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留年生は留年生の留年生!/夢は現実になれば正夢だけど、現実が夢になったなら、それはわたしの夢だ。  作者: 有知春秋
【一章•帝王であり百獣の王を兼業しているお嬢様な新垣唯衣】
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ぼっちになりたいお嬢様と面接官

 朝日ケ丘(あさひがおか)大学高等部入学試験、面接日。——遡り。


 創立50年の朝日ケ丘大学高等部は、広大な敷地と高い壁に囲まれた朝日ケ丘大学の敷地内にある。


 普通は◯◯大学附属高等学校となるが、この朝日ケ丘大学高等部は言葉そのままの『部』。大学のサークル、高校の部活、又は大学経営の部所を意味する。——意味不。


 他の大学への進学はできないらしい。


 しかし、教育機関の高等部なため卒業資格さえ取得すれば、朝日ケ丘大学にエスカレーターで入校できるようだ。——資料拝見中。


 驚異的なのは高等部の倍率。


 万の受験者に対して300人の新入生と言えば、想像するまでもないだろう。


 天才を作り出す大学の高等部? ——否

 超能力を研究している? ——否


 どのみちわたしには関係ない。


 そもそも、教育係に無理矢理受験させられなかったら、入学試験に来てないし。

 わたしの高校に通わないという意思をわかりやすく伝えるために、入試テストは全問不回答で提出してやったよ。

 もちろん油断はしない。

 面接に力を入れている可能性があるし。


「新垣唯衣さん。あなたには人にゆずれないモノはありますか?」


 疑問符が浮かぶ質問だった。


 人にゆずれないモノと言われても、諸事情でぼっちになりたいから学校に通いたくない、と言うのはお嬢様的にアウトだな。

 ふむふむ。

 面接だから気の利いた事を言って協調性をアピールすればいいって事だな。——楽勝。


「まったくありません」


 3人の庶民面接官にお嬢様スマイルを1つ。


 ゆずれないモノに食事や睡眠時間という基本的な生活習慣が含まれていたら、有ると答える。しかし、面接でアピールするような主張性あるゆずれないモノは無い。——皆無。


 なにより、ぼっちになりたいわたしは高校に通いたくない。


 面接官の空気が変わったよ。

 空気を読めよ。面接なんだぞ。もっと自己アピールするんだ。というような庶民語が聞こえてきそうだ。


 貴様ら程度がわたしを計るな、庶民!


「帝王であり百獣の王を兼業しているお嬢様なわたくしに何を言えばよいかわからないといった感じですか、面接官様? ほほほほ」


 右手を口元に添えながら、3人の面接官を見下すように見ると、


「わたくし、お嬢様ですので、庶民的な義務教育や学歴のお低い方々からの教鞭など必要ありませんの」


 それに、と加え、


「精子提供者と卵子提供者が、お金の額が愛情だと勘違いし、通帳がパンクするほどのお金を振り込んできます。コレは破産させてあげましょうと思いまして、ゴミ株を買い占めましたら、わたくし、お嬢様ですから、更に通帳がパンクしちゃいました。ほぉぉぉほほほ!」


 ベガスやマカオで一生遊んで暮らせます。と繋げると、


「残念ではございますが、嫌々足を運んでいる義務教育を終了した後は、モナコの高級マンションでF1を観戦しながら、ティータイムでヒャッハァするご予定があります。わたくし、紅茶は飲めませんけどぉぉぉぉぉぉゴホッゴホッ。失礼あそばせ。それでは庶民面接官様、帝王であり百獣の王を兼業しているお嬢様なわたくしは忙しいので、これにて面接は終了とします」


 高笑いしながら室内を後にする。


 入試テスト全問不回答に面接は悪質お嬢様アピール&勝手に面接終了。

 これで不合格確実だ。


 ……………………

 ………………

 ————。


 んっ?

 何か聞こえたような気が……?

 まぁいいか。

 これでモナコでヒャッハァだ。


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