第6話:魔力の活用
リフはその晩は俺にずっとついてきた。もちろん寝る時も俺が寝ている『後で気づいたのだが』テントの外で寝ていたのだ。俺は彼女のことをどうするか決めかねていた。
・・・奴隷の扱いはどうしたらよいのだろうか?よくもまぁ、主人公たちは上手くいっていると思う。だって、俺がリフに態度を柔らかくしてくれというと。
「いえ、私は奴隷です。旦那様には最上位の敬意と服従をしなければなりません。」
とのこと、もはやメイド長レベルでお堅い。そうか、メイドとしてみればいいのか。
「そうだな、とりあえず今指示を出すほど用事もないからそこに座っていてくれ。」
「私は奴隷なのです。旦那様が立っているのに座ることはできません。」
うん、そうだよね。そうかえってくるとおもってたよ。命令か・・・前世ではあまり部下に厳しく当たることもないからどうしようかね。
「ジンライ君、そろそろ出発だ。奴隷を荷馬車に乗せてくれ。」
おっと、ペゲッシャさんが来たな。とりあえず言われたとおりにリフには別の荷馬車に乗ってもらおう。
『どうだいリフ、彼は君の査定を通ったのかい?』
『いまは何とも言えませんね。彼はまだ私の扱いを決めかねているようですから。』
『そうかい』
後ろで二人が小声で話しているが、いったい何の話なんだろうか?こういう何かを隠されているのはやはり俺に信用がないからなのだろうか・・・はやく町についてほしいものだ。
「リフ、出発らしいから荷馬車に乗ってくれ」
「わかりました旦那様」
馬車が出発してから約4時間くらい過ぎたころだろうか?ペゲッシャさんの話の中に面白い話があった。魔法と魔術、そして魔力についてだった。ペゲッシャさんによると魔法は自身の魔力を媒体とした個としての力。そして魔術は周りの要素、方角、術式によって生まれる自然現象を主とした力らしい。ほかにも邪道という魔力の使い方があるらしいのだが、実物はないらしい。
「数は多いのだが魔力自体を操作する魔道士がいる。これは珍しくはないのだが戦闘に使えるほど力はない。話によると元となるイメージが弱いかららしいがな」
「ペゲッシャさんはこういう話は詳しいですよね?どうしてなんですか?」
「私の知り合いに魔力研究者がいるのだが。魔法と魔術、さまざまな魔力を使ったものを一つにまとめようとしているらしい。私はソレに金の匂いを感じているだけだよ」
とりあえず、一番簡単にできるのは魔道だな。自分の内側にある魔力を感じてそれを形にするらしい。しばらく瞑想してみるのがいいかな。
・・・血管に流れる血液のような確かな流れを感じ取れるようになってきた。その流れを手のひらに集中させる。手が力を強く感じられるようななった。ここから形にしてみる。イメージはドリルの先端。角をねじって伸ばしていく。すると手のひらに感じていた力に流れができ不可視のドリルのようなものが出来上がった。たしかにかなりの集中力が必要だが、形にしてしまえば維持はしやすい。
一つ思いついたのだがエンチャント魔法はないらしい。この魔道を活用すれば自分自身に薄い膜を形成したりできるのではないだろうか?