55話 アルラウネ。
「のじゃ、あそこが怪しいのぉ……」
アルラウネは美咲の命令でsss勇者の探索に向かっていた。
アルラウネが共感覚を魔力で強化し、聴覚、視覚、嗅覚全ての強化された強感覚を使い全身全霊で勇者を探していた。
その千里眼の様な感覚を用い何かを、感じ取り勇者足止め用のダンジョンの付近で複数の人の気配を検知した。
「ふむぅ、ノルダムの谷から少し行ったパルス海岸の方に三人検知か……この強い気配これはもしかしたら、もしかするかもしれんのぉ」
アルラウネはペロリと舌なめずりをする。
__一方、現魔王美咲はと言うと。
「なでなで……」
まだずーっと半魔となったレグリスを撫でていた
「なでなでーなでなで。あー癒される」
「……レグリスいい子です?」
「いーこだよいーこ、いいこむふふー」
「はは、こんな所アルラウネ様に見られたらレグリスの野郎嫉妬されちまうな!!」テレパシーで美咲とアルラウネの一部始終を共有していたゼロルドがそう言った。
「へ!? え、なんでアルラウネちゃんが嫉妬しちゃうの!?」
「あ、いやなんでもありませぬ美咲様」
やっぱり鈍感系ヒロインだった美咲は誰からの好意も自覚していなかった為、ゼロルドの言っている事が全くわからなかった。
「はにゃー?」
おとぼける美咲……いやワンチャンこれは実は分かってる?とゼロルドの事を心理的に振り回すあざとい美咲。
「わっかんないなーーえへへ☆ 」
「美咲様、美咲様に言いたいことがあるのですが、聞いてくれますでしょうか?」
何やら、レグリスは美咲に言いたいことがある様だ。
「ん? どしたの? レグリス」
「私、翼まだあるけど、美咲様を乗せたりは出来なくなったそれでも美咲様は大丈夫か?」
まだ、慣れない言葉で頑張ってレグリスは思っている事を伝える。
「あーそっかそっか、じゃあニアワイバーンにも戻れるようにまた魔法使ってあげる!」
「なんと!?」
とんでもなく融通の聴く美咲の魔法。
「……おぉ、流石我が主美咲様」
「むふふーんまっかせてー!えい!!」
__ブォン。
美咲が手を当てると、魔法陣がまたレグルスの前に展開される。
「はい、これで大丈夫、何時でもレグリスのタイミングでワイバーンに戻れるよ」
「わーい、わーい美咲様最高」
「もー! そんなにほめないでよ!!えへー〜」
美咲にガバッとレグリスが抱きつき甘える。まるで美咲の妹のようでとても可愛い、そして美咲もぎゅーっと抱きつき返す。
「かわいいなあ!! このこのっ」
「……ふかふか」
「えい、」
「__ふぎゅっ!!」
美咲の無い胸を、無邪気にもレグリスは掴んでしまった。
「あれ、無い美咲様お胸ないの?」
いくら言葉の喋れない低級魔族の時に賢く優秀とされていたレグリスだったが半魔としてはまだ幼い少女であった為無邪気を働いてしまった、そしてその上。
――ゴゴゴゴ……。
「レグリス……今なんか言った?」
「へ、言ってません」
「ダメでしょ?嘘ついちゃ」
美咲の周りに禍々しいオーラが出現する。
――ヤバい殺される。
胸を指摘したレグリスは美咲の地雷を盛大に踏んでおり、その場に居た者全ての空気が凍る。
「やべぇみんな死ぬぞこのままだと」
「でも、どうすりゃいいんだ」
隊のみんなもこの謎の内輪もめにどうやって仲裁を入れるかと小声で会議をし始めた。
「嘘は良くないよね? レグリス?」
「は、はひぃ……ごめんなさい美咲様ぁ……胸ないとか言っちゃってごめんなさい」
「ふう、分かればいいよ分かれば」
「ひっ……ありがとうございますぅ……」
レグリスの誠意によってこの場は収まった。
『ふぅ。』
隊のみんなも、安堵した。
「レグリスのマジ、野郎あっぶねぇ……」
そして美咲が後ずさり捨て台詞を放つ。
「あ、そだこれはみんな向けだけど、次私の胸に誰か文句言ったら」
『殺すよ?』
「ひぃいい!!」
美咲が久しぶりに、魔王の禍々しい威厳を見せて王の間へ帰る為、階段に向かう美咲。
「じゃー皆ゆっくりね、次の戦闘は多分激しくなるから、新一番隊の皆には期待してるね」
美咲が意味深な事を皆に言い放ち、美咲は自分の部屋へ戻った。
「は!!!」
隊の皆も美咲から期待を受け新一番隊の皆は特訓へ向かった。
「行くぞ皆!!! 美咲様を絶対に守り抜くため我々も鍛錬を詰むぞ」
「おー!!!」
「レグリス!! 貴様にもみっちり魔族道を教えこんでやる行くぞ!!」
「は、はい!!」
新一番隊の魔族皆は更なる魔族の高みを求める為、城の中にある特訓用の設備へ向かった。
「そう、次が私の、いえ魔族全てを掛けた戦いよ」
儚げな顔で美咲が、一人そう呟く。
書き溜めきれてしまいました……
新作準備のため明日はお休み予定です!!
*明後日には更新したいと思いますー!




