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56話 テレパシーと魔法陣


魔王の間に戻った美咲はアルラウネの帰りを待ち、肘掛に手を置いて頬ずえを付いた。


「ふふふ、なかなか楽しくなってきた」

美咲の口角が上がり、素直にニコッとわらった。


次は魔法で何をしようかと考える美咲……


__「むむむ、……」

美咲は小説のネタを考えるが如く自分の脳内から面白い魔法のアイデアを捻り出そうとする。


『あ! そうだ!! 良いこと思いついた!!』


__ピコーン

いい事が思いついたのか、手をパチンと鳴らす。

発想力豊な美咲は新しい魔法を思い付いた。


「テレパシーだよ!! テレパシー」

そう言えば、魔族の皆ってテレパシーで逐一情報共有してるんだっけ!!


「それ!! 私もしたい!!」「そう言えばそのテレパシーってやつ、私だけ出来なくてハブじゃん」と一人事を淡々と呟いた。


魔王美咲の、プライドにかけて自分だけテレパシーが能力が使えないのは不服だったので魔法によって自分も出来るようしたいと、美咲はそう思った。


現代っ子の美咲には、この魔界に来てからというものスマホやその他の通信機器の類が存在せずとても不便であった。


「よっし!! 物は試しだーやるよ〜!!」

__ブォン。


両手を広げ、魔法陣を展開した。

「ええと、どーやればいんだろ」

テレパシーを習得できるように手探りで習得の方法を探す。


「んー、とりあえず魔導書とか読んで分析しない事には、やり方わかんないや、えへへ」


やり方が結局分からず、魔導書があれば分かるかもとそう思う美咲。

元五番隊の皆と打ち上げした、時美咲は『魔導書』の存在を聞いており、その幾多もの魔法の習得を補助する言わば、魔法の教科書の様なものを美咲はそれを今必要とした。


__パチン。


美咲が指先を勢いよく交差させ、指で音を鳴らした。

そうするとこの城の大魔導図書館から数冊使えそうな本が美咲の元へ瞬時に転移する。


__シュピン。


「あー!! あったこれこれ」

早速美咲はそれを手に取りしばらく、閲読した。


……

美咲は抜けている所はあるが、勉強の面で言うと平均的である為おバカでは無かった。


その為、要領はよく『テレパシー』の概要を直ぐに理解しそれを真似た。


「ありゃ、これ魔王様のチート能力使って自分を改造したりしなくても今の私なら身体に魔力があるから出来るかも!!」

「ええと、まずは情報共有したい対象を思い浮かべ強く念じます」魔法で浮かせた魔導書を参考にしながら美咲はやり方をなぞる。


『アルラウネ、アルラウネ、アルラウネ……』

美咲は必死に今連絡を取りたい相手であるアルラウネを必死に思い浮かべた。


『の、のじゃあ!? み、美咲様』


「あ!! 繋がったえ、凄いスマホの上位互換じゃんこれ!! めっちゃ普通にアルラウネちゃんが前にいて喋ってるみたい!!」テレパシーの習得がスムーズに成功し美咲は素直に感動する。


「あーえっと聞こえる? アルラウネちゃん」


『はい、勿論聞こえますのじゃ、美咲様ゼロルド達にテレパシーのやり方を教わったのですかの?』


「違うよ!! 魔導書見っけたからそれで!!」

「あれ? アルラウネちゃん私の事舐めてるのー~?」


『のじゃあ!! 滅相も! 自力とはさすが美咲様です』


「えへへ〜 あ、褒めてもらう為にテレパシー使ったんじゃないや。おっほんアルラウネ、そっちどう?見つかりそう?」


「成程、勇者偵察の件でわざわざ……こちらからテレパシー差し上げればよかったですのじゃ」


『いえ、sss勇者はまだ見つかっておりませぬが魔王城周辺のパルス海岸に何名か人間の気配を検知しましたのじゃ』


「お、いーじゃんアルラウネ!! それ見に行っちゃってよ、危なくなったら直ぐにテレパシーで連絡するんだよ」


『はい了解しましたのじゃ、丁度行こうか迷っておりましたので連絡貰えて良かったのじゃ、では!!』

__ビョオオオ!!


勢いよくパルス海岸へ向け、アルラウネは急降下した、そこで美咲とのテレパシーは途切れた。


「人間を検知か、ふふ……こんな所まで来れる人間なんて……勇者しかないじゃない」

美咲は邪悪な笑みを浮かべ玉座で笑みを浮かべた。

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