ダンジョンって怖いんですね
到着したダンジョンは、竪穴だった……。
横穴とか洞窟とか想像してたのでビックリしたよ。
設置してある縄梯子で降りるらしい。
中に入るのも順番で、前の組が入ってから10分後に次が入る流れ。
尻込みしてる俺を尻目に、教えてくれた先輩は先に入っていった。
残るは俺と、3回ほど先輩の男。
……そう言えばソロは危険って言ってたな。
「あの、良ければ……」
「あっ、俺、ソロだから」
食い気味に返事された……。
まぁ、自分でも足手まといになる自信がある。
そんなヤツを連れて歩きたくないだろう。
「じゃ、俺が先に入るからな」
男は俺の返事も待たずに梯子を降りていった。
竪穴だけある林の中に俺一人……。
鳥かなんかのギャーギャーという鳴き声が不気味。
おい! 怖いじゃないかよ!
慌てて周囲を鑑定してみるけど、獣の反応は無い。
でも草陰から何か出てきそうな想像をしてしまう……。
ここに来て、初めて後悔し始めた。
レベル2の魔法を覚えてからで良かったんじゃないか?
もっと街でダンジョンの情報を集めておくべきだったのでは?
そして、心の安定の為に、現実逃避だ。
スライムって目と口があって可愛いヤツでしょ?
ラノベなら、スライムを仲間にして実はスライムって強いんだよ!ってなるよね~。
今日も天気が良いなぁ。春だなぁ。
はい、10分経った!
入ろう! 早く入ろう!!
入ってから気づいた。
あっ、地上の方が安心出来た。
薄暗いし、ぐるり見回しても壁がない。
どっちに進んで良いのかも判らない。
壁伝いに行けば迷わないとか考えたヤツ誰だ! 俺だ! 俺のバカ!
ヤバい、落ち着け俺!
隣の柿はよく客食う柿だ!
魔物かよ! よし、落ち着いた。
まずこれからの指針を決めないと。
……
…………
………………
よし、上がろう。
いや、怯えて逃げるんじゃないよ? 戦略的撤退ってヤツだよ?
あ~、太陽の光って落ち着く。
太陽かどうか知らないけど、落ち着くわ~。
おっと、呆けてる場合じゃない。
これからどうするかを考えないと。
1.このまま地上で馬車を待つ。
多分、これが一番安全。低リスクノーリターンだと思う。
獣が出るくらいだろう。熊とか出たらヤバいけど。
2.やっぱりダンジョンに行く。
やだなー、怖いなー。でもレベルアップしたいなー。
あっ、良い方法を思いついた。
両方を足せば良いだけだ。
俺は梯子を降りて、その場で待機。
上を見れば空が見える。暗くなりそうなら上がれば良い。
そう、この梯子のある場所から動かず、モンスターが出たら倒せば良い。
こちらからモンスターを探しに行かないので、出会う確率は低いだろうけど安全だ。
賢い、俺! ビビリとか言うなよ!
さあ、出てこいモンスター!! 片手は梯子に掛けたまま待ってるぜ!
……1時間くらい待ったけど、全然出てこない。
今更思ったけど、ここってセーフティーゾーンじゃないよな?
陽の光に弱いとか、そんな設定無いよね?
……更に1時間待ってみたけど、やっぱり出てこない。
くそっ、こうなったら行くしかないか。
梯子から手を離し、ダンジョンへ向かってみた。
勿論梯子が見える距離までだけど。
梯子を中心に円を書くように回る。
目測で半径10mくらいかな?
それでも壁にはぶつからない。広い地下空間だ。
ちなみに天井までは4mくらいある。象に乗っても歩けそうだ。
アホな事を考えながら歩いてたら、何かをグニッって踏んだ。犬の糞を踏んだような感触。
それがスライムだった。
次話は明日(7日)の17時に投稿します。