プロローグ
コメディです。
シリアスシーンは書けないのでありません。
死んだ。今、死んだ。
トラックに跳ねられて死ぬなんて、テンプレかよっ!
なんて死ぬ間際に考えてたら、目の前に神様が居る。
夢? 幻?
「はいはい。夢でも幻でも無いからね~」
「考えてる事が判るんですね?」
「神だからね」
何も無い白い空間に浮いている神様。って俺も浮いてる!
ここは神の領域なのかな?
しかし、跳ねられて死んで神様に出会う。
正にラノベのテンプレ!
こうなると最近のラノベに多い、神様の非を責めてチートを貰うしかないでしょ!
「バカな事を考えてるけど、やめとけよ~」
「えっ?!」
「まず言っておくぞ~。お前が死んだのは何かの間違いとかじゃないからな~」
「じゃあ本当にただ事故にあっただけですか……」
「いや、それも違うぞ~」
「……どういう事ですか?」
「簡単に言えば、お前には適正があった。だから殺して連れてきた。それだけ~」
「はぁ?!」
適正があったから殺されたの?!
何で?! どうして?!
「殺された事に疑問があるようだな~。
死なないと魂が抜けないし、死なないとあの世界に未練が残るだろ~?」
「死んでも未練は残りますけど……」
「二度と戻れないのに未練は必要無いだろ? それとも戻れるかもと無駄な未練を残した方が良かったか~?」
そう言われれば……確かにそうかもしれない。
多分だけど、どっか異世界に行くんだろう。ラノベの定番だ。
その世界で前世に未練があったら良くないかもしれない。
まぁ、未練と言っても、新作のアニメが見れないとかラノベの続きが読みたいとかくらいだしな。
「それともこのまま死者の世界に行くか~?」
「わ、判りました。それで連れてきた理由は?」
「お前の考えた通りだ。異世界に行ってもらう」
「なるほど。で、私の適正とはなんでしょう?」
「まあ焦るな。順を追って説明してやろ~う」
「は、はぁ」
さて、どんなパターンかな?
魂の数が足りないから持っていけとか?
知識を広めろとかってのもあったな。
ちょっと楽しそうだ。
神様の話はトンデモナイものだった……。
「まず、基本的に俺はヒマだ。仕事は世界の管理だが、これは天使にやらせてるので問題無~い。
世界創造も仕事だが、上限まで作ったのでどれかが壊れるまではする事は無~い。
俺の趣味は読書だ。色々な世界から色々な本を取り寄せて読んでいる。
そして本の内容を実践してみるのも趣味だ。これが成功したり失敗したりとまた面白~い」
「はぁ。そうですか」
「で、だ。現在は日本のラノベを読んでいる。
そこで早速実践をしている訳だ。今までで30人くらいを異世界に送った~」
「あっ、じゃあ俺もその中の一人って事ですか」
「そうだが、少し違~う」
「何が違うんですか?」
「そいつらには何の制限も付けずに送った。勿論チートを付けてな。
だがダメだ。全員すぐに死んだわ」
「死んだ?!」
「あぁ、死んだ。お前の前のやつはイメージした魔法が使えるってチートだったかな?
MPが切れた時に切られて死んだなぁ」
「ほ、他の人は?」
「えっと、どうだったかな?
あぁ、元の世界の価値観で貴族に喧嘩を売って処刑されたバカとかいたかな?
後……武力MAXにしたやつは、魔法くらって死んだな。寝てる時にその村ごと広範囲魔法を打ち込まれてな。
のんきに寝てたからなぁ~。あれは傑作だった!」
ゾッとした……。
高次元の存在だからだろうけど、人の死に何にも感じ無いようだ。
俺も殺されて連れて来られたしな。
おもちゃのコマのような物なんだろう。
「とにかく、俺はラノベのような展開が見たいんだよ。
だが、最初にチートをやると暴走するやつばかりでな。面白くない。
しかし、チートを与えないとラノベのような展開にはならない。
だから制限を付ける事にした!」
「制限ですか?」
「そうだ。お前にはまず、向こうでの一般人と同じ能力を与える。平均値で計算するからな。
おっと平均値と言っても大人のだぞ? 子供や他の人間種は含まない大人の平均値を算出する。
お前と同じ人間種で、同年齢、20歳での平均値だ」
「それではチートでは無いのでは?」
「焦るな。ここからが制限であり、チートの部分だ。
お前にはラノベで言う『テンプレ』をやって貰う。成功すれば、能力を1つやろう。
俺が課せるテンプレの数は300。全部クリアすれば、チートな人間の出来上がりって訳!」
「……失敗した場合は?」
「テンプレを失敗したからと言ってペナルティは無い。
また再チャレンジすれば良いだけだ。目指せ全クリ!!」
「……死んだ場合は復活出来るんですか?」
「は? 死んだら終わり。ゲームオーバーってやつだな。
また違うやつを呼んで実践するさ」
「……クリアするテンプレの内容や貰える能力は教えて貰えるんですか?」
「教える訳無いだろ? 面白く無い。
そこはお前の適正で何とかしろ~」
「……俺の適正って何ですか?」
「あん? ただ単に、年間のラノベの購読数が100に行ってただけ~」
購読数が100?! それだけ?!
そんなん沢山居るだろ?! あっ、それが30人か。
で、今までは選ばれなかったけど、とうとう俺の番が来たのか……。
「つまり……テンプレを沢山知ってるだろうから、それを実践しろって事ですか……」
「そういう事~」
「で、でも、無理なテンプレもありますよ?!
例えば、ハハハハハハーレムとか。容姿も必要だと思うんですよね!」
「お前の容姿は平均値で出す。だから悪くは無いはずだぞ? まぁ良いとも言えない訳だけど(笑)」
「カッコワライとか言わないで下さいよ! 平均値の容姿でどうすれば良いんですか!」
「ん~、努力と根性? 後友情? ガンバレ?」
「週刊マンガですか!」
「はっはっは、その辺も既に読書済みだよ! じゃ、頑張って俺を楽しませて!」
「ちょ、まっ!!」
俺は一気に落ちていった……。
4話まで連続投稿します。