姫様、町コンへ行く その5「閉幕 」
落ち着いたシャーロットはあることに気づいた。
「あら?ということは残るは私と…」
視線を動かすとペンスと目線があった。目があったペンスは一気に顔を赤くすると顔を反らした。
ペンスも現状を把握し、自分がおかれた状況を理解した。
(こ、ここここの状況!あと残っているのは僕と…憧れの常連さん!?い、いやでも、成立するかわからない…それでもチャンスがあるのなら!)
ペンスはシャーロットに向き直る。ずっと秘めていた思いを伝えるために
「レベッカさん!よろしければ僕と…」
バーーーーーーン!!!!!
会場のドアが物凄い勢いで開かれ、全員の目がそちらの方向を向いた。当然ペンスの勇気を出した告白もかき消された。
「げっ」
扉の向こうに立っている2人を見てシャーロットは顔をひきつらせる。
「突然ごめんなさーい、ここにぃ、王宮のメイドが来ていませんかぁ?」
怖いくらいの満面の笑みで(シャーロットのみそこに怒りを感じている)シャーロットの従者の1人カリンが立っていた。その後ろにはクレアが額に指を当てて申し訳なさそうにしている。
会場にいた皆は突然の出来事に呆然としている。カリンとクレアはかなりの有名人なので会場がざわつくのは当然だ。
しかしヤンバルは一瞬カリンを見たが興味を感じなかったようで改めてヴァーミリィに興味をうつした(カリンはいつもより能力を解放しているのでそれに影響されないのはすごい)。ヌーはみとれてしまいながらも筋トレをしている。
(い、いや、私今顔とか全部変えているし声とかも少し変えてる。大丈夫…)
「みぃ~つけたぁ~♪レベッカさ~ん♥️」
「はいぃ!?」
偽名をなぜか把握され変えた見た目も効果なく、一直線に近づいてきたカリンに腕をガッチリ掴まれる。
「ひ、人違いでは?」
「そんなことないわよぉ~?ちゃ~ぁんと、わかってるからぁ」
自然な動作でカリンはシャーロットの耳元に口を近づけシャーロットにしか聞こえない声で囁く。
「姫様ぁ?魔法で姿を変えたぐらいじゃこの私の目はごまかされないわよぉ?偽名だってすぐにわかっちゃうんだからぁ」
「魔法の見た目はともかくなんで偽名や嘘の職業まで見破れるの?」と疑問に思うまでもなく「こいつならやれてしまいそう」と思いそこはスルーした。
「私はちゃんとやるべき仕事をやって、臣下たちに負担をかけないように休みを作った上で、あなたたちにも外出を伝えて来たはずだけど?」
「外出ぅ?このお見合いがぁ?お見合いとは聞いてないんだけどぉ?」
「が、外出にはかわりないでしょ!」
「まぁいいわぁ、とにかく帰りましょう?」
「えっ?ちょ!」
「お騒がせしましたぁ、ちょっとこの子に急用ができたのでつれていきますねぇ~」
強引にひきづられていくシャーロット。しかし力ではカリンに圧倒的に勝っているので振りほどこうとすると、カリンが顔を少し後ろに向けてニヤリと笑う。
「姫様ぁ~?今は王宮のメイドなんだよねぇ~?そんなメイドが位の高い私を強引に振り払ったり逆らったりしたらおかしいよねぇ~?」
「むぐぐ…!」
ここで自分の本当の身分を明かすわけにはいかない、それは色々とまずい、この2人が特にクレアはそんなことをすることはない、しかしカリンの場合は正体をばらすようなことはしないだろうが、それでも何をするかわかったもんじゃない。助けを求めてクレアを見たが、目を伏せ首を横に振るのみだった。せめてご迷惑をおかけした皆に最後の一言を投げ掛ける。
「み、皆さんご迷惑をおかけしました~!」
この言葉を最後に会場のドアは閉められた。残された皆(ヤンバルを除く)はしばらくポカンとなっていたが少しずつ元に戻っていった。だが、ペンスのみは動けずにいた。
「な、なんだったんだ?ぼ、僕の告白は?」
気持ちも頭も追い付かずただただフリーズするペンスだった。
ちなみに王宮に連れ帰られたシャーロットはカリンにネチネチと理不尽に怒られた。反論もしたが口喧嘩でカリンに勝てず、次の日から仕事を増やされた。




