盲点
場所を変えるよ言うのでおとなしくついて行く。
まぁリョウさんは警戒しながらだけど。
俺はって? 警戒なんかしてない。
だってリョウさんの魔法も突破するほどの人だろ?
俺が警戒しても出来る事なんか無いわ。
それに日本人っぽいし。
そのまま5分。
何故か街道の方に進むのではなく、森の中に進んで行ったんだけど。
そこには小屋が建っていた。
いや、小屋か? 縦横が1mで、高さが2mくらい。それに扉が1枚だけ。
日本で見る、仮設トイレみたい。
「おい、これトイレだろ? 用を足しに来ただけか?」
「……やっぱ、日本人にはそう見えるよねぇ。
まぁ、そこは流しておいてよ。トイレだけに」
「面白くねぇぞ。で、場所ってココか?」
「いや、小屋の中だ」
「3人も入れるか! 2人でもギュウギュウだろ!」
「え~と、魔法で広げてあるから大丈夫」
そんな事が出来るのか。すげーな。
リョウさんは納得したようだ。
そう言えばこの人の魔法はイメージだったもんね。きっと似たような事をしてるのだろう。
「おっと、チョロが帰ってきたね。どうだった?」
「はい。周囲にはモンスターも獣も居ません」
「じゃあ安全だね。一応レイには見張ってもらうけど。
ささ、皆入ってくれ」
言われるまま中に入ると、驚いた。
中は普通の家だったから。
ってか、普通の家よりもデカいだろ、これ。
玄関入って、目の前に左右から回りながら上がる階段があるなんて、映画でしか見た事無いぞ。
横ではリョウさんも唖然としてるし。
福田さんが正面にある扉に進んだので、慌ててついて行く。
中には落ち着いた雰囲気のリビング?があった。
そこのソファに座らされた。向かいのソファに福田さんが座る。
「えっと、何飲む? コーヒー? 紅茶? 日本茶? コーラ? 水? 青汁?」
「コーヒーとかあるんですか?!」
「あるよ。コーヒーが良い? それとも青汁?」
「コーヒーでお願いします!」
「じゃ、じゃあ、俺も」
「……コーヒー2つね。判った。ヒタキさん、コーヒーをお願い」
「かしこまりました」
コーヒーがある事に驚いてしまって、つい話しかけてしまった。
……しかし、何で青汁を推してきたんだろうか。スルーしたけど。
気づいたら福田さんの後ろに執事!って格好をした人が立っていた。
暗殺者じゃないよな? その人にコーヒーを頼んでいるし。
1分もかからずにコーヒーが出てきた。
久々に飲むコーヒー。……美味い。涙が出そうだ。
「さて、落ち着いたと思うし、詳しく話そうか。
まずは俺の事から話そうかな。どうもまだリョウ君は警戒してるみたいだし」
「そりゃ警戒するだろ。神の力を消し、こんな建物まで持ってるヤツ相手だ。
正体も怪しいしな」
「怪しいかな? もっとラフな格好だったら良かったか?
Tシャツにジーンズが良かったかもなぁ」
そういう事では無いと思う。
言わないけど。
「俺の名前は福田哲司。元日本人だ。
死んで異世界に転生?転移?して生きてたけど、なんやかんやあって、神の眷属になった」
「えっと、なんやかんやって?」
「いや、そこは俺にも良く判らない。気づいたらなってた感じ。
いわゆるチートは、『運が高い』ってのを貰ってる」
「『運が高い』? ショボいチートだな」
「そうかい? どうしてそう思う?」
「ラノベじゃああまり扱われないだろ。
それにギャンブルで得するくらいじゃねぇか?」
「俺もその程度に考えてたよ」
「実際には違ったんですか?」
「ああ。ギャンブルでは必勝。敵の攻撃は当たらないし、勝手に自滅する。
したい事がすぐに出来る。王様と簡単に知り合える。神がついてくる。
歩けば50円拾える。交差点でパンを咥えた美少女とぶつかる」
「本当にチートじゃねぇか!!」
「だからそうなんだって。運だけでその世界で、上がりたくないのに成り上がったんだから」
マジか! 強運ってすげー!
言ってる事が本当なら。
「一つ聞いても良いですか?」
「ん? 何?」
「ちょこちょこボケみたいなのを挟むのは何でですか?
そのせいで信じにくくなってますけど」
「……いや、緊張を和らげようと思ってね。
しまった、そういう弊害があったのか! 盲点だった!!」
意外にアホっぽい、いや、お茶目だな、この人。
福田君は『運だけで…』の方の主人公です。
良かったらそちらもお願いします(CM)。
次話は20日の17時に投稿します。




