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元人並み少女は身体能力が高すぎて〜空まで飛んじゃいました!?〜  作者: うわのそら
第四章 元人並み少女の行先は
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71話 器ノ修復


美咲がアルラウネの遺体を大事に抱え治療用のベッドへそっと置いた。


デルタによってバラバラにされた身体のパーツも培養液から取り出し蘇生のために必要であろうと考えた美咲はちゃんと切断された手や腕を保管していた。


「これで全部よ……じゃあ、リミィちゃんよろしたのめるかしら……私の大事な部下、いやアルラウネを元に戻して!!」

必死な瞳で美咲は大事な半魔の少女を生き返してと元敵であったリミィへ訴える。


力あり、また非力な魔王になったばかりのその少女が向ける純粋で真っ直ぐな瞳は魔王と言うこの世界での悪の象徴とはまるで逆であった。


しかしリミィは情になどに流されず、淡々とした口調と冷めた瞳で美咲を数秒見た後こう言った。

「魔王の貴女にも大事な人が居るのね、分かったわ元通りにしてあげる……ま、ここまで傷つけられた患者を見ちゃったから言われなくてもやるけどね」

ヒーラーとしての血が騒ぐリミィ。


「お願い……アルラウネを……」


「はいはい、分かったって今やるわよ」


「魔法力解放、施術魔法展開……再生再構築(リカバリングテラフト)


リミィがアルラウネの施術の為に回復術師のスキルを発動した。


緑色の神々しい優しい光がリミィを包み込む。

そしてリミィが左手をスっと左へかざすとその掌から幾つもの光が出現し、薄暗い部屋を照らした。


リミィがアルラウネの状態を全て、確認した後一人頷いた。


「行けるわ……」


美咲はその緊迫した様子に固唾を飲んだ。


リミィは両手をアルラウネへ向けかざし呪文を詠唱する。

美咲の耳にはしらない言語の理解できない呪文が聞こえてくるが、きっとそれは呪文詠唱の時にしか使わない特殊な言語なんだろう。


ひとしきりリミィが呪文を唱えた後、両手から光っていた暖かい光が消え、リミィの瞳が光った。


「サーヴィッド・リッド・リンク」

また別の短縮呪文を唱え、アルラウネのちぎれてしまった腕を魔力で構築された特殊な糸でスムーズに縫合する。


そして、治療に必死だったリミィの頬からポタポタと汗が伝う。


美咲がそれを拭おうと、近づいたがそれを拭う前にリミィの顔の近くに妖精の様な光り輝いた小さな化身が現れ汗を拭う。


「大丈夫、ここから先は私達プロに任せてちょうだい。気が散るわ……魔王様本気でこの子を救いたいのなら外で待っててくれると嬉しいのが本音なんだけど」


心配性で何時でも気を張る精神のあまり強くない美咲の事を察し、リミィが少し強い口調で治療室から出ていけとそう発した。


美咲は緊迫したこの空間に押されたのか素直にリミィにこの場を任せ治療室から退室する。


――プシュウゥウ


自動ドアのセンサーが反応し美咲が退室した後そのドアは固く閉ざされ、治療中と赤いランプが点灯する。


そして美咲は近くにあった椅子に腰掛ける。


「お願い……アルラウネちゃんをどうか生き返らせてください……」


美咲がこの世界に来て唯一欲しがったのは大切な友人の命だった。


魔法あふれるこの世界で失った命は取り戻すことが出来るのか、それは美咲はまだ知らない。


「ドラドラも生き返らせられたんだから、きっと……アルラウネちゃんも……助かるはずだよね」

ドラドラの様な魔力で作られた生き物を再構築させ生き返らせる様な魔法は美咲でも持っていた。


しかしアルラウネの様な純粋な生き物は美咲にはいき返させられない、半魔のアルラウネには心や細胞と言った人間にも同様の物があるからだろう。


美咲にはそれを再構築させる魔力は持っていなかった。

「リミィちゃんならきっと……」

鹵獲したばかりの敵を信頼してしまう美咲の()()()()()が垣間見える。


――果たして、アルラウネはリミィによって無事生き返る事が出来るかは神のみぞ知る。

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