第8話:ゲームのような・・・
俺は森から抜け出してリフを横に寝かせた後焚火の前で上着だけ脱いで傷の確認をしていた。
「大丈夫か?ジンライ君。シャープウルフの群れに襲われたそうじゃないか?」
「すみません、今それどころじゃなくて」
「傷の手当てかね?どれ私がやってあげよう」
ペゲッシャさんは腰に巻き付けていたポーチから瓶を取り出して背中にぶっかけた。
「いっっ、はぁ、何をかけたんですか?」
俺は若干の怒気を言葉にまとわせ言った。
「君は田舎の出だったな。これは回復薬、ポーションという商品だ。」
「傷薬ですか?」
「いや、傷を治すという意味でなら間違ってはいないが、傷薬は回復を促進させるだけだ。回復薬は回復を加速させる」
「加速?どういうことですか?」
「自分の傷を見ればわかる。手で背中の傷跡を触ってみな」
俺は半信半疑で背中の傷に触れた。
「!?傷がなくなっている?」
「理屈は私にはわからない。だが傷が治るのが加速しているとしか言いようがないんだ。理堂という場所がある。詳しく知りたいならでも目指してみるといい。」
「理堂?なんですかそれは?」
「理の堂、いわゆる学び舎だ。この間話した魔力研究者もそこにいる」
「はぁ、俺はなにか成果を上げるつもりとかないんですが」
「別に成果は必要ない。逆に知識の押し売りをしてくれる。特に魔術、魔法関係の講座は毎日やっているぞ」
大学みたいなものか。そうだな、もうそろそろこれからの予定でも考えてみるか。
行動するにしても金と信頼が必要だ。とりあえずの軍資金はペゲッシャさんから入るお金を元にするしかない。
それと俺が思っていた魔道についての考えを話し合うのも面白そうだな。
とにかく、町に着いたら金とこの世界で生きていける力を持とう。
「おい、あんたはもう寝たほうがいい。」
「?なんでだ」
業者が話しかけてきたが何を言っているのかがわからない。いや、意味が分からない。
「とりあえず、寝とけよ。今日の分が来るからな」
「?わかった。とりあえず安静にしていたらいいんだな?」
「ああ、明日ははしゃぎすぎるなよ」
業者め、いったい何を言っているのかわからなかったがとりあえず休めるなら休んでおこう。今日はもうくたくただ。
俺は今日の出来事を思い出しながら眠りについた。