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偏屈先輩の彼女の友人


「ぬふふ……」

「何、コロ。気持ち悪いよ」

 私が思わず漏らした笑みに友人は嫌そうな顔で言いました。

 背が高く長い髪の眼鏡の娘です。彼女は私の数少ない友人で、例の秘密組織の現委員長をしています。彼女は須々すすきっていう名字で、私はススって呼んでいます。「キ」取っただけですけどね。

「キモイ」

 彼女は本当に嫌そうな顔で私を汚物でも見るような目で言います。おーっと、これはちょっと傷付いちゃいますよー。心が弱くて追い詰められている人なら自殺しちゃいますよー。絶○先生が絶望しちゃいますよーって、また、二次ネタですか。

「友達にキモイって言わないで下さい。そんなこと言うなんて、それでも友達ですかー? それとも、これはイジメですかー? 先生ー。私、虐められてますー」

 私は教卓の辺りでクラスメイトと雑談していた(今は昼休み中なんです)先生に訴えかけます。

「あん? あぁ、気のせいだ」

 私の訴えに私のクラス担任の先生(通称、ヒゲ)はぞんざいに言い捨てました。これこそが昨今話題の公務員の怠慢なんでしょうか? これは何処に文句言えばいいんですか? 教育委員会ですか? それともテレビ局とか雑誌社にネタを売ればいいんですか? まぁ、どっちも面倒臭いからしませんけどね。

「で、そのキモイ笑いは何なのさ? また冴上先輩関係?」

 ススは私の弁当箱の中を箸で何やら弄くりながら言います。人の弁当箱で何してるんですか?

「ん。そですー。てか、私のブロッコリーをバラバラにしないで下さい」

「早く食べないあんたが悪い」

「いや、何で、早く食べないとブロッコリーバラバラにされるんですかー? 早く食べることとブロッコリーバラバラにすることとの関連が分かりません」

 私が弁当箱を取り上げ、彼女の箸が届かない安全圏へ移動させると、ススはちょっと残念そうな顔をした後、何事もなかったかのように自分のお弁当に向き直りました。たまに、この子の行動が私には分からなくなります。

「それで、冴上先輩との間で何か良いことあったの?」

 ススは醤油をかけたメンチカツをバラバラにしながら、さして興味なさそうな口調で尋ねました。

 その質問に思わず私の頬は緩んでしまいます。だって、何てたって、私は、ねえ?

「えーへーへーへー」

「何だ。気持ち悪いな」

 彼女は嫌そうな目で私を見ます。

「わっ! やめて下さい! 箸の先につけた醤油を飛ばさないで下さい! シャツに醤油染みができてしまいます!」

「何々!? 何を騒いでるのー!? あ! まさか、恋の話!? 恋!? 恋!? 愛!? L・O・V・E、LOVE!?」

 私たち、というか、醤油を跳ね飛ばされた私が騒いでいると、何か柔らかいものがぶつかってきました。

 その柔らかいものは白くて、っていうか、まぁ、シャツの色で、その柔らかいもの本体はきっと桃色がかった肌色なのです。で、結局、これは何かといいますと、はっきりと申し上げますと、おっぱいです。ええ、男の子が大好きなおっぱいです。それも、かなり大型の。

「ミッチ。すぐ抱きつくの止めて下さいー。暑苦しいですー」

 ん? はて? 同じようなことを私も誰かに言われたような気がしますけど、まぁ、気のせいでしょう。

「何さー! ちょーっとくらい抱きついてもいいじゃなーい! 私とコロの仲でしょー!」

「乳を押し付けないで下さい。暑苦しいです」

 私はちょっとイライラした気分でおっぱいを押し退けます。生憎と私は男の子ではないので、おっぱいはそんな好きなわけではないのです。ぶっちゃけ嫌いです。

 私に乳を押し付けたのは、私の数少ないもう1人の友人(といいますか、私にとって友人と呼べる人は以上に述べた2人っきりなのです)で、私たちはミッチと呼んでいます。

 微妙に赤っぽい(夏休み前は茶色っぽかったような気がしますけど)巻き毛で、大きな胡桃形の目の、最近、流行っぽい顔立ちの子です。身長は平均レベルで、体型も全体的に普通なのですが、ただ一点、大きな特徴があります。それは、ずばり、さっきから申している通り、おっぱいです。乳です。胸です。その大きさたるや平均的な女子高生のレベルを遥かに凌駕しています。テレビや雑誌、写真集、DVDで媚びるような笑みを浮かべているグラビアアイドル並みです。EなのかFなのか或いはGなのかは分かりません。想像もできません。とにかくでかいのです。そのでかさたるや蜜柑、桃、林檎では間にあいません。まさにメロン並みです。冗談抜きで小型のメロンほどの大きさを誇っているのです。そして、柔らかいのです。まるでマシュマロです。メロンぐらいの大きさのマシュマロですよ。食べたら吐きそうな大きさのマシュマロですよ。そんで、もにゅんもにゅんと柔らかいのです。走るとぽいんぽいん揺れるんです。それを見る男どもの顔も揺れるのです。阿呆どもめっ!

 は? 私の乳の大きさはどうかって? 何カップかって? うっせぇっ! んなこと知るかっ! 巨乳は死ねっ!

「ひどーい! コロが冷たいー! ススー! コロが冷たいよー!」

「あー。はいはい」

「ススも冷たい!?」

 ちなみにススの乳は普通です。並です。だから! 私の乳の大きさはどーでもいいんだっつーのっ!

 2人から冷たくされたミッチは少しの間、殊勝なことに、悲しそうな顔でしょんぼりと大人しくしていましたが、何かを思い出したかのように、はっとすると、すぐに馬鹿みたいに明るい表情を取り戻しました。

「そうそう!」

 曹操? 三国志時代の英雄の?

「そうそう!」

 もう曹操はいいですってば。彼女は話が回りくどいというか、話の主題に入るまでが無駄に長いんです。話していると、結構イライラしてくるので、私とススは彼女が主題に入るまでは殆ど聞き流すようにしています。

「そうそう! って、あれ? 私、何言おうとしてたんだっけー!? んーっと、えーっとー、あ、そうそう!」

 曹操はもういいってば。だからって劉備とか孫権とか言われても困りますけどね。えっと、私の言っていること分かりますか? 分かりますよね? 結構、有名ですし。ほら、三国志のね。

「そう! コロの話よ! ねえ! それってば、恋の話なの!? 恋!? 愛!? ラブ!?」

 興奮するミッチを前にして私は少し考えます。まぁ、確かに、恋とか愛の話ではあると思います。でも、それよりかはー。

「んー。まぁ、そうですね。まぁ、恋とか愛とかいうよりかは性」

「くぉらぁっ!」

 私が昨夜のことを具体的に話そうかと思っていた矢先に、私は思いっきり後頭部を叩かれました。べちっといい音がしましたよ。

「きっさま! 何を喋ろうとしておった!?」

 振り返るとそこで怒鳴っていたのは誰あろう彼あろう(たまに先輩が使っている語法なのですが、これが何なのかはイマイチ分かりません)私の愛しの先輩その人でありました。



2008年最初の更新です。

2007年最後の更新で、処女だなんだと言って、

2008年最初の更新で、乳だなんだと言うとは、

情けないというか恥ずかしいというか……。

兎にも角にも、そのような作品ですが、何卒、本年も宜しくお願いします。

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