矢崎剣悟その1「宮廷魔法使い」
突然ですが初めまして私の名前はフリージア・ヴァイゼスと申します。私は今王宮内を全力で走っています。私は王宮専属の魔法使いをやらせていただいています。なぜ走っているかといいますとなんとシャーロット様直々にお呼びがかかりこうしてシャーロット様の元に向かっているというわけです。しかもいただいた書面には「最重要事項」とシャーロット様の直筆で書かれていました。
こんなことは初めてです。しかもシャーロット様直々にお呼びになるなんて…うぅ、緊張と不安でいろんなものがでてしまいそうですぅ、あ、着きました。
「フリージアね、入って」
「ひゃい!」
ノックをする前に声をかけられて思わず変な声がでちゃいました。火照る顔をなんとか冷ましながら私は扉を開けました。目の前にはシャーロット様が!うぅいつ見てもなんて神々しいんでしょうか!お側に控えるカリン様はものすごく悪魔的な魅力です、カリン様はとても凛々しくていらっしゃる!
「フリージア、もう少し近くに来てくれないかしら?」
「え?あ!申し訳ありません!」
お三方にみとれすぎて入ってすぐに固まっていました!急いで所定の位置に走っていき跪きます。
「お待たせいたしました!フリージア・ヴァイゼスただいま参上いたしました!」
「急な召集に答えてくれて本当にありがとう」
「い、いいいいえ!とんでもないです!シャーロット様のためならたとえ火の中水の中!です!」
「ありがとう、嬉しいわ。じゃあ早速本題に入るわね」
「はい!」
シャーロット様の表情が真剣になりました。私も気を引き締めます。
「あなたには“異世界召喚”をおこなってほしいの」
「“異世界召喚”!」
それはとても深刻な事です。私も“異世界召喚”については書物で読んだことがあります。この世界が危機に陥った時に行う儀式でその名の通り異世界から危機を救う勇者を召喚するのです。この儀式は本当に世界がピンチの時にしか行わないもので、つまり今この世界にそれほどの危機が迫っているということです。
しかもこの儀式は本来数十人の魔法使いが必要なんです。それなのに私1人だけが呼ばれたのには理由があります。私は元々城下町の普通の家に生まれた普通の女の子でした。でもそんな私には生まれながらに異常な量の魔力を内包していました。その膨大な魔力を無意識に抑え込もうとしたせいでいつも何かしらの不調を感じていました。そして5歳の時にとうとう魔力に体が耐えきれずに暴走を始めてしまいました。魔力が体内で膨張して周りを巻き込んで爆発しそうになっていたその時、たまたまその場にいたシャーロット様が特殊な魔法で私の魔力を抑えて助けてくれました。そしてその後、魔力の制御方法を学ぶのも兼ねて王宮に入りました。
脱線してしまってごめんなさい。つまり私には1人で何十人分の魔力を持っていて、シャーロット様のためならどんなことでもやってみせるということなんです!
「シャーロット様!私フリージア・ヴァイゼスは力の限りお答えします!」
「ありがとうフリージア、じゃあ早速お願いするわね」
シャーロット様が立ち上がられた。ドキドキと胸の動機がおさまりません。
「ではフリージア、“異世界召喚”で…私のお婿さん候補を召喚して!」
「…………………はい?」
ん?あれ?私の聞き間違いかな?確かに異世界からの召喚をお願いされたけど、呼び出す対象が違ったような?
「フリージア?」
「は!」
ボーッとしすぎました!シャーロット様が心配そうにこちらを見ておられます!きっと私の聞き間違いです。失礼になってしまいますがもう一度聞いてみましょう!
「あの~シャーロット様?申し訳ありませんがもう一度今回私が呼ばれた理由を伺ってもよろしいでしょうか?かなり緊張していますのでうまく聞き取れなかったみたいなんです」
「そうなの?ごめんなさい」
「い、いえ!私が悪いのでしゅ!」
慌てて噛んでしまいましたぁ~!恥ずかしいですぅ~!あれ?シャーロット様がこっちに近づいて…わ!
「落ち着いてフリージア」
「シャーロット様…」
シャーロット様が抱き締めてくださる。とても温かくていい匂いです…
「ありがとうございますシャーロット様、もう大丈夫です」
「そう?じゃあさっき言ったこともう一度言うからよく聞いてね」
「はい」
私は深呼吸してシャーロット様の言葉を待ちます。
「フリージア、異世界召喚をおこなって、私のお婿さんを召喚してほしいの」
「聞き間違いじゃなかったーーーー!!」
私は思わず叫んでしまいました。
明けましておめでとうございます
このお話をまず思い浮かんでこの作品を書き始めました。




