63話 ライト・バーサス・ダークネスそう、私の勝ち
――スタッ!!
sssランク勇者を撃破した美咲はパレット海岸を後にし、魔王城近辺に攻め込んでいる勇者軍総勢100名を迎え撃っているゼロルド達の方へ飛び、そして着地する。
「間に合って……」
美咲が無事着地すると勇者軍と魔王軍が大勢で争っていた。
戦闘狂の美咲が今は、敵の撃破より先にアルラウネの安否を確保したい、そう思っていた。
「絶対……死なせない」
美咲アルラウネを思うあまり思いが零れそれが言葉となり、一人呟いていた。
一刻も早くアルラウネの元へ駆け寄りたいそんな気持ちが心の中を駆け巡っていた。
――そして、美咲は目を閉じ、テレパシーから感じ取ったアルラウネのオーラを必死にこの混戦から読み取ろうとしていた。
「見つけた!!」
美咲は衰弱するアルラウネの弱々しいオーラをこの中から見つけ出した。
「今行くから!! 待っててアルラウネ!!」
そして美咲は身体能力を最大強化し足に力を込める。しかし、その時であった。
「行かせない!!」
長年の感で美咲の邪悪なオーラを察し、勇者軍の兵士は美咲へ攻撃を仕掛ける。
そして、勇者軍精鋭の兵士が剣を振りかぶり美咲の不意を都合とする、が。
――ガキン!
美咲の身体に身についている腕の装備によって攻撃が防がれる。
「ぐっ!! こいつ俺の攻撃に気づいて、何故だ!!」
「甘い、っよ!!」
美咲がくるんと俊敏な動きでその攻撃を交わし、短距離の瞬間移動を行使し敵の後ろへ瞬時に回る。
「ぐっ!! なんだと!?」
「君だけじゃないんだっ!! 察しが良いの」
「じゃあね、来世ではもっと不意を付くの上手くなってね、えい☆」
美咲は移動の為に身体能力強化していたので勇者軍の兵士に向け懇親の一撃をお見舞いする。
「ウゴァァ!!」
兵士は爆弾が破裂したかの様に粉々に砕け散り、破片が一面に散らばった。
「きゃ、きったなーい 不意つくならもっと気配消してよね全く……私の事殺す気あんの? あ、そうだったそうだったこんな事してる場合じゃない、よっと」
美咲はアルラウネの元へ急ぐ為、もう一度空を飛ぶ。
「ヤバいぞ……なんだあの娘」
「情報部隊によると奴が魔王らしいぜ」
「やべぇ……勇者軍精鋭のキリメロが一瞬で粉々に……なんで奴だ、お、俺もう戦えねぇ!!ひぃいい」
「バカヤロ!! 殺られたやつ全ての仇を俺らで打つんだよ!!!」
美咲と勇者軍精鋭のキリメロが戦っている様子を伺っていた勇者軍の兵士達は美咲に恐る者、戦意を失う者、味方の為に反旗を翻す者と様々であった。
そして、空を飛ぶ美咲を追う事を覚悟した者が複数名魔王美咲は見事にヘイトを買う事に成功していた。
……意図はしていないが、魔王軍としては100点以上の活躍であった。
そのヘイトのお陰でゼロルド、人間体となったレグリスは快調に戦闘を進められた。
「オルァ!!」
「喰らえ……です」
美咲の見えない所で、レグリスとゼロルドが連携技を放ち勇者軍を圧倒する。
レグリスが魔法で炎の柱を地面から展開し勇者軍を分断し、ゼロルドと敵の擬似タイマン即ち一体一の状況を作り出し炎のデスマッチを勇者軍の兵士向けてゼロルド達は展開していた。
空からはレグリスの炎の魔法で流星群が降り注ぎ勇者軍の兵士を襲っていた、その為戦敵はいずらくゼロルドの俊敏な身体能力から繰り出されるスピード感のある連続攻撃が敵を襲い相手を撃破する。
__ドカドカ。
「ふぅ、片付いたぜ。 はっ! レグリス特訓の成果出てるじゃねぇか俺とお前の連携最高だったぜ!!」
「はいなのです、副隊長……これも美咲様の為」
「ん?なんか言ったか?」
「いえ。」
__そして、美咲は追ってくる勇者軍の兵士達を後にアルラウネの元へと急いでいた。
「喰らえ!! アイツが魔王だ!! 撃ち落とせ!!!」
「ハッ!!」
勇者軍の兵士達が遠距離武器を構え魔法の弓矢や魔法の弾丸で美咲を必死に狙い打とうとしていた。
「いけぇ!! 一斉射撃!!」
そのパーティのリーダー格の女騎士が号令をかけると美咲向け無数の攻撃が降り注いだ。
「……おっそいよ!!」
美咲はひらり、ひらりと美しく弾を避ける。
「……!?なんだとあの娘、撃ち落とせ!!何としてもだ!!」
「もーうっさいな少し黙っててね、君達とは今戦えないの後でね喰らえ!!」
美咲は溢れんばかりの魔力を解き放ちそれを手の内で火球に変化させ相手向け広範囲にそれを弾丸のように打ち放った。
「うがあ!!!」
敵は戦闘が続行不可能な程に焼かれ倒れた。
「ふふふ、君達もダメダメだなあ!! じゃねーばいばーい!!」
――ヒュン!!
美咲は追っ手達を撃破し、アルラウネの元へと高速で向かったのであった。




