正論!
「あの~、100コルって。安すぎませんか?」
「はぁ。じゃあ説明しましょうか」
あっ、このパターン知ってる。正論タイムの始まりだ。
だが、今回は負けぬ! 広く使われてきた知識チートだし、反論出来るだろう。
「まず、貴方はこれを誰に売りたいですか?」
「えっ? 誰って、そりゃみんなにですよ」
「みんな、ではダメです。商売するならターゲットを決めないと」
「そ、そうですね。……じゃあ市民に売りたいです」
「では大して売れませんね」
「ええっ?! 何で?!」
庶民は娯楽に飢えてるんじゃないの?!
中毒になるくらいやるんじゃないの?!
生産が追いつかないくらい売れるんじゃないの?!
「私が買ったコレを、誰かに売ったとしましょう。その人は誰かと対戦しますよね?」
「当然ですよ。一人では出来ませんし」
「多分、貴方の考えは『その対戦相手がこれを買いに来る。その繰り返しで売れる!』ではないですか?」
「そうですよ。変ですか?」
「ええ。
これ、貴方の手作りでしょう? これくらいの物なら誰でも複製しますよ?
複製出来るのに、私の所にわざわざ買いに来る訳ないでしょう?」
「うぐっ! だけど、オリジナルを持ってた方がカッコイイとか……そういう…………」
「そんな事は無いですね。遊べればそれで良い。そう思うはずです」
言われてみれば確かに。
簡単に作れる物なら、自分で作ろうってなる。
俺も日本の物をそうやって作った訳だし。
ならば!
「では、『複製は許しません!』とかってのは?」
「誰が許さないんですか? 私ですか?
もし許さないとして、誰が取り締まるんですか?
それにそんな事を言いだしたら『じゃあ要らない』と言われてお終いですよ?」
はい、著作権作戦終了。
そうか、あれって法律で決められてるから上手く行くのか。
だが、まだまだ諦めないぞ!
「じゃあ貴族や王族に売ります」
「なるほど。これを職人に豪華に作らせて売るのですね」
「そうです」
「それならオリジナルという言葉は重要になるでしょう。
その手の人達は見栄を大事にしますから」
「ですよね!」
「ですが、弱点が2つあります」
「2つも?!」
「ええ。まず一つは、豪華に作ったとして売れるという確証がありません。リスクが大きいです」
「えっ? 面白く無いですか?」
「市民レベルでは面白いでしょう。しかし、貴族は色々と遊ぶ物を知ってます。
市民が喜びそうな遊びをするとは思えませんね」
あ~、価値観が違うって事か。
「もう一つは、簡単です。
私が貴族や王族と繋がりが無い事です」
「繋がりがある人に頼むってのは?」
「さっき言ったような内容で、断られるでしょうね」
ツテとかコネか。
俺も無いわ。
「という事で、今あるこのオリジナルを誰かに売って終了になるでしょう。
売値は200コルが精一杯だと思います。
なので、50%を貴方に渡したんです」
はい。判りました。
リバーシ無双は無理ですね。
えっと、工具と材料で150コル使ったから……赤字かよ!
俺はすごすごと部屋に戻った。
だが、捨てる神あれば拾う神あり!
いや、その神にヒドイ目に合わされてるんだが。
とにかく! めでたくテンプレイベントクリアです!
それがコチラ!
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名前:真島卓也
年齢:20
職種:狩人
レベル:15
HP:75
MP:42
筋力:30
耐久:47
魅力:21
称号:ナシ
能力:鑑定(Lv.3)・ステータスの説明書
魔法:水魔法(Lv.1)・火魔法(Lv.1)
イベント:4/300
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増えたのは『ステータスの説明書』って能力!
使ってみたら、ステータスの項目の説明が見れた。
例えば、、、
水魔法:『レベルに応じた見た事のある魔法を思い出して、頭の中に描き、発動のキーワードを言うと発動。水関係の魔法が覚えられる』
これだけ。
知ってるわ! 今日聞いたわ!
最初に欲しい能力だったよ……。
次話は本日の18時に投稿します。