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ハリホと魔法少女  作者: AO
第一章 私が魔法少女になるまで
6/8

6 目先の金よりも

 へんてこについてはもう聞けたし、もうここに用はない。へんてこもどうやら大人になれば見えなくなるっぽいし。つまりはそれまで我慢すればいいのだ。


(それよりお金を稼ぐ手段よ)


 へんてこ問題は時間が解決する。後はお金の問題だ。中学卒業までのお金を稼ぐ手段と中学卒業後のお金を稼ぐ手段。正直言えば魔法少女というアルバイト(果たしてアルバイトというのかは疑問だが)に興味を惹かれないわけでもない。小学生でもお金が稼げる手段というのはそうそうないのだ。しかし、それには大きな問題がある。


(無理無理無理無理! 魔法少女なんてそんな恥ずかしいもの、絶対にやらない)


 冷静に考えてみよう。魔法少女のアルバイトを引き受けるということは、さっき変態が見せてきたあのフィギュアのような格好をするということだ。あまつさえその姿を公共の電波で流すということだ。しかも、ハリホの暴走をどのように止めるかは知らないがその過程も流されるのだ。そして、このようなアニメ?を見るのはたいていが子供だ。


(学校のやつら全員がそのアニメを見ないだなんてこと、あるはずない)


 聞いた感じ、けっこう長い間やってるみたいだし、今考えてみれば「魔法少女りおん」という言葉もクラスで聞いたことがある気がする。母さんがつれこんでた男も語っていた気がする。もしそんなものに出演なんぞしたらばれる。絶対ばれる。


(今まで私が守り続けていた学校生活がっ!!)


 変に絡まれたくなくて愛想とかそういうものはひとっつも振りまいてないし、私はあいつらが興味を持ってるようなことに興味在りませんという態度を貫いてきたのだ。まあ、実際に興味がないんだが。そのおかげで私に話しかけるやつはおらず、誰にも邪魔されない静かな学校生活を送っている。なのに魔法少女なんぞになってみろ、あいつらは絡んでくるに決まっている。私の学校生活の終わりだ。

 よって魔法少女は却下。


「待ってよ彩たん! いい話なんだって。魔法少女になろうよ~」


 後ろが何やら騒がしいが私には関係ないとさっさと図書館へと向かった。


×××


 図書館の閉館時間となったので、私はコンビニで夕飯を買って帰宅する。今日は母さんが家に男を連れ込んでなきゃ良いけど。なんでか知らないけど無駄に話しかけてくるやつらばっかでうざいんだよね。

 そんなことを考えながら歩いているとちょうど母さんが知らないおっさんに腰を抱かれながら車から出てくるのが見えた。


(うわあ。今日は早く帰って寝れば良かった)


 こうなったら今日はなかなか寝られそうにない。ほぼ毎日とはいえ、さすがの私も隣の部屋からあえぎ声が聞こえるなかでは寝付けない。しかも母親の声だし。


「仕方ない。今日は置物にてっしよう」


 ああ、今日も、かな。そんなことを呟きながら残り数メートルの距離を進む。いちいちぶつかってくるへんてこが、邪魔で仕方なかった。


魔法少女りおん

 朝の子供向けアニメ「ハリホと魔性少女」シリーズの今期の主人公。盲目の美少女であり、魔法少女りおんに変身してハリホの悩みを解消することで陰ながら世界を救っている。歴代で最高の人気を誇っているらしく様々なグッズが販売されている。

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