48話 お別れをしちゃいましょう……
「覚悟しろ美咲!! はぁ!!」記憶が戻った勇者アルデは刃を美咲に向け仲間の無念を晴らそうと復讐の一撃を加える為、美咲の懐へ持ち前の速攻力で潜り込んだ。
「きゃっ!!」刃が美咲の髪をかすめる。
「次は外さない」
「ダメだよアルデ君私は貴方とは絶対戦えないよ!!」 美咲はアルデの攻撃を交わしながら説得を続ける。
「黙れ!! お前は私の仲間を!!」
「くっ……!!」美咲は痛い所をつかれ動きに乱れがではじめる。
強化した一撃をアルデに繰り出せば、美咲の勝利は明白だがそういう訳にも行かず美咲は追い詰めれる。
(最悪私の命が危ないっ……!! どうしよう私っ!!)
「覚悟の時じゃぞ美咲そやつを殺すか……生かすか選択はお主次第だ……早く決めぬとお主死ぬぞ?」アルラウネは思いやりか今の美咲には少々厳しい選択事を美咲に迫った。
「仮にもそやつは勇者そしてお主は」『……魔王』
「私は……私はっ!!」美咲はこの一瞬でここへ来た目的と転移前の平凡な自分を思い出した、普通に流れる日常のつまらなさ、そしてここでの非日常の連続アルデへの好意、自分の魔王軍としての犯してしまったアルデへの過ち、そんなふたつの矛盾した自分。
『人』か『魔王』の間で揺れている自分への選択
アルラウネの言うとうり選択の時が迫っていた。
「……」
「決めた」
__ギリっ……美咲は歯を思い切り噛み締め覚悟を決めた。
「私は……ッ!!」
『魔王』
「神尾美咲」
「アルデ君ごめんね……」
「はァ?……貴様」
「なにを謝っている!! ふざけるな!!」怒りに打ち震えるアルデは1度火のついた爆弾の様にもう止まらないであろう。
「うぉおおおお!!」怒りに身を任せ美咲の首を取ろうと一心不乱に勇者アルデは突撃した。
_裁きの振り出し_…… 美咲がそう告げた瞬間禍々しく光る魔力が目視できる形となって美咲を纏い、半分は神様の様に神々しく又、半分は悪魔の様な形を魔力だけで形成した。
「ほう、美咲覚悟の上魔王の力行使するか」ニヤリとアルラウネは不敵な笑みを浮かべる。
「なにっ……召喚魔法だとっ!?」アルデが美咲の魔法に惑わされる。
「ちがうよ、アルデ君……」
「これは私の魔力がただ形となって貴方に見えてるだけ、ごめんね……」
「すぐ、楽にしてあげるね」美咲が悲しげな顔でそう言うと展開されている魔力の神と悪魔の神側の手の平が彼を掴み込む。
「人って醜いね、アルラウネちゃん」美咲が俯きそう1人呟いた。
「なっ……!?」アルデの視界はありえない距離から突如繰り出される、美咲の攻撃によって曇ったアルデの視界は暗闇に包まれる。
死期を悟ったアルデは咄嗟にこう言い放った。
「この悪魔!! みんなを返せ、俺は死んでも貴様を覚えている神尾美咲!!」 「……ッ!?」
その一言を最後にアルデの命は尽きてしまった。
「……ごめんね」「勇者アルデ君」
__……グシャ。
激しい、圧縮音を最後にアルデの命は絶え、骸も美咲の魔力で跡形もなく消し飛ばした。
「終わったな美咲……」
アルラウネはきっと傷心してるであろう美咲の背へ向けてそう静かに語りかける。
「……うん」
「その選択で本当に良かったのか?」
「大丈夫だよ……大丈夫だって私……」
『魔王だから』
そう美咲は自分の事を魔王と断言し揺るがぬ決意をアルラウネへみせた。
「……さようなら、普通の私」
明日も更新予定です!




