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元人並み少女は身体能力が高すぎて〜空まで飛んじゃいました!?〜  作者: うわのそら
第四章 元人並み少女の行先は
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72話 リバイバル


治療中ゆっくりと時間が流れ、静かにアルラウネとリミィの帰りを美咲は一人待った時間としては大体1時間少しだったであろうか。


美咲は居ても立ってもいられず、曇った表情でこう呟きながら、薄暗い通路を行ったり来たりする。


「遅いな……リミィちゃん」

美咲がそう呟き治療室の外でウロウロしていると点灯していた治療中のランプが消える、リミィがあろう。


「終わった!?」

慌てた様子で美咲がリミィ達が居る治療室に駆け寄りドアが開いた。


――プシュウゥウ


「はッ!! アルラウネ!!!良かったアルラウネアルラウネぇえ!!」

美咲がわんわん泣きながら治療台の上で起き上がったばかりのアルラウネに抱きついた。


「魔王の威厳ゼロね」

リミィが優しい目をしながらからかいまじりで美咲向け言葉を放つ。


「うっ……うぐっ……ぅうう……良かったホントに良かった」

少し虚ろな瞳だが、アルラウネの瞳はちゃんと動いており、呼吸などもちゃんとしている。


「ここも、ここもちゃんと何も無かったかのように繋がってる!! 流石リミィちゃん!!」


「だろ? もっと私の技術を褒めるがいいぞ……フン」

自分の技術を褒められ満更でもないリミィ。


美咲は大量に流してしまった嬉し涙を拭い改めてアルラウネへ濁りのない純粋な言葉を送る。


「おかえり!! アルラウネ」


「うっ……うう、……うー」


「え、……どうしたの……アルラウネ」

アルラウネが虚ろな表情で美咲を見つめながら何かを訴える様に腕をこちらへ向けながら唸る。


「っッ……アルラウネ……アルラウネそんな貴女喋れないの」

生き返ったと思った筈のアルラウネが言葉も喋れなく会話も出来ず、美咲はやっとの思いで再会出来たと思ったアルラウネの魂はそこに無かった。


「……っく……リミィ!! 失敗してるじゃん!!!こんなの酷すぎるよ!!!」


「オイオイ……最高のヒールにケチ付けるなんて辞めてくれよ……器は元通り綺麗に、傷一つ付けずに蘇生してあげたじゃない? 何が不満あるの?魔王様」


「器?……何を言ってるの……」


「うーん、じゃあ、おバカな魔王様に優しく教えてあげるわよ……器って言うのは文字通りその子の身体って事、そして私達が元に戻せないのはその子の魂よ」


「無理よ……魂は私達でも戻せない、そんな事この世界に住んでるならわかる事でしょ?」


美咲はこのリミィの言葉に何も言えなくなる。

ゲームや漫画の世界であれば蘇生と言った手段で魂まで戻るのは当たり前だが、この魔界では違うようでこの世界での蘇生は身体だけであった。


そして、リミィはその器の蘇生を遂行した、美咲が頼んだ『蘇生』は無事成功した為、これ以上リミィを問い詰める事は出来ない。


「……ありがとう、リミィちゃん……私が悪かった、約束は守るわ……魔物達に手配してあなたの欲しいものを上げる、じゃあね」


「ほんと!? やっほー!! やったやった」

悲壮に包まれる美咲を差し置いて一人喜ぶリミィ。


――プシュウゥウ


魂が抜け器だけになったアルラウネを大事に抱え、リミィへ別れを告げ美咲はその場を離れる。


「うっ、うう……」


何も喋れない息だけをする人形と化したアルラウネを見て胸が苦しくなり涙がポロポロと溢れだしてくる美咲。


「はは……ごめんねアルラウネちゃんこんなにないじゃっだら……アルラウネちゃんの服がっ…うぐっ……ビショビショになっちゃうよね……でもごめん、止まらないの」

器だけとなったアルラウネを見ているだけで何もしてあげられない不甲斐ない自分に悲しくなりあの時も何もしてあげられなかったことに後悔する。


「……いつもだったら、貴女がそばに居てこの涙を拭ってくれるはずだよね……」

プルプルと口元が震え、これ以上泣くまいと必死に涙を塞き止めようとする美咲だがその強がりがまた涙の波を呼び起こしてしまう。


――ポタポタ。



「うっ、うぐっ……何が欲しかったんだっけ私……強くなっても大事なもの……何一つ守れなかった……私は弱い……うあああああ……」

神様、魔王様に貰ったこの規格外の力を生かせず周りの大切なものが壊れて行く美咲は遂に泣き崩れてしまうのであった。



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