代かきと田植え
我が家の近くに市街化計画から見放されたような一画があります。東西南北から開発がすすめられ、ちょううど開発しにくいちょっとした面積だけ田園風景が広がっています。そのには、田んぼあるから仕方がない自分の家で食べる分だけは作るか、といった感じの水田が何枚かあります。土日の休みを利用して田植えをしようと思えば、大体同じ時期に代かきもするわけで。あっちの田んぼでも、こっちの田んぼでもかなり年を重ねた方々が田植えの準備をしています。
わが家も同様です。日曜日に田植えをするために、父が木曜日に代かきをしました。代をかくためには、水田の一画にある苗床にある苗たちも移動しなければいけないわけで。私は苗枠を苗床から切り離す作業の担当です。田植え機の種類によって、苗枠も様々なものがあるそうです。我が家は何十年も前からある方法で、今ではあまり一般的ではないとか。苗床に枠を伏せこみ発芽させ、田植えの時期に草丈が20センチになるように
生育させます。その枠を、ピアノ線に両端に取っ手のついた物で根を切って取ります。この時枠に水平に移動させないと苗が枠から抜けてしまいます。腰を落とした状態での力業の作業を高校の頃から担当していました。両親の力では根が切れないとかか何とかい言われたいたような気がするのですが、私が高校の頃の両親の年齢をすでに私は越えている。なんだか騙された気分です。
一枚一枚切り取りのにかなりの力がいるので、作業はのんびりしたものです。母と二人、モンシロチョウが飛んでるねぇとか、アゲハってもう飛んでいていいんだっけとか、今年はタニシの殻が多く浮かんでいるねぇとか。枠をすべて別の田に運んで私の作業は終わりです。
日曜日に田植えという事で計画していましたが、週間予報では雨。土曜日は晴れ。雨だからと言って田植えが出来ないわけでもないこともないのですが、どうせなら上から何も降っていない方が作業は捗ります。雨量によっては、植えた苗が浮いてしまう事も。かといって、代をかいてから中二日はおかないと土が安定していないから、苗が植えてしまうかも。悩みに悩んだ結果日曜日の田植えに決まりました。農家の作業はお天気に左右されることが多く、気を揉むことままあります。
田植え当日。ここからは亭主殿頼みです。数年前、私も少しだけやったことがあるのですが、機械に振り回されてまっすぐに植える事が出来ませんでした。父も少しなら何とかなるのでしょうけれど、足腰が弱くなって全部というわけにわいきません。周りが出来るのは、苗枠を差し出すことくらいです。
息子は、水の張った水田を見ると何故か血が騒ぐようです。減反政策の名残りで、一反八畝の田の真ん中だけに苗を植えます。苗を植える予定の場所で、タニシを探してみたり、カエルを追いかけてみたり、無駄に泥を投げたりしています。そうかと思えば、堰で植え終わった稲枠を洗っているババのところに行って、水遊びをしています。余談ではありますが、用水路のことをせぎと言いうのは長野県だけだそうです。せぎの漢字を調べていては初めて知りました。
一反五畝の面積を二乗植えの手押しの田植え機に振り回された亭主殿はヘロヘロになっていましたが、無事に田植えは終わりました。しばらくは水管理と、畦草退治の日が続きます。




