34話 心機一転!! 美咲新たな気持ちを携えて共に飛んじゃいましょう!!
美咲心機一転っ!!
──バクバク。バクバク。心臓がうるさい。
ズキンズキンと鼓動が高鳴り、胸が締め付けられるように痛い。
動悸が激しくなって勇者アルデくんを見つめているとドキドキしてくる。
「どうかしたんですか、美咲さん?」
アルデが何処か様子の美咲を覗き込み質問する。
「ななななナンデモナイデスー」とカタコトな言葉で緊張しながら返答する美咲。
「くくくくくそぉ……認めたくない認めたくない──……。まさかこの私がドキドキしてるなんて……。」
「えぇえ……。嘘でしょ!? アルデくんを男の子って意識しちゃってるって事ーっ!?!?」
両手をほっぺに当てる。
あつい──。自分の気持ちをその体温で感じる美咲。
うん、……ヤバいこれ恋だ……。
認めたくなかった勇者への想いを自覚し自分自身で再確認する。
そしてその瞬間、美咲の頭によぎる片想い遍歴。
学校では上手く自分を出すことが出来ず、中学のその2年間ずっと、陰キャラであった。
特徴も無い美咲はクラスの男子にひっそりと片想いをして好きな人を陰から眺める事で精一杯であった。
──……転移前の世界で何度も何度も叶わぬ恋に振り回された美咲。
。
──それから美咲は人に恋する事を自ら禁止していた
……筈なのだが。
「くっくそぉ……遂に封印していた私の恋心が解き放たれてしまった……」
「ちょっとボソボソ怖いですよ美咲さん……」
勇者が1人つぶやく美咲を痛い目物を見る目で見つめる。
「あーーーー!! もう決めたアルデくん来て!!」
唐突に美咲は叫び記憶喪失で弱った身体のアルデをガシリと手と手で掴み拷問部屋の入り口へかけだす。
「ちょ、美咲さん!?!? ちょちょちょ」
美咲の突然の奇行に激しく驚くアルデ。
「アルデくん私決めた!! 君の記憶が戻るまで私君のそばにいるね!! 行こうアデルくん」
そう明るい表情と元気な口調でアルデへ告げる美咲。
「それはありがたいですが、これから何処へ!?」
アルデは記憶喪失の為自分の置かれている状況なども分からない為動揺が隠せずそれを言葉にする。
「美咲さん? 傍に居てくれるのは結構ですけど、ここから出て本当にこれから何処へ行くのですか?」
……「アルデくん任せなさい!! この無敵美少女美咲ちゃんに全ておまかせっ!!」
セリフとともにキラリーンとキメキメのポーズを取る美咲。
「2人で行こう!! 魔王様の所へ!! そしてアルデくんを私の部隊へ入れる!!」
「そうすれば捕虜の君でも問題無くここ(魔王城)へ居られるでしょ?」とアルデを説得する。
「……は、はいっ!」
謎の美咲の自信に少しアルデも心惹かれ頬を赤らめるのであった。
「……」




