66話 自分、彼女に決着を
『グャオオオオオ!!』そう叫びアルラウネは真の姿である解放の魔法を唱えた。
アルラウネは半魔の姿を捨て、リミッターを外し100パーセントの力を行使する為に大蛇の姿となる。
――しかし、これにはデメリットがあった。
アルラウネはこの姿に戻ると暴走してしまうという事。
一度、本来の姿のアルラウネが暴れたらもう誰にも――止められない。
『グキャアアアア!!』
アルラウネは禍々しい威圧力の咆哮をデルタへ放った。
アルラウネに睨みつけられ咆哮による威嚇でデルタは地面に膝をつく。
「くっ……」
実力者であるデルタだったが、アルラウネの真の姿から感じる圧倒的な強い魔のオーラから恐怖を少しだけ感じていた。
デルタの頬に汗が伝う。
一瞬の静寂の後、仕掛けたのはデルタであった。
__スン!!
勢いよくデルタが跳躍しアルラウネの目を潰す為に剣をアルラウネの瞳向け身体全身で加速し一点集中の攻撃を仕掛ける。
「グキャアアアアォオ!!」
アルラウネの尻尾から無数の葉が生えそこからその鋭利な葉っぱ達が射出される。
「なに!! くっ、こしゃくな」
「凄い!! アルラウネちゃん!!」
アルラウネは葉っぱを魔族特有のテレパシーでコントロールしその葉達はデルタへ向かい追い続ける。
__ザシュッザシュッ!!
「くっ、処理しきれない」
鋭い葉であったが当たってもかすり傷程度しか与えられない物であったが、アルラウネが放ったこの無数の葉は物理的な攻撃が目的ではなかった。
そして、処理仕切れずかすり傷でもデルタへヒットした葉っぱ達がジワジワと効果を現し始める。
「クソ……成程これが狙いか、ぐっ……」
葉っぱにはアルラウネの猛毒が付着しており、デルタの意識をジワジワと奪っていった。
「ハァ……ハァ……まずいな、こいつの事は頭に入れていなかった、まずい……意識が……アルデの仇がもう少しで打てると言うのに」
意識が朦朧としてくるデルタに美咲が近づく。
「ごめんね、でも仕方無かったんだよお姉さん……アルデ君の事が私好きだったの……でもね魔王の私と勇者のあの人じゃぜったい幸せになれないと思ったから」
「殺したの……ごめんね」
『ゼェ……ゼェ……貴様ぁあ!!!!』
「殺す!! 殺す!! よくも、よくも私のアルデを」
「……ぐっ、ふふ、じゃあねお姉さん……じゃあ私なりの償いをしてあげる」
「……今すぐアルデ君の所にお姉さんも送ってあげるからね」
__スっ
美咲がデルタへ手を掲げ魔法を放とうとする。
しかし、そこに。
『グキャアアアア!!!!』
暴走し大蛇と化したアルラウネが木々をなぎ倒し物凄いスピードで二人の元へ近づいてくる。
__ドゴン!!
「だめだよ、アルラウネ……ここは私がケリをつけたいの、少しじっとしてて」
美咲が身体能力を行使し、アルラウネへ傷を付け無い為に衝撃派で威圧し暴走するアルラウネを静止した。
「グッガガガ……」
美咲により止められたアルラウネはその場にとどまりじっとしている。
「じゃあね、お姉さん……」
「_裁きの振り出しジャッジラストリンカーネーション_!!」
美咲はアルデを葬った時と同じ呪文をデルタ向けうち放つ。
神、悪魔どちらとも取れる異形の形をした化身を放出しデルタを包み込み一瞬の内にデルタを消し去る。
「……さようなら、お姉さん」




