王族の秘密
「それでどういう事情なんですか?」
「まぁまぁ慌てないで。お茶を用意するから座ってて」
とっても気になるので、早く聞きたかったのだが制されてしまった。
「はい、お茶。
それで事情の説明だったね。
この学校の事は知ってるかい?」
「はい。商人さんに聞きました」
「まあ、おさらいしておこうか。
この学校には身分の差は無い。そしてそれは校則て決められている。
それを皆が守るのには理由がある。
まず、親の貴族もこの学校出身だから、その親にそういう風に躾けられてる。
次に、破れば即停学、2回目は即退学。
最後に、この学校を退学になった生徒は貴族になれない法律がある」
「はい、そう聞いてます」
ここまでは聞いていた通りだ。
なのにあの王子はアホな事をしてた。
「よ~く、考えてくれ。貴族と言ってるだろ?
王族は含まれないんだよ」
「えっ? あっ! 本当だ! 何でですか?」
「王族は王族だからだよ。つまり跡取りが居なければ、退学になっても王になるからだ」
そうか。その人しか居ないのなら、どうしようもないよな。
「っていう建前があるんだよ」
「えっ? 建前?」
「実際には、優れた血縁者を養子にして王にするんだよ」
「それはアリなんですか?」
「アリだね。バカが王になるよりよっぽど良い。
まぁ、それは極端な場合であって、普通は次男や三男が後を継ぐ。
今回の王子は第一王子だ。次男から四男の誰かが後を継ぐだろうね」
「えっと、もう跡取りにはなれないと聞こえるんですけど……」
「なれないね」
マジですか?
婚約破棄しただけでダメなの?
確かにアホっぽかったけど、どんな理由なんだろ?
「不思議に思ってるようだね。あれは実は茶番なんだよ」
「茶番?!」
「そう。王子に近寄ってきた女の子。あれは仕込みだ。
王子の好みを調べて、それに近い子を教育して送り込んでるんだ」
「な、何でそんな事を?」
「色香に惑わされるような王は失格だからだよ。
君の読んできた小説にはそういう話は無い? 王の決定に王妃が口を挟んでくるような話」
あ~、読んだ事ある気がする。
後は側室の子を嫌うとかそういうのも。
「そういうのを阻止する為に、茶番を仕掛けて引っかかるかどうか見てるんだよ」
「だから、周囲の誰も止めないんですね?」
「そう。もし誰かが止めようとしたら、知っている者が阻止してるよ。
そういう人は忠臣になるから、後から事情を説明してスカウトされるけどね」
ほへ~。凄い世界だな。
俺にはついていけないわ。
「ん? あぁ、振られた子や仕掛けた子が気になるのか」
「へ? あ、ああ、そうです」
ただ呆けてただけなのに、何か勘違いされた。
そう言われれば、将来が気になるな。
ラノベでは結婚できなくなるとか言われるし。
「まず破棄された令嬢だけど、これは跡継ぎの子の正妻となる決まりだ。
次に仕掛けた子。この子の将来は国に保証される」
「国の保証とは?」
「やりたい事を国に言えば、何でもさせて貰えるよ。
ただし、国政に関しては口を出せないけどね。個人での事なら大体OKかな」
「貴族になりたいと言っても?」
「地方の領主にはなれるよ。国政には関われないけどね」
「じゃあ、一生遊んで暮らしたいと言ったら?」
「可能だね。そんな事を願った子は、今まで居なかったけど」
「茶番が失敗してもですか?」
「失敗してもだよ。今の王の側室に居る女性は、その時に仕掛けた子だね。
王は茶番を怒る事無く、感心してた。王妃の勧めもあり、後日プロポーズしてたねぇ」
は~~。
凄いなぁ。
あっ、そうだ。肝心な部分を聞いておこう。
「あの王子はどうなりますか?」
「卒業後、地方巡業に出る。次男達が学校に入学するから。
全員が卒業するまでは帰って来られないね」
「次男達にも仕掛けるからですか?」
「そういう事。で、帰ってきてから王より継承権剥奪を言い渡される。
貴族にもなれない。一般人になって、国外追放だ」
怖い! まぁ、それだけの重責があるって事だろうけど。
でも死刑や幽閉じゃないだけマシか?
「まぁ、そんな所だね。所で、何か覚えたかい?」
あっ、そうだった!
王族の話で忘れてたよ。
ステータスの確認をしないとね。
次話は5月2日の17時に投稿します。




