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偏屈先輩の性なる弱点


 まんまと先輩を罠、もとい部屋の中に誘い込むことに成功した私は、先輩に後ろから右手で先輩の首を絞め、左手は胸元を押さえ、両足で先輩の腰に巻きつく形で先輩のうなじをぺろぺろと舐めていました。

 何故、私がうなじを舐めていたのかといいますと、背後から抱きついてると、露出している先輩の肌の部分ってのはうなじくらいしかないのです。

 この人、夏でも、どんなに暑くても長袖の上下を着ていますからね。肌を露出させていると日差しで焼けて真っ赤になってしまうらしいのです。本当は手袋と麦藁帽子もかぶってマスクもしたいらしいですけど、さすがに街中でそんな格好をするのはどうかと思いますし、そんな先輩と一緒に町を歩くのは、いくら私でもちょっと躊躇してしまいます。

「こら! 止めろ! 首筋を舐めるな!」

 抱き付いて首筋をぺろぺろと舐めていた私に先輩が怒鳴りました。

 先輩は顔を真っ赤にして怒鳴りながら、私を振り払おうとしますが、そうそう簡単に解放して堪るもんですか。せっかく、誰にも邪魔されない所で2人っきりになれたのですから。

「先輩ー。そんなに怒鳴らなくてもいいじゃないですかー。喉を痛めますよー?」

「今更、そんな心配をする必要はない! 俺は中坊のときから殆ど毎日何かしら怒鳴っているからな! てか、人の喉の心配をするんなら、俺を解放せーや! そったら、少しは怒鳴らんで済むだろ!」

「先輩。それは私に死ぬか生きるのを止めるかどっちか選べって言ってるようなもんですよー」

「んな大袈裟なうひゃうっ!」

 いきなり先輩が悲鳴を上げ、私は一瞬きょとんとしてしまいました。そして、自然と口の端が吊り上がります。

 先輩が悲鳴を上げた理由が私にはよく分かります。

 何故かって、ある一箇所を舐めたところ、先輩が悲鳴を上げたからです。つまり、その一箇所を舐めると先輩が悲鳴を上げる仕組みになっている模様です。弱点発見!

「んふーふーふーふー」

「な、何だ。お前、気持ち悪い笑い声を出すな!」

「先輩ってば耳が弱点なんですねー」

 そう言うと、先ほど、ぺろりと舐めた耳が真っ赤に染まりました。

「弱点だと!? 否! んにゃことはぬわいぃー」

 激昂する先輩の耳を唇ではむはむするとみるみる声から力が抜けていきます。これは面白い。

「こ、こら! そんな、耳なんか舐めっ! るなぁっ! うひゃあっ!」

 耳をはむはむと唇でくわえつつ舌で耳の外側をなぞっていきます。すると、先輩の抵抗は一挙に力を失い、ふにゃりと体から力が抜けていきます。

「くぁ、こちょばしぃではないか!」

 耳の中に舌を潜り込ませると、先輩は悲鳴を上げます。

 それから、耳たぶをくわえて舐めたり吸ったり口の中で転がしたりしてみます。その間、先輩はずっとびくびくそくそくふるふるしていました。先輩は本当に耳が弱いらしいですねー。

「ねぇ、先輩ー?」

「耳元で喋るな! 吐息がこちょばしいわ!」

「むー。じゃあ、ちょっと位置変えますー」

 私はずりずりと移動して先輩の肩に顎を置く格好になりました。

「はぁはぁ」

 先輩はぐったりして荒い息をします。

「てか、俺はいつまで貴様の部屋の玄関に座っていりゃあいいんだ? いい加減、離れろ。動けん」

「先輩が私のベッドまで来てくれるっていうんなら大歓迎なんですけどー」

「馬鹿を言うな」

「馬鹿なんて言った覚えないんですけどねー」

「馬鹿は無自覚なものだ。自覚的な馬鹿は馬鹿じゃない。大馬鹿だ」

 先輩と軽く意味不明なことを話し合った後、私は頑張って首を伸ばして先輩の頬に軽くちゅっとキスをしつつ、目を見つめます。先輩は肩から乗り出す私の顔を横目で一瞥しました。

「ねえ、先輩ー?」

「なんだ。部屋になら上がらんぞ。さっさと家に帰ってクーラーガンガンの下でアイスクリームを食らってくれる。クールビズ? 知るか。んなもん」

「日本の国策をそんな無碍に扱ってはいけませんよー。環境対策だって工夫すれば金になるんですからー」

 エコバッグを売ったり、クールビズ用のワイシャツを売ったり、環境に優しい車とか家電を売ったり、二酸化炭素排出量を売り買いしたり。人間ってのは、自分が生きる地域を守ることすら金が絡まないとできないようです。

 おっと、こんな環境と経済の問題を考えている場合ではありませんでした。滑稽なほど大真面目に環境問題に取り組んでらっしゃる人々や表向き環境重視を装っている大企業とかに怒られてしまいますし、私も先輩も環境問題にはさして興味ありませんからね。先輩の興味は人類学や人間科学、歴史などの分野にあり、私の興味は先輩に対してのみなのです。

「ねえねえ、先輩先輩ー。聞きたいことがあるんですー」

「何だ? 手短に言え」

 さっきから会話がループしていることにいい加減うんざりしてきたのか先輩はやっとこさ素直に応じてくれました。

「先輩って私のどこが好きですかー?」

「げっほごっほげふんげふんっ!」



前話後書きにて「エロくする」と言いましたが、あれ嘘です。いやいや、嘘じゃないです。間違えただけです。エロくできなかっただけです。期待してた人ごめんなさいです。いない?

そして、だいぶ短いです。申し訳ありません。

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