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1週間

翌日には必要なメンバーが全員揃った。

商人はちゃんと建物を確保して、そして旅立っていった。

あぁ、唯一の味方が……。

ただ、商人組合には話をしてくれたようで、何かあったら相談するようにと言ってくれた。


建物は今日から1週間使えるそうなので、早速練習に使う。

何故か皆ノリノリだ。

娯楽が少ないのだろうか?


そうそう、この建物。

何故か結構デカい。

1階には受付カウンターとは別にカウンターがあり、その周辺には椅子とテーブルがある。

そう、食堂が併設されているギルドって感じなのだ。

これ、何と、商人と人足場のオッサンが話し合って、勝手にココに決められたらしいのだ。

何故かと訪ねたら、この場所にエキストラを入れるから。

雇ってないのにエキストラ。謎。

詳しく聞いたら、驚きの返事が。

何と、観客なんだって!

お金を取って、俺がやる茶番を見せると言うのだ!

商人の商売根性、恐るべし!!

ちなみにチケットは完売らしい……。

演じる俺にお金が入らないって、どういう事よ? 解せぬ。






魔王から世界を救う為に神様に召喚された勇者である俺。

その時に色々な能力ももらった。よく言うチートってヤツだ。

しかし王は、説明しても勇者と認めなかった。

だから資金援助も無し、援軍も無し。

なので、手っ取り早くお金を稼ぐ為に冒険者になる事にした。

勇者でもお金は必要だから。


現在の装備はボロい服と安物の短剣1本。

だが、身体能力は驚くほど高い。しかもまだレベル5なのだ。

噂では俺と同等の能力がありそうなAランク冒険者でレベル30だそうだから、驚きだ。


ちなみに何で同等と判るかと言うと、この世界に降り立った時に魔物を倒したから。

その魔物はBランクだそうで、Aランクの冒険者がソロで狩れるやつなんだそうな。

ちなみにちなみに、俺の装備は、その魔物の取り巻きだったゴブリンの装備をパクっている。

倒した魔物からは魔石ってのが手に入ったので、売ってしまおうと考えてる。


「ここが冒険者ギルドか……」


召喚前はそういう本が好きだったから、ちょっとワクワクしてる。

そんな気持ちを抑えながら、ギルドの扉を開けた。


ギルドの中は冒険者っぽい格好の人がまばらに居た。

昼ぐらいだからか、併設されている食堂には大勢の人達が居る。

俺はそのまま受付カウンターに向かう。

おおっ! 美人の姉さんが受付だ!


「いらっしゃいませ。冒険者ギルドにようこそ。依頼ですか?」

「いえ、登録したいんですけど」

「登録ですか?」


そう言って、お姉さんは俺をジロジロと見る。

まあヒョロいし、装備はボロいし、若いしで、冒険者には見えないんだろうな。


「ええ。登録です」

「えっと、登録には魔物を倒した実績が必要です。何かお持ちですか?」

「あっ、そんな決まりがあるんですね。えっと、魔石でも良いですか?」

「はい。良いですよ。ここに置いてください」


出されたのは銀っぽいトレイ。

それに魔石を載せると、持ち手の色が赤色に変わった。


「こ、これは……」

「……何か問題が?」

「この魔石は貴方が倒した魔物の物で間違いないですね?」

「ええ。そうですけど。……ダメですか?」

「え~、問題ありません。では登録します。こちらの用紙を記入してください。

 文字が書けないなら代筆致しますよ?」

「読めるし書けるので大丈夫です」


異世界言語、神様に貰った能力の一つだ。

名前、使う武器、使える魔法、職種等を書く。

魔法何かは全部使えるんだけど、さすがにそれを書くのはヤバいと思うのでレベルの低いやつだけ書いておいたけど。


「はい、それで大丈夫です。

 では、このカードに血を1滴垂らして下さい」


渡された針で指を刺し、血をカードに落とす。

するとカードに俺の名前やランクが表示された。


「これで登録は終了です。ランクDからのスタートになります。頑張ってください」

「はい。ありがとうございます」


登録も終わったので早速狩りに行こうと振り返ると、そこにはガラの悪そうな冒険者が2人立っていた。


「おいおい、お前みたいなヒョロいのが冒険者かよ」

「あの魔石もどこからかパクってきたんだろ?」

「だいたい、Dからスタートっておかしいだろ。どんなインチキしたんだ?」


はぁ……。目立ちたく無いのになぁ。

いきなり絡まれるとか、困るんだよなぁ。

次話は明日の17時に投稿予定です。

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