第1話:目覚め
そして、話は冒頭にもどる。俺の頭の中にはある程度の知識が入っていた。
「ここがスピレイか…赤いな。」
俺はそう呟かずにはいられなかった。神からもらった知識は世界の大陸の名前と数、元の世界には無かった加護、スキルという異能についての概要。そしてモンスターとレベル。
とりあえず俺は今日を生き残るために、森に入って枯れ木を集めてきた。神からの知識はある程度の知識しかなかった。本当に一般知識を適当に集めた形になる。
例えばモンスターは獣や無機物、実体のない霊体がいること、あとは森にいるモンスターで安全なモンスター数匹分のイメージ。以上だ。
こうした知識はありがたいが。通貨、いわゆる金についてと文字、言葉に関しては全くない。本当に適当に入れた感じだ。
そうしている内に空は闇に飲まれ、辺りから唸り声や遠吠えなど、モンスターの鳴き声が響きく。
俺は早々に火を焚き始めた。獣は火を怖がると言うが、大丈夫なのだろうか?
数時間ほど焚き火を世話していて落ち着いてきたので自分の持ち物を確認したが、服とポケットに入れておいたメモと鉛筆しか無い。
よくよく考えれば留置所に入れられた時に持ち物は回収されてしまったのだった。
更に数時間経ち、もうそろそろ夜が白けてくる時間帯になってきたが、焚き火の暖かさと、留置所にいたストレスから眠気が来ていた。
「眠い…」
そう呟く、モンスター達も静かなのが更に眠気を招く。せめて鳴き声など聴こえていれば、気がまぎれるのだが?
「鳴き声が聞こえない?」
ふと、不安に思う。数十分前は五月蝿いくらいの鳴き声が聞こえてこなくなっている。
不安だ、焚き火に枯れ木を投げ入れ、辺りを見渡す。
そこは闇なのだが、薄っすらと動く影がある。
俺は残しておいた長い枯れ木を持ち、来ても大丈夫なように構えた。
最初の夜は乗り切った。影は朝が近づくと向こうから離れて行った。
俺はとりあえず自分の安全の為に森から離れた。目的地はきめてあった。
森から離れると草原に出た。
「すごく広いな、日本だったら北海道くらいしかこんな風景見れないかもな」
そんなことをぼやきながらも歩き続けた。目的地はその草原にある一軒だけの廃墟だ。見つけたのは枯れ木を集めに森に入った時で、夜が近いから近づけなかった場所だ。
その廃墟にたどり着いたが、やはり家としては機能していなかった。家財道具も木の皿くらいしかなく、床は草が出ているくらい朽ちていた。
「まぁ、当たり前っちゃあ当たり前か。」
また、独り言を言いながら目的の物を見つけていた。
草原で草が生えない所。つまり、道を探していたのだ。廃墟といえどその住民が通っていた道は薄っすらと残っていたのだ。
「よしよし、これで新しい目的も出来たし、行きますかぁ。」
やはり独り言を言って獣道のような道をトボトボと歩き始めた。




