旅の途中
今日も馬車でのんびり。
護衛の任務には付いてるが、やる事は何も無い。
狩人って事は商人さんには話してないしな。
だから、女生徒と一緒に馬車の中。
女生徒には村や街中での護衛と話してある。
そういう所で何処かに行くのに、商人さんの護衛を使う訳にもいかないからね。
ちなみにこの女生徒、名前をフェンリーと言うそうな。
中国人みたいと思ったのは内緒だ。
今日は野宿。
もう少し行けば村があるらしいけど、あまり良い村では無いらしい。
どういう意味かと聞いたら、専属の商人が居て商売が出来ないんだってさ。
そういう村は、王都近くになると結構あるんだそうな。
その村で出来た作物を一括で買い上げる。
金額を決めてるので、不作でも豊作でも同じ金額。
日本で言う、契約農家って感じか?
まぁその関係上、物を売るにもその商人の認可が必要らしい。
不便に思えるけど、買い物があれば誰かが代表して王都まで行けば済むそうだ。
王都から近いので、出来る商売だね。
村人が嫌なヤツとかで無かったからよいけど。
さて、野宿なんだけど、フェンリーさん的には問題無いらしい。
こういう事も経験してますから、と言いながらタヌキを撫ぜてる。
タヌキさえ居れば何処でも良いんじゃないだろうか?
凄く気に入ってるらしく、道中もずっと抱えてたし。
ここで俺は閃いた。
上手くすれば、テンプレがクリア出来るんじゃね?
「フェンリーさん、前に野宿した時はどういった環境で?」
「どういう事でしょうか?」
「イメージなんですけど、貴族の人は野宿と言ってもメイドさんとかが世話してる感じです」
「その通りですね。全ての準備はメイドがします。
でも私はテントくらい張れますよ? 練習しましたから」
うんうん、予想通りだ。
ただテントが張れるってのは予想外だけど。
まぁ大丈夫だろう。
俺の為に料理をしてもらおう。
そう! 狙ってるテンプレは「美人や美少女が料理下手」だ!
マンガでよくあるネタでしょ。食べられないほどクソマズなのが出るやつ。
マンガの方が多そうだけど、ラノベでもありそうな展開。
問題はいかにそういう方向に話を持っていくか。
何か上手い言い方をしないとな……。
「フェンリーさん、料理は?」
「した事がありませんね。メイドがやっていましたから。やらせてもらえませんし」
おっ? 好感触じゃね?
「ここにはメイドも居ません。やってみますか?」
「でも……」
「テントも張れるのでしょう? 料理もやれると思いますよ?
ここで覚えて、帰ったら父上に食べさせてあげさせてはどうでしょう?
今回の事で、心を痛めておられると思います。娘の手料理となれば、癒やしになるでしょうし」
「……そうですね。やってみます」
よ~し! 俺、グッジョブ!
早速移動だ!
皆が料理している所で移動。
頼んで一角を貸してもらった。
「何を作れば良いでしょうか?」
「そうですね……簡単なスープが良いでしょう」
「スープですね。判りました」
「では、やってみてください」
「え? 材料とか、教えてもらえないんですか?」
「まず実践してみる事です。それを見ていますので、後から指導しますよ。
そうする事で、良い所と悪い所が判りますから」
「な、なるほど。判りました」
無茶な事を言ってる自覚はあります。
でも、フェンリーさんは素直だし指導しながらだと、美味しい物を作りそうじゃないか!
作る所を見てるが、野菜を皮も剥かずに切って鍋の中へ。
鍋の中も水のまま。まだ火にもかけてない。
肉には触れないようで、棒で押さえながら切ってるから厚い。
それも鍋に入れ、やっと火にかける。
そんな工程を経て、スープが完成。
試食? 勿論タヌキの仕事だ!
お嬢さんの初めての手料理です。可愛がっているタヌキに差し上げてください、と話しておいた。
さあタヌキよ! 食材を水で煮ただけの物を食べるのだ!
予想通り、美味しくなかったみたいだ。
すご~く嫌な顔してるし。
俺? ペロっと舐めただけだよ?
さ、美味しく作る方法を教えますかね。
次話は8日の17時に投降します。




