その作品が誰に読まれているのか?誰かを救う事が出来るのか?作者は自分の可能性と向き合って欲しい。
皆様今晩は!シサマという者です。
最近はまた、ランキング傾向やなろうのテンプレ的作品(チートハーレム、俺TUEEE、婚約破棄・追放ざまあ等)の未来についてエッセイが盛り上がる様になってきましたね。
「なろうテンプレはろくでもない!」みたいな、読者様共々こき下ろす様な論調もたまには見受けられますが、まあ一般的な論調としては非テンプレ作者様、非テンプレ読者様から寄せられる、「テンプレが人気でも良いけれど、パターン化の問題と書籍売り上げの減少がある中で、なろうをどうにかしないといけないんじゃないの?」という、小説家になろうサイトの未来に危機感を抱くものが多数派である様に感じます。
私自身は、所謂テンプレ的な作品には興味はありませんし、勉強の為にテンプレ的な作品に挑戦してみようとも思いませんが、テンプレ的な作品そのものについては割と肯定的なんですよ。
少なくとも現時点では、評価やブクマ、書籍化の比率、コミカライズやアニメ化の実績で断トツである事は事実で、それは裏を返せばそれだけテンプレ的作品を求める読者様がいるという事ですからね。
書籍化が第一の目標である作家様ならば、積極的に挑戦すべきだと思います。
何故、散々パターンが出尽くした様に見えるテンプレ的作品にここまで需要があるのかを、読者様の視点から分析させていただきますと、
①頭を空っぽにして、爽快感を味わえる軽い読み物が欲しい。出来るなら、現実の煩わしさから解放されるファンタジー的な世界観がいいな、という需要。
②現実世界での辛さや苦労を忘れさせてくれる娯楽が欲しい。自分に酷い仕打ちをする人間に復讐出来る小説、冴えない自分でも認めて必要としてくれる恋人や友達が沢山出来る小説がいいな、という需要。
③全てに絶望して引きこもっている、限界ギリギリで学校や職場に行っている。もうダメ、死にたい。なろうが無かったら、多分自殺する、という需要。
という3パターンが考えられると思います。
①のケースについては、特に説明する事はありません。最も一般的な需要の形であると思いますし、テンプレ的作品の氾濫に否定的な作者様のブクマにも、ひとつやふたつのテンプレ的作品があったりするのも、この需要の形が理由になっているからでしょう。
②のケースについては、サイトを見るだけでなく書籍を買ってまで応援してくれる、熱心な読者様が多いと思われます。作品を読むだけでなく、書籍を買って作者様を支える行動を含めると、「現実逃避」という言葉にもポジティブな意味が生まれて来ます。
尚、本来はこの需要に当てはまる読者様が、現実逃避に少しばかりの後ろめたさを感じて①の立場を主張する事もあると思いますが、後ろめたさを感じる必要はありませんよ。
現実逃避を執拗に批判する事は、自らの立場を正当化する為の現実逃避に過ぎませんからね。
③のケースについて、この読者様を見下したりする方は「小説家になろう」にはいませんよね?
もしいたら、その方こそ見下されるべきだと思います。
「小説家になろう」の存在と、なろう作品が、どうにかして人の命を繋ぐ役割を背負っている訳なんですからね。
私が敢えてこの3タイプのケースを記した理由には、どんな人にも②や③のケースに陥る可能性があるからなんです。
私は学生時代に酷いいじめに遭いましたが、孤独と暴力に耐えて教師や周りのクラスメートを動かし、最終的にいじめっ子に謝罪をさせていじめを解決した経験がありました。
それ故にいじめが自分に自信を持たせてくれたと感謝し、一方でいじめから逃げて現実逃避する奴は弱い奴だと考えていたんです。
しかし、そんな私も社会人になってからの人間関係に耐えられず、仕事を辞めてしまった経験があるんですよね。
自分は強い人間では無かった……と、思い知らされました。
いじめられていたり、人間関係に苦労していた頃の私を支えてくれていたのは、ハードロック・へヴィメタルという音楽や、ヘッドフォンアンプから大音量で掻き鳴らされるエレキギターやエレキベースです。
現実逃避の道具に「なろう作品」が利用されているなんてダセェ……と考えている方は、自分が追い詰められた時の支えが「なろう作品」しか無かったら……という可能性にも思いを馳せて欲しいと思いますね。
現在の私は、私が初めてライトノベルに触れた1980年代後半〜1990年代前半の作品の様な、オーソドックスな展開と、世界観やキャラクターの背景を詳細に描く作品を目標に執筆活動を続けているのですが、ブクマや評価的に底辺である私にも、将来的に非テンプレ的作品を好む読者様から評価される作品が生み出せるという可能性を信じています。
しかしながら、私に日々の辛さや苦労を忘れさせる、ましてや自殺の絶望から読者様を救える様なテンプレ的作品を書く事は出来ません。
絶対に出来ません!
何故なら、私の苦しみを救ってくれたのは小説では無く、音楽だったからです。
私は高校生の頃から現在まで音楽活動も行っており、作詞・作曲したオリジナル曲目50曲以上。
音楽が大好きな事は勿論なんですが、何よりいじめや人間関係に苦しんでいた私を救ってくれた、音楽の力を信じて活動を続けていれば、いつの日か誰かを救える音楽を作れるのではないか……と思いたいからという理由もあるんですよね。
テンプレ的作品を批判されても、その作品で誰かを、一瞬でも救う事が出来るのであれば作者様は胸を張って良いと思いますし、すべての作者様が自分らしいやり方、自分らしい作品で自分の可能性と向き合って欲しいと思います。
そうすれば、「小説家になろう」の未来も明るくなると思いますし、何よりも、誰かを救う為に1000ブクマとか10000ポイントとかは必要無いですからね!