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征空の海鷲  作者: j
1942 ようこそ、地獄の南方へ
17/52

新たなる敵

 1943年に突入した。1月中旬

 去年12月8日、ニューギニア島の日本軍守備隊が損害を受け撤退したが、ラバウルの守備隊として編入された。

 南太平洋航空戦に戦友たちの顔が消えているようで、消えていないようで・・、とても複雑な感じが心から沸いてきた。


――1月15日 ラバウル東飛行場

 ウーウー。

 まだ午前10時と言うのに基地全体を一斉に包む空襲警報のサイレンが鳴り響き、搭乗員と整備員達の落ち着きはいっぺんとし、慌てるように自分の行動へと動き出した。

「美貴さん!敵は大型爆撃機15機、艦上爆撃機32機、敵戦闘機が25機がラバウルに向けているとのことです!」

 いつもの定期便。

 大体午前10~11の間にB-24やB-25を主力にした敵機が襲来するので私達の間ではこうやって呼んでいる。

 戦慣れした鼎は私に敵の数の報告した後、私は彼女の手を引っ張り並ぶ戦闘機へ走っていく。

 鼎は嬉しそうな顔をしている。とても幸せそうに。


 だが、そんな事はこの数秒とだけと心の中で言い聞かせ、自分が乗る戦闘機の座席に脚を踏み入れ、ベルト等を装着する。


 この頃1943年に零戦の二二型と二二甲型がラバウルに進出。零戦二一型より上回る運動と速度を実現した最新型が目立つようになった。

 ブルンとエンジンが始動し愛機は闘志を燃やすかのように唸り始める。

「計器よし、エレベーター、エルロン問題なし。チョークはずせ!」

 と叫び、翼下に隠れていた整備員は一斉に飛び出した。


 そして零戦はゆっくりと地面を歩く。そして次第に人間で言う早歩きの速度から自動車のように速度を増し、天の風を受けながら機体は上昇。

 白い光が真上から射し込んで機内は非常に明るい。不思議と意気が沸いてくる。


 2番機の鼎の二二甲型がゆっくり近づき、その先頭1番機にはユウコの四式のお尻が近くにあった。

 後ろを振り向き、ラバウルの黒湾と鉄の船が小さくなっていく。小さな飛行場からは我々を見守る戦友たちの顔がまぶたに浮かびあがり、

 敵には負けない。と言う活き込みが伝わる様な感じが伝わる。


現時点高度5000m

 綿雨のような雲は少なく、どれもちぎれた綿のようなものばかりが広がって死角が少なくなったと私は少し安心する。


 と、ユウコの四式戦闘機が隊の前に出ると翼を左右に揺らしながら、隊全体に敵発見のバンクを送った。


 丁度同じ高度、白く大きな爆撃機と小さな飛行機、小魚が郡のように固まっているような戦闘機がゴマのようになって目に入った。

 零戦隊は機体を斜め上に滑らせ、機首を天目掛けて上昇し、見つからないように敵の死角へと入り込もうとするが、丁度敵もこれに分かっていたらしく、胴体から切り離された物体を後にこちらに向かってくる。


 各機が四方八方散らばる。

 皆がラバウルの空で大きなダンスを披露するかのように乱戦入り混じるが、私達はそれを背にして目標の爆撃機に照準を定め、機銃に手を置いた。

 いつもの便、B-24だ。

 正面から突撃するとB-24の機銃塔から一斉に火が噴かれ、攻撃する零戦に対して弾幕を張り始めた。

 私もその中に突入し狙える一機を照準に入れて20mmを発射する。


 重たい砲声が機内を揺らし、白い線を引いた硝煙は大型爆撃機の翼付け根へと吸い込まれ、白い尾を引きはじめた。

 すぐさま操縦桿を振り相手の後方へと急旋回。

 これで最後だ。と言わんばかりの一撃を敵機に撃ちこむが火がなかなか吹かず、黒い尻尾を濃くしただけの燃料だけが漏れるだけで、変哲な動きは無かった。


 頑丈な機体だ。て防弾も一段と上がったやつだな。と思い込みますます墜さずには居られない。

 ガンガン。

 金属音が数回後部、前方に響き渡った。

 これはいけないと思い機体を敵機から離れ、機内周辺を確認。

 至って中には問題ない。が、外部を見た。

 右翼に3発ほど大きな穴が開いていて20mm機関砲の本体がむき出しになっていた。

 うぇっ・・。爆発していたら・・!

 嫌な想像をするだけで冷や汗がでる。

 ついでに後部を見る。

 垂直尾翼にも弾痕が2つあり、上昇下降に違和感と上昇速度の遅さを覚えた。

 しかしエンジンに問題は無かったのでもう一撃加えようと、爆撃機500mしたに飛んでいる、ずんぐりした胴体の艦上爆撃機に照準いっぱい入れ込んで機銃を同時に撃ち放った。


 曳光弾と通常弾、そして徹甲弾に焼夷弾の弾丸がその敵機上から降り注ぎ、たちまち炎の塊となって海に落ちていった。

 しかしあれも中々違うものだった。


 機銃が旋回180度、上90度撃てる程の後部座席があり下部にも機銃があった。

 そして何より防弾能力が高く20mmを撃ちこんでようやくの撃墜だ。


 ラバウルには通さない。

 一人の女が空の防壁となり傷ついた零戦を難なく操りまた同じ艦上爆撃機を下の腹から赤い槍を撃ち放ち、敵機の翼は真っ二つ。グルグル横転しながら墜落し、3つの白いバラが海上に開く。


 いまラバウル飛行場はどうなってるんだろう・・。

 視界の片隅から濛々と立ち込める煙が立っていたのでその方に振り向いた。

 あっ・・!

 私はラバウル東飛行場が黒煙に包まれるのを見て言葉を失った。

 あそこで何が起きているか、搭乗員と戦友諸共、死んでしまったのだろうか、あるいは防空壕に避難しているだろうか・・。

 次第に頭の中が混乱し自分自身でも良く分からなくなると、私は頬をつねって


 落ち着け・・!とにかく出来ることをするんだ!


 と心で言い続け残りの艦上爆撃機2機をラバウル湾に達する前に撃ち落とした。

 背後に気配を感じ取りすかさず首をひねり後方を確認、そして操縦桿を素早く切り返すと錐揉みになった敵の戦闘機が落下していくではないか。


 背中は鼎に任せよう・・。しかし列機を失ってはならない。

 と爆撃機はラバウル手前と言うところでゴマの様なものを落としていき、旋回する。

 が、そこに陸軍機が鷲の如く真上から食いつき、敵はたちまち穴塗れとなり果てには原型が半分失うくらいの銃撃を受け、すべて撃墜された。

 そして敵の戦闘機は太平洋の遥かなる空へと消えて行き、空戦は終わった。


 

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