76話 change The future
神の召喚能力により美咲の目の前に三体の幻獣が召喚される。
自分に定められた運命を自らの力で切り開きそれを越えろと。
神は美咲へそう言い放ちその意図は絶望に浸る美咲にちゃんと伝わっていた。
「じゃ、あ!! いっくよぉ!!!」
美咲は強化した身体の足でアクセルを踏む。
グルアア!!
キュピーー!!
グロロロロロ……
三体の幻獣が連隊を成し、一気に襲いかかってくる。
一体は地面に粘液を撒き散らしドロドロしく恐ろしい形相で近ずいてくる。
他の二体も地面にマグマ、氷を撒き散らしながら美咲を襲う。
幻獣の内、粘液を纏っている一体が溶解液を撒きちらしその幻獣が真っ先に襲って来る。
「く、……来る!!」
普通では避けきれないスピードで迫ってくるその攻撃を美咲はひらりと交し相手の裏に周り自分の何倍もあるその巨体に美咲は懇親の一撃を繰り出す。
「いっけぇええええええ!!!」
――ドーーン!!
鈍い音と凄まじい衝撃波を発生させ、爆風が巻き起こる。
「……ほう。」
その美咲の一撃に神は笑みを浮かべた。
「次!!」
美咲は次の撃破対象であるマグマの幻獣に睨みを聞かし、自ら戦いを仕掛ける。
「もう、私は止まらない ええい!!」
幻獣最大スピードへ凄い勢いで近ずき美咲は先手を仕掛ける。
――ドォオオン!!!
美咲が懇親の一撃を繰り出す……がハズレ。
「くっ……どこにいったの!? あの赤い幻獣!!」
美咲の視界から敵が消え、左右に目をキョロキョロさせ美咲は居なくなった敵を探すが全く見当たらない。
『フォオロロロロロ〜!!!』
美咲の背後から奇声が聞こえる。
「くっ……上か!?」
幻獣はもう一体の青の幻獣とコンビネーションを組み連携した攻撃を繰り出してくる。
赤い幻獣は燃え盛る息を地面一帯に吐きかける。
青い幻獣はそこに氷の凍てついた息を合わせて吐きかける。
そしてタイフーンの様にその二つが混ざり合い、赤と青の混ざり合った攻撃を二体が繰り出した。
「そう来るって訳か……ふふ、楽しい!!」
「おりゃあ!!」
天空から有り得ないスピードと破壊力を有する火と氷のブレス攻撃が迫る中美咲は跳躍し、自らその攻撃の方に向かう。
「へへ☆残念!! 私にはこんな攻撃じゃ、き・か・ない・よっと!!」
――バォオオオン!!!
美咲がブレス攻撃を物理的に掴み掴んだ瞬間魔法力でそれを無効化しその攻撃を投げ飛ばした。
……グルキュアア!!!
……ファアゴォオオ!!
敵の二体は怒り狂い近ずいてくる美咲を天空から迎撃する。
――ガシッ。
美咲が赤の幻獣を掴む。
そして、そのままそれを。
「うぉりああああ!!!!」
自慢の身体能力で幻獣をグルグルと回しその遠心力で青の幻獣の方へとてつもない勢いで投げ飛ばした。
――バゴォオオーーン!!!
外皮がとてつもなく硬い幻獣同士が凄い威力でぶつかるとかなり鈍い音が鳴り響いた。
「くっらぇええええ、最後ぉぉぉぉ」
「おっりゃあああああああ!!!!」
美咲がそのまま天空からクルクルと何回転かした後蹴りのフォームに体勢を変えその勢いで凄まじい威力を伴ったキックを繰り出す。
――ズシャン!!
目にも止まらぬスピードで加速したキックは赤、青の幻獣を2枚抜きで貫き美咲は無事着地する。
着地した、美咲を背に二体の幻獣は爆発四散する。
パチパチと手に付いた埃を美咲は払い除け、ビシッと神へ向けこう言い放った。
「さ、再戦だよ!! 神様!!! 今度こそ貴方を」
『絶対に倒すんだから。』
その瞳は真っ直ぐ、食らいつくように神を捉えていた。
これが!!神尾美咲のラストランです!!!!




