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お願いですから、テンプレイベントを下さい!  作者: お子様
ふたたびダンジョンへ行く
31/93

タヌキの事情

どういう事?!

この世界の獣は喋るの?!

それともモンスターとか魔物?!

あっ、ラノベによくある魔族とか獣人ってやつ?!


「……あの~、何を思案されてるのか判りませんが、助けてください」

「いや、いきなり喋ったからさぁ。何の種族かと思って」

「貴方達の言うところの獣ですよ?」

「獣なのかよ! じゃあ何で喋れんの?!」

「その辺も含めて、安全な所に行ってから話しませんか?」


交渉が上手いな。

そう言われると助けなきゃいけない気がするわ。


結局タヌキを連れて穴に戻った。

うわ、獣臭が! 洗いたい!


「臭いとか言わないで下さいよ。傷つきます。もう怪我してますけどね」

「上手い事言うなよ。で?」

「あの~、治療は?」

「連れて帰ってから気づいたんだけど、治療出来るような物を何も持ってないわ」

「マジですか? 貴方狩人ですよね? 普通持ってませんか?」

「タヌキが狩人を語るなよ。持って無くて悪かったな!」

「えっと……すみません。じゃあ自分で治療するので手伝ってもらえませんか?」


出来るのかよ!

と思ったら、無理だった。

前足を怪我してるので、持てないのだ。

俺が手伝って、足に添え木をしてタオルを巻いてやった。


しかしこいつ、よく見ればアライグマにも見えるな。

ま、どっちも見た事は無いんだけどさ。俺の知識なんてネットで見た程度だし、区別がつかない。


「助かりました。ついでに言えば、朝までここに置いてもらえませんか?」

「別に良いけどさ。色々説明してくれよ?」

「ありがとうございます。何が聞きたいですか?」

「そうだなぁ。ところで、タヌキで合ってるのか?」

「一応タヌキです」


やっぱりタヌキか。


「で、何で喋れんの?」

「実は自分は魔物との混血なんです」

「混血だと喋れるのか?」

「さあ? 自分も詳しくは無いのですが。

 混血だと、知能が上がるらしいです。自分以外にも喋る獣を見た事がありますし」

「へ~。どうやって知ったんだ?」

「前に学者と言われる人が来て、その時に聞きました」


こういうのを調べてる人が居るのか。

まぁ、そうだよな。獣が喋ったらビックリするよな。

で、調べようとするよな。

喋れる獣を殺すには相当の覚悟が要りそうだし。

それにコッチの言う事が理解出来るなら、住み分けとかも可能だろうし。


「他の普通のタヌキとも喋れるのか?」

「いえ。あいつらバカですから。無理ですね」

「一応同族だろ? バカとか言ってやるなよ」

「だって、本能だけで生きてますよ? 危険だから行くなって行っても聞かないし」

「そうなのか?」

「ええ! 今回だってそう!

 熊の気配があるから狩りに行くなって言ったのに、ノコノコと出かけるんですよ?!

 結局、熊と遭遇。そのまま死ねば良いのに、俺や親の居る巣まで逃げてきたんです!!

 そのせいで全員見つかり、逃げる事になったんです!!」

「本能の方が熊とか発見しそうなんだけどな」

「本能と言ってもあいつらは臭いだけですよ。

 自分は木に爪痕があったのを発見しましたから」

「なるほどね。で、何で落ちてきたの?」

「恥ずかしながら、熊にビビりまして。目を瞑ってやみくもに走ってたんです……。

 ここに穴がある事は知ってたんですけど……」

「他のタヌキの事をバカに出来ない失態だな」


目を瞑って逃げるとか。どんだけビビったんだよ。


「あの……それでですね。頼みがあるんですけど」

「ん? 何だ?」

「魔法で怪我を治す事が出来る人が町には居るんですよね?

 治してもらう訳にはいきませんか?

 あっ! 治すのにお金が要るのは知ってます!

 必ず返済しますので! お願いします!」


俺よりも詳しいじゃねぇか。

そうだ、俺に色々と知識を与えてもらおう。

多分俺よりも詳しそうだからな。


テッテレー

タヌキが仲間になった!

次話は31日の17時に投稿します。

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