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征空の海鷲  作者: j
1942 ようこそ、地獄の南方へ
12/52

ガダルカナルは始まり・・

更新速度は遅いです。悪しからず。

 敵は2機で単独で入ったらしく午前の奇襲に成功された。しかし、数は少ないのでこちらの被害も少ない。

 高度450m。

 探しているとちょうどラバウル湾に超低空で離脱しようとする、薄茶色の双発機が目に入る。

 

 あれだ!降下と共に突っ込めば一撃で撃墜できる!


 逃がさないと思いスロットル一杯に押し倒した。が、発動機は咳を吐いたかのように黒煙が舞い上がった。

 ブーストをする際にエンジンが上がってイかれるという現象に悩まされる。

 逃がすわけにもいかないのだ。

 でも高度はこっちのほうが優勢なんだ。

 スロットルを絞って操縦桿を前に押し倒した。


 速度計が暴れ回る。


 敵との距離が次第に縮めると、後部機銃から赤い閃光が連続して光りはじめた。

 このまま近づくにつれ照準いっぱいに大きくなると、左に機体が傾いてる2番機の鼎に「1機やれ」と手信号を送ると、「わかりました」と頷いた。

 2番機の零戦の左翼に大きな弾痕が数個あった。そのせいで斜めになっていた。しかし鼎はお構いなしに敵に突っ込む。

 丁度撃てるほどの距離に迫ると7.7mm機銃を集中的に撃ち込む。後部の銃座が穴だらけになったのを確認すると、今度は発動機めがけて、7.7mm、20mm機銃を一斉にぶっ放した。

 エンジンが爆発を起こして、狙った翼は真っ二つに折れ曲がった。

 ラバウルの湾に吸い込まれるように小さくなって、大きな水柱を立てながら機体は沈んでいく。


 鼎は変わった戦法をしていた。

 九十度はあるんじゃないかと言う角度で、真っ逆さまに敵に向かって機銃を放っていた。

 あれではぶつかる。

 と、もう1機が不自然に機体が揺れそのまま眺めると同じ様に湾向かって吸い込まれていった。

 パイロットを殺したのだろうか。非常に上手い。

 燃料計は0を指そうとしていた。


 基地へ戻り機体から体を出すと、皆から歓声が湧き上がりその渦が生まれた。

 故障機の撃墜による戦果なので私も嬉しくてしょうがない。


 私たちは褒美にお菓子をたっぷりもらい、女性航空隊の人々たちに振舞うと急遽指揮所から召集命令が入る。

「ガダルカナル島搭乗員割り」と言う文字を飛行隊長は黒板に書いて・・。


 さて我々、日本軍は北に位置するアリューシャン列島のアッツ島を占領。

 敵のポートモレスビーを空襲、しかし敵の勢力はなかなか衰えない。

 そんな事も色々あり、7月には日本軍、フィリピン全土を占領した。


 が、しかし重大な事が起きてしまった・・。


 ――1942年 8月 ラバウル航空隊、ラバウル東飛行場基地

 私と鼎、そしてユウコの三人で指揮所前のテントに置かれた、テーブル上の地図を見ながら説明を受けてた。

「ガダルカナル島の陸軍の守備隊からは早くて明後日、明々後日に敵の上陸が予想される。と報告が入った」

「この島はソロモンの制空権、および制海権、オーストラリアの米軍支援を切るため、重要な島だ」

  ガ島は非常に重要な島で飛行場を作っただけでも制空、制海権の支配率が大幅に変わるらしい・・。

 ガダルカナル島ってどこなの・・。

 私は特に気になららず、飛行機で飛べさえすればいいので話を聞かずに、ボーっと地図だけを見ていた。


「陸上攻撃機の魚雷、および爆弾で敵輸送船を撃破し、少しでも地上軍を削って欲しい」

「それでは搭乗員割りを・・」

 飛行隊長、指揮官が黒板に次々と搭乗員の名前を書いていく・・。

 みんな固唾を呑んで見守ると・・、

「あっ・・」

 赤城美貴(^)と言う名前が黒板に・・。

 そして全員の名前が書き終えると「各自発進準備」の一言で、私と搭乗員達は飛行機めがけて一目散に走り出す。


 二六○海軍航空隊を含む我らラバウル航空隊は、爆音を唸らせ高度を持した機体がガダルカナル島に向けて飛び立っていった。

 遠くなり、小さくなるニューブリテン島を背にして鬼のような1037kmの距離をフライトしようとする。


 私は周りを見張り常に警戒をしていた。

 今回の編成は2番機にユウコ、3番機に鼎がついていた。

 しばらく飛んでいると喉が渇いたので持ち入れた瓶サイダーを手にするが、栓抜きが無い。

「しょうがない・・」

 軽くため息をついてひたすら飛び続ける。


 黒緑の海に浮かぶソロモン諸島の島々が見え、水平線に浮かぶ船がたくさん並んでいた。

 敵の上陸艦が無数にもある。

 これは勝てないかもしれない・・。

 あまりの多さに陸軍も苦しい戦いを強いられるだろうと思いながら周囲を見渡す。

 ここまで来て敵1機もなしにたどり着いた。一式陸上攻撃機の数機が雷撃体勢に入り、爆撃隊はそのまま水平、直線飛行を続ける。

 ガダルカナル島の真上に、陸上機の爆弾が無数に投下された。

 私はそれを見届けるよう顔を洋上に浮かぶ船をじっと眺める。


 水柱と赤い炎が立ち上ると「やった!」と思わず喜びの声を上げてしまい、末に雷撃隊の魚雷で上陸用舟艇や輸送船、巡洋艦等からは小さな用のような柱が立ち上がった。

 各機が旋回を開始し、引き上げを始める。

 敵を無しにここまで来たが時間の無駄だと感じてしまったがこれも命令なので仕方が無い。

 基地に戻ろうと引き返し、まだ燃料が残ってるのを確認すると、上から気配を感じた。



 私は見上げると、太陽を背にして上から敵9機がこちらに向かってきていた。

 2番機の鼎が前に出ると翼を左右に振って、各機にバンクを送り中隊を含む零戦隊は、赤い曳光弾が降り注ぐ弾丸を回避し、それぞれが散らばっていく。

 急降下と共に下っていった敵を、私は宙返りになるように反転をする。

 混戦する空戦の中で、肝心の列機が見えなくなり、四方八方見渡すも、敵と味方、交戦状態だった。が、濃緑の機体2機が目に入った。

 敵の1割が鼎とユウコに集中していたので、私はすぐさま列機の援護に入った。

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