魔法の授業
RBBの学長に案内してもらい、色々と見て回った。
授業参観みたいに、後ろから授業を見たりもした。
しかし、生徒は皆良い子ばかり。
廊下ですれ違えば、挨拶もしてくるし。
これ、学長が一緒だからじゃね?
居ない所では荒れてるんじゃないだろうか?と期待してみる。
でもそれを確認するには潜入するしか無い。
途中から俺の目的は、見学では無く、潜入する方法を探る事になった。
見学の最後は学長による魔法の授業の参観。
RBBなだけあって、魔法には長けているらしい。
「タクヤ君だったかな? 何かちょこちょこと変な事を考えて無いかな?」
「いいえ? 全然? 全く? 少しも? 微塵も考えてませんよ?」
「凄く嘘くさいが……。まぁ良い。
皆、今日は見学者が居るが、気にしないように。授業を始める」
「「「はい」」」
危ない危ない。
RBBなんて考えてる事がバレたら、どうなる事か。
ラノベじゃあ、ヒドイ目に会うんだよね。
学校に近寄る事を禁止されるだけでOUTなんだけど。
「今日は時空魔法について教える。
知っている通り、取得しにくい魔法の一つだ」
おおっ! タイムリー!
俺、知ってるよ!
時間を知る事しか出来ないけどね。
「私が長命なのは知っているだろうが、これも時空魔法の力なのだ。
レベルを上げると、肉体の老化を止める『ストップ』の魔法が使えるようになる。
女子は是非とも覚えたい魔法だろうな」
「そのレベルはいくつなんですか?」
「うむ、良い質問だ。『ストップ』を覚えるのに必要なレベルは10。
ポーションでも上げる事が出来ない領域だ。
こればかりは精霊の力が必要なのだよ」
レ、レベル10だと?!
凄く先の話だな。
しかもポーションでは上げられないのか。
気まぐれらしい精霊に気に入られないとダメなんだ。こりゃ無理だ。
「まぁ、そこまで行かなくとも、便利な魔法なので是非とも覚えて欲しい。
今日はレベル1の魔法を見せてあげよう」
「どうやったら覚えられるんですか?」
「その魔法を見て、使いたいと強く思う事で精霊が反応してくれる事が多い。
要は知る事が大事だ。今は使えなくとも、知識を増やし続ければある日使えるようになるだろう」
へ~。そういう物なのね。
イベントクリアしたら覚えるんじゃないんだ。
って、そりゃ俺だけか。
それにしてもレベル1の魔法を見せて貰えるとは、ラッキーだぜ!
「そうだな……。では『タイム』の魔法を披露しようか」
タタタタタタタ、タイムですと?!
それは知ってます!
他のをお願いしたいのですが!
ほれ、誰か生徒よ! 違うのを希望するのだ!
時間が判るだけの魔法なんかつまらないだろ?
もっと凄いのを希望するんだ!
俺の心の中の願いも虚しく、『タイム』についての講義が始まった。
だが、実は便利な魔法だった事が判明!
学長によると、この魔法は現在の時刻を知るだけでは無いそうだ。
ストップウォッチ機能や、移動する事での時速計算まで出来るらしい。
早速実践してみよう。
話だとストップウォッチ機能はタイムを唱えた後に、『ゼロ』と言うんだったな。
……おおっ! 表示が0:00:00になった!
『スタート』と考えるだけで開始出来た。『ストップ』と考えると止まる。
便利だな。
「……タクヤ君」
「うぇっ?! はい、何でしょう、学長」
「今、『タイム』の魔法を使っただろう?」
「ええっ? 何で判るんですか?!」
「いや、結構大きい声で言ってたから。君は時空魔法を習得してるのか?」
「は、はい。知ってます」
「ほ~! 凄いじゃないか! では何を覚えているのかね?」
「……『タイム』しか使えません。レベル1ですし」
「いやいや、大したものだよ。
そもそも時空魔法を使える者は少ないのだ。見て覚える機会も少ないからね」
「そうなんですか」
「丁度良い。ちょっと授業に参加してもらおう」
えっ? 何で?
病院で薬を貰いました。
当たり前ですが、市販の薬より効きますね!楽になりました。
次話は16日の17時に投稿します。




