1ヶ月後
本日5話目です。
……あれから1ヶ月が経過した。
あの後は本当に王都になった城に行き、王様と謁見した。
福田さんの言ってた通り、身分の保証と保護をしてくれた。
それを確認した福田さんが帰って行ったのだが、俺達はそのまま城で歓待された。
貴族とかに顔見せする意味もあるらしい。
その場で王様がこっそりと「節度を持って生活してね」と念を押してきた。
保証されてる事を傘に好き勝手されると困る、って意味かと思ったら違うそうだ。
それは良いけど、福田さんが来るのが困るんだってさ。
……どれだけ脅したのだろうか?
チラリと王様が壁を見るので、そこを見れば石の壁に小さい穴が空いている。
よく見ればあちこちに空いてるな。
まさか、コレって福田さんのせいか? …………見なかった事にしよう。
そして自重しよう。俺も神の使いに怒られるような事はしたくない。
ふと思い出したので令嬢の話をしておいた。
王様は驚いて、事実確認を部下に命令してた。
その場に居たらしい令嬢の父親は、王様にメチャクチャ怒られてたな。
どんな処分になるのかは知らないが、後日令嬢にも怒られるだろう。同情はしないが。
翌日。城を出る時に身分証とまとまったお金を貰った。
行きたい場所までは兵士が護衛するとまで言われた。
リョウさんは仲間を集めに行くらしい。ここで別れた。
まぁ仲間が集ったら、また王城に集まって顔見せしようって話になってるけど。
俺はその後は最初に行った街まで戻った。
こっちに来てからお世話になった所を回る事にしたのだ。
兵士の皆さんが護衛してくれているから安心だし。
それらが終わると学校に戻った。
他に行きたい場所も無かったし、そのまま就職。
事務・用務員・授業の助手、と忙しい。
精霊に好かれるようにするってのは本当だった。
俺が授業に参加するだけで、魔法を覚えられるようになった子供が格段に増える。
学長は大喜び。俺も給料が上がって大喜び。
で、現在に至るんだが。
俺の目の前にはスマホが一台。
これが鳴ってるんだよねぇ。
福田哲司って表示されてるし。
覚悟を決めて電話に出る。
「良かった、繋がったか~」
「は、はい。お久しぶりです」
「お久~。元気だった?」
「はい。ところでコレは……?」
「君達異世界人全員に渡してる。あれば便利だろ。
まあぶっちゃけ、どこに居るかすぐ判るようにって意味があるんだけどね」
「GPS機能ですか?」
「そういう事。探そうと思えばすぐ出来るんだけどさ、いつでも把握出来る方が良いらしいんで。
だから持っておいてよ。便利そうなアプリは入れておいたからさ」
「判りました。どんなアプリが入ってるんですか?」
「地図と、電子マネーと、通話にメール、後検索機能!」
「電子マネーは意味無いと思うんですけど……。
えっ? 検索機能?!」
「そう。知識チートに活かしてよ。
そっちの世界で広めても良い物しか入ってないけどね。
残念ながら、日本のマンガや動画は見れないから。BLとかも読めないからね」
「いや、BLを読む趣味なんか無いですよ!」
「君が読まなくても、他の人は興味があるかもしれないじゃないか。
広められないようにだよ!」
「……何かあったんですか?」
「……内緒だ。じゃあ頑張ってね。また連絡するよ。
おっと、伝え忘れてた。テンプレのは復活させたから。
義務じゃないからヒマがあれば実行するのも面白いかもよ。じゃ~ね~」
「えっ?! ちょっと!!」
ステータスを確認すると、確かにテンプレイベントの数字が戻っていた。
義務じゃないなら、本当にヒマな時にでも実行するのも良いかもしれない。
危険なのは当然やらないけどさ。
「俺達の冒険はこれからだ!」ってやつかな?
この話で最終回です。
色々回収してないような気もしますが、その辺は後日談で書くかもしれません。
お読み頂き、ありがとうございました。




