表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ぼくの詩集

ゾンビ

作者: 桜井あんじ

そのゾンビは むかし

とても うつくしい名で 呼ばれておりました


そのころ ゾンビは

優しさにあふれ あたたかく

それはそれは 忍耐づよく

寛容で 忠実で 自己犠牲を厭いませんでした

みなに 愛されておりました


しかし それから いろいろなことがあり

ゾンビとなって しまったのです


あわれなゾンビ 今は 

さまざまな 禍々しいものを 自らのなかに取り込み 融合しています

たとえようもないほど みにくく 腐臭を放っています

だれも そばには 近よりません

そしてゾンビは そんな自分のおぞましさを よく しっているのです

もはや もとの姿にもどるのが 叶わないことも


ゾンビには いくところが ありません

ふらふらと あちらこちらを さまよって います


かわいそうな ゾンビ!

ぼくの ゾンビ

ぼくは おぼえています

きみが うつくしかった時のこと

ぼくは しっています

きみが 無垢の魂であったこと


ゾンビよ

ねむらせて あげましょう

死ぬことすら ゆるされない ゾンビ

それなら

ただ ねむりなさい

しあわせだった頃の おもいでに 包まれて

やさしい土の下で 闇のなかに 墜ちなさい


かわいそうな ゾンビ

そこの あなた どうか

ひとの心に住む たくさんの ゾンビたちのため

すこしの間だけ 祈ってやってください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ