65話 謎のローブ
泣き崩れる美咲の前に立ちはだかった謎のローブの者が美咲へ「殺す」と確かな殺意を美咲へ向ける。
ローブの者は美咲に剣を突き立て美咲の出方を伺う。
「さあ、噂の身体能力で向かってこい、魔王」
「ぐっ……」美咲ぼんやりとした意識の中でフラフラと立ち上がり口を開く。
「おま……えか、お前が!! アルラウネちゃんを!!」
「そうだ、と言ったらどうする?」
「くっ……」
美咲は目にも止まらぬスピードで加速しローブの者の目の前まで一瞬で接近する。
そして、最大強化された美咲の身体能力から繰り出される一撃はローブの者の腹部を捉えボディーブローを撃ち放った。
「決まった……!? え、なんですって!?」
__バチバチ__ドゴン!! 雷鳴のような轟音が鳴り響き怒りの一撃が雷のようなオーラを纏い凄まじいパンチが繰り出される。
しかし、
「フン、やはりそう出たか私の想定道理……」
美咲はボディーブローを決めたと思ったが、裏にに回られてしまう。
ローブの者は美咲の行動は把握済みだったと言わんばかりに美咲の攻撃は回避されてしまう。
「――!? くっそぉ!!」
美咲は高速で動きまわるローブの者に翻弄されてしまう。
「くらぇえ!! くらえ!!」
美咲は怒りからか、全身で連続の攻撃をローブの者へ向け繰り出し続ける。
ローブの者は重力と慣性を操るかの身のこなしで、スルスルと美咲の攻撃を華麗に避け続ける。
「フフ……当たらないわよ、私はあなたを知り尽くしている」
「くっ……はぁあ!!」
相手の言葉使い、声質から顔は見えないが自分と同じ女性と言う事がわかった。
「あなたは誰なの!! 何で私をこんなに憎んでるの!!」
相手から感じる唯ならない殺気から、美咲は何故執拗にこんなに自分を憎んで命を狙ってくるのか質問した。
「フン……死ぬ前に教えて上げるわよ……私はあなたが殺したSランク勇者アルデの姉、デルタ」
「!? ア、アルデ君の……」
荒れ果てた美咲の心に更なる追い討ちをかけるかのようにアルデの肉親である姉デルタが立ちはだかる。
――スチャ。
デルタが二本目の剣を取り出し、高速で美咲の目の前へ加速する。
「私は絶望した、アルデの居ない世界の平和なんて要らない、だからどうあってもこの戦いでアンタを殺す」『はぁ!!』
__ガキン!!
美咲は何時ものようにアーマーでガードし、得意の身体能力で上空へむけ移動し回避する。
それに伴い、デルタも負けじと浮遊魔法で美咲を追い続ける。
「甘い!!」
「貴女を討ち滅ぼす為に勇者軍のデータベースでずっと貴女のデータを取っていたの今日、この日の為にね。はぁ!!」
「ぐっ!! ぐああ!!」
美咲は不意を突かれ、双剣によって放たれる斬撃をモロに受けてしまう。
「チェックメイトね、魔王様さよなら」
__バシュ!!
その時だった死んだかと思われた、片手を失ったアルラウネが美咲の前に突然現れ瀕死の体で主である魔王美咲を四天王が一人アルラウネが命をとして守ったのである。
「ア、アルラウネ!!」
「ぐっぐああああああ」
アルラウネの腕がデルタの斬撃により切り落とされる。
「ゼェ……ゼェ、妾がどうなっても主、いやの事は殺らせん!! ……フン、ルビナスが調子に乗りおって美咲を殺すなら妾を殺してからいけぇ!!」
地面にボタボタと紫の血液が零れ、倒れている美咲の頬に滴る。
「ア……アルラウネ、止めて!! やめ……て」
「大丈夫じゃ、美咲……妾はタダじゃやられんよ」
「フン……我々アルベドの繁栄を邪魔する醜い悪魔が!! アルベドの意志を代表し、私が貴様に天誅を下す、死ね!!魔族」
「ハハハハ!! アルベドの意思か……」
両腕を失って衰弱しきっている筈であるアルラウネが急に笑い声を上げた。
『かかってこいのじゃ、我の真の力を見せてやろう……』
「アルラウネちゃん!! まさか」
「フン、美咲懐かしいの……そうじゃ、お主に見せるのは初めてになるかの妾の本当の姿を」
『フハハハハ!!! 刮目せよ!! 超絶身体解放変化を!!』




