38話 こっちも反撃しちゃいましょう!!
「よ、よくも……よくもアルデ君を!!!」
「許さない……許さないんだから!!」
「グォオオオン」魔物は美咲を威嚇し雄叫びを上げる。
「覚悟しなさいよ……リミッター解除」ボソッと静かにそうつぶやき、アルデを傷つけられたのが余っ程不快だったのかさっきまで舐めプだった美咲はワンパンをする覚悟を決めた。
――ブォン……――
美咲の目の前に透明のメニューバーが表示され身体能力のプロパティを開き全ての身体ステータスを最大にした、力は勿論、素早さやその他の細かな能力も最大に設定した自分の舐めプが原因とは言え美咲は余程怒りに震えている。
「……許さないから」
「グッ、グルォオオ!?」四天王である敵でさえ美咲から溢れる強烈な殺意からか怯えて足がすくんでしまった。
__……スタッ!!
一瞬の間合いで瞬きすら許さず四天王の懐へ潜り込み美咲は懇親の一撃を放つ。
「よくもアルデ君を!! 粉々に砕けちれぇぇぇぇぇええ!!」
ズドーーーン!!
ステージ全体に衝撃による砂煙と敵が圧倒的な美咲の打撃による摩擦で文字通りに粉々に跡形もなく相手は消え去り、敵が巨大だったからかステージは少し寂しげにも広く感じた。
「はぁ……」
「終わっちゃったね……」そんな捨て台詞と共に美咲の怒りは消沈し身体強化ステータスを元に戻し冷静になる。
「……っとアルデくん!!」冷静になった美咲の視界の傍に目をやるとそこには先程の状態のまま倒れているアルデの姿があった。
「めをさまきてよ!! アルデくん!! ねぇ!!」
「死んでないよね!? ……嘘でしょ!?」
バシバシ顔を通常の女の子の非力な手で必死に叩き続ける美咲。
「……私に回復とかのスキルがあったら……くそぉおお……」
美咲は単体で最強な為回復スキル等の補助魔法は覚えておらず、瀕死のアルデの力に今はなれずただ横で涙ぐむしか無かった。
「アルデくぅんんんん!!」……美咲の涙がこぼれ落ちアルデの頬を伝った。
「みっ……美咲……さん……」
「あっアルデ君!? 意識がまだある!!」
「ならまだ助かる!! 魔王様や部隊の皆に救助を求めれば!!」
「あ、ありがとうございます……い、いえこれは自分の責任です油断をするなど勇者の恥です……このまま死なせてください」
「ばかぁ!! プライドとかそんな物どうだったいいでしょ!! それに……今の貴方は記憶喪失でしょ!!刷り込まれた勇者の誇りとか今思い出さないで!!」
結構当たってそうな美咲の憶測を記憶喪失の勇者にぶちまけつつ生きてと懇願する。
「……はは、こんな時でも美咲さんは面白いですね……」
「ならば掛けましょうか……」
「スキル発動……ゼロ・オア・インフィニティー」
「えっ!?……そっ、そのスキルって………」
「ア、」 「アルデ君……!?」
再び発動__賭けスキル__
……ゼロオアインフィニティ!!




