスチャーした。きっと自分の危険を案じ俺をプレゼントするなとそう言ってるに違いない。
「だよねぇ、はあどぉしよう……その子可愛いものが欲しいって言ってたからさ……君じゃダメだ……ばいばいイノシシ君、ほりゃ」
美咲がポイっとイノシシをほおり逃がしてやる。
そうするとイノシシは猛スピードで逃げ出した。
「うーん……可愛いものかあ……何あげよ」
「うああ!! 今日中に決めないと明日『由依』ちゃんに誕生日プレゼント上げられないじゃん早く考えないとおおおぉお」
頭を抱え、美咲は嘆きの声を海に向けて一人叫んだ。
その嘆きの声を聞いていた妹のララが姉の美咲へと声をかける。
「おねーちゃんどうしたの? そんなにうるさくして」
「あ!! ララ!! どうして私のいるとこが分かったの? 連絡してないのに」
「ふふ、お姉様の居るとこなら大体ここかなーって感じで何時でも分かりますよ」
ララは口に指を当てて、可愛くそう言った。
「ふぇ!? す、凄いね……ララには私の事なーんでも分かっちゃうんだ!!」
「えへへ、そーですよ」
その時だったスマホに連絡の通知が友達の由依ちゃんより一件入った。
「ん? なんだろ由依ちゃんだ。ええと」
__ティロリン。
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◇由依(明日遊びませんか?)
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「へー!! あの控えめな性格の由依ちゃんから、遊びのお誘いなんてめずらしーね。ララ」
「そうですね、お姉ちゃん」
「ララも明日って由依ちゃんと遊べる?」
「全然空いてますよ?」
「やったあ!! おっけおっけ。じゃあ明日一緒に行こうねララ!! 明日は宴だー!!」
「おっ、良いですね〜ー ぜひ連れてって下さいよ、
お姉ちゃん」
「任しといてっー〜!!」
美咲はえっへんと両腕を腰へと当てて威張った。
「お姉ちゃんには色々と任せらんないですけどねー〜」
「ねー〜!! それ酷くない!?」
「ま、言いけど……」
(あ、いいんだ……)
「極力そういう事言わないように頑張りますけど……了解です!!」
「よーし、じゃあ由依ちゃんに連絡しないと」
◇__________________◇_※
__ティロン。
◇美咲(私たちは大丈夫だよ? 是非!!)
__ティロン。
◇由依 (本当ですか!? 嬉しいです!! では明日学校の帰り一緒に帰りながら遊びたいですっ……)
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「くぅー〜由依ちゃんかわいいなあっ!!」
「でも、珍しいですね? 控えめな性格の由依ちゃんから遊びのお誘いなんて」
「だねー!! 誕生日だからかな!! そんな事しなくても私達、祝うつもりなのにー〜」
このメールの主阿久津由依ちゃん。
私の一個下の学年で、高校2年生の控えめな性格だけどかっわいい私の後輩一か月前に出会ったばっかのお友達なんだ。そう、あれは。
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「うっ……うぐっ……うぐぐ……」
「美咲お姉ちゃん……大丈夫だよ、私が居ます……」
「うああ、あ!! ララぁ……うぅ……」
2年生のある日にすっごい仲のいい友達になったアル君が警察官を目指すべく東京へ旅立ち、悲しんでいた私の所へ彼女はやってきた。
『ヤバイ!! ヤバイ!! ヤバいですっー!!』
とても綺麗な透き通ったブロンドの金髪が風に揺れ身長の小さなお人形さんの様に可愛い女の子が坂の上から物凄い勢いで走ってくる。__自転車で。
「はにゃ!? ななな何あの子!! 見てほらララ!!」
「うむぅ? ほ、ほんとです!! 助けないと」
__爆走する金髪少女の城内はどうやらブレーキが壊れているようでとても焦って慌ている。
その様子で下から見ていた美咲達でもそれが分かった。
急な下り坂の勢いでもう、自転車は止まらない。
金髪少女の進む先には私達が喋りながら腕をかけていた柵がありこのまま進めば衝突して大事故になってしまう。
「ひぃい……誰か止めてくださいーー〜!!」
心の優しい美咲達はそれを見て助けに行くしかないと思い。
瞬時に身体が自然と動いた。
__シュタ!!
美咲の表情が真剣な表情へと変わり、普通の人間と思えない跳躍力で金髪少女の元へと一瞬でジャンプし、駆け寄った。
__しかし。美咲の跳躍力が凄まじすぎて、走り来る自転車を追い越し焦って自転車に追いつくため、人並み外れた身体能力で自転車と並行した。
「えっ、何これ!!止めようと思ったのになんか自転車と一緒に走ってんだけど私!! え、私の身体バグってる!!」
「 ひえええ!! 自転車止まらないしなんかヤバい人が隣ではしってるよぉおお……こわいいぃ」
「えええ、美咲お姉ちゃん……なにそれ!!」
「私にもわからないよぉ!! 飛んだら予想以上に飛びすぎじゃったの!!」
「……予想以上を遥かに超えてますよお姉ちゃん……だって最初その子を追い越してたし……」
「ひえええこわいいぃいい……下も左もこわいよぉ……このままだと私、死んじゃいます……あわわ」
「と・に・か・く!! この子を助けるのが今は先!! ええい!!」
「うぉ!! 美咲お姉ちゃんカッコイイ……のじゃあ……」
「えへへ!! 私、身体能力は自信があるんだよねっ!!! そりゃあああ」
__キキィ!!
「はわわわわあぁ……」
「止まった!?」
「……よしっ……止まった?」
ララが2人の元へ駆け寄り声をかける。
「美咲お姉ちゃん大丈夫ですか?」
「うん!! 私はこのとおりピンピンしてるよっ!! ぶい!!」
ピースサインで決めポーズを取りニコニコする、美咲。
__そして、金髪少女と言うと。
ぷくぷく……「はわわわ」……こてっ。
_____……意識が、飛んじゃってました。
これが元人並み少女と控えめ少女との初めての出会いだった。
本編は完全完結していますが、後日談はちょこちょこ続きます。そんなにながくはならないとおもいます!!
えー作者もね、美咲に会いたくてちょびっとだけ後日談かいたとさ、やっぱり最初に作った作品は愛着湧きますね。(舞瑠)




