49話 こんにちは魔王の私
「お主……人間にもかかわらず」
「命を取る事に躊躇が微塵もないとはの……」
語りかけてくるアルラウネに返答もせず、儚い目でアルラウネを見つづける。
「フッ……ハハハハハ!!」
「新たな魔王としての不満のひとつも無しじゃ!!妾の心は今震えておるぞ、お主の底知れぬ邪悪さにの」美咲の肩に手をかけ妖艶に美咲の耳元でそう囁く。
「……たの」美咲がボソッっとなにか呟いた。
「あ?何か美咲、今申したか?」口にしたその言葉をアルラウネがすぐさま拾う。
「……普通が嫌だったの私……でもこれで私は私を越えれた」
「あの人はもう居なかった私の好きなアルデ君はもう、それに記憶を戻さないように私の魔法で回復してなんて出来たかもしれないでもそれは違う……」
美咲が虚ろな目で淡々と口を開く。
「ずっと隠し事をしながら私はあの人の傍で笑って居られない」
「勇者を好きになった時点で魔王軍の私と勇者結末は決まってたんだよね……」
「私は……普通、そして、人間を辞める今ここで」
「私は、魔王」
「私の世界を作る、ついてこいアルラウネ」
「美咲の表情が変わり強い口調でそう言った。
__きゅん……
アルラウネの胸に何かが刺さった音がした。
「くぁああ……ふぇええ……」普段冷静なアルラウネの表情が一変し語彙力が魔王美咲により破壊される。
「アルラウネ、探せ『sssランク勇者』をそいつの首を……私が取る」
「は、了解しました」アルラウネは美咲の命に即返答した。
バサッ………漆黒の翼をアルラウネは魔力生やしsss勇者の調査へ向かった。
「……勇者、魔王、人間、魔族か……」
「人間ってなんなんだろね……喜んだり、悲しんだり。ほんとに勝手な生き物だよ」
人相の変わってしまった美咲は一人誰もいない王室でボヤいた。
『やあ、美咲調子はどうだ? なーんだちゃんと魔王として勇者殺してんじゃん』
今の美咲には耳障りな声が脳内に語りかけてくる、その声の主はあの神だった。
「うるさい……殺してないよ……器は壊したけれど。少し黙ってて久しぶりだけど今は貴方と喋る気分じゃないから私」
『殺してないか、成程な』
美咲の言いたい事が分かったらしく神は、大人の対応で引き下がった。
「わたしの言いたいことが分かってくれてるみたいね、さすが神様なんでもお見通しって訳だ」
『ふっ、当たり前だ神だからな……他人の魂を好き勝手にするとはお前も中々人を捨ててきたな』
「ふふ、普通の子を辞めたかったから当然……行くとこまで行ってやるんだから……じゃないと貴方にこんな所に連れてこられた意味が無いわ」
『フン、言うじゃないか……ま、引き続き勇者狩り頑張ってくれたまえじゃあな、元人並み少女さん』
少し皮肉めいた言葉を最後に残し神との会話は終わった。
「勇者狩りかぁ……頑張らなきゃな、私こんなに……こんなに強くなったんだもんね……そうだよね」
「笑え、笑え美咲私は出来る子今や魔王なんだよ何の不満あるのアルデ君だって勇者だったんだよ?……この世界では勇者は悪……大丈夫私の選択は間違ってない」(それに、あの魔法が効いてくれてるはず……)
「今は私に仇なす存在つまり勇者全てを抹殺しないと」
「にひひ、楽しくなってきたじゃん私の魔界生活」長い自問自答の末いつものテンションに戻り、この世界の悪。
勇者筆頭人間を抹殺するべく魔王美咲はワクワクしていた。
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